タケルとユウナギの夜の密会
晩餐会の打ち合わせは、一度にやってしまわなければならないものではないので、1時間ほどで終わった。
基本的に参加すればいいだけなので、それまでに何かができないといけないということはなく、全体の流れを掴むことと、やったらダメなこと、注意することを覚えるくらいだった。
「じゃあ、続きは明後日の夜にしようか。明日は私に別件があって」
「「「はい」」」
解散となり、各人部屋に戻り、ユウナギは自分の家に帰ることになる。
「ユウナギ、帰る前にちょっといいかな?」
「いいわよ?」
ユウナギは専用の『ドアツードア』であちらとこちらのユウナギの部屋をつないでいたので、呼び留めないと部屋に帰ってしまうどころか、家に帰ってしまう。
*
2人でタケルの部屋に着いた。
「どうしたの改まって?」
「その・・・最近肩こりがひどくて・・・」
「もう、ジジ臭いわね。肩くらいもんであげるわよ。そこに座って」
椅子を指さす。
「うん・・・」
「なに?私、肩もみはうまいわよ?お父さんの肩を時々もんであげているもの」
「それは心強い」
*
「何この肩!?ガチガチじゃない!?石!?石なの!?」
「ポイントは的確だって分かるんだけど、もっと強いともっと嬉しいんだけど・・・」
「まだ!?」
「その・・・恥ずかしいんだけど、体重かけて踏んでくれないかな?背中を」
「もう、しょうがないわね。こんなんじゃローレットさんにも頼みにくいでしょうからね」
「それが・・・」
・・・
「はあ~!?クレアちゃんに頼んだぁ!?」
「うん・・・そしたらドン引きされて・・・」
「そりゃあそうでしょう!あんた、あっちは貴族様よ!?」
「だから、せめて足を拭いてからなら大丈夫かと思ったんだけど・・・」
「ちょっと待って、クレアちゃん靴を履くときブーツ脱ぐのにめちゃくちゃ恥ずかしがってなかった?脱いだの?ここで!それとも、ブーツのまま?」
「僕が脱がして・・・拭いたんだけど・・・」
「はぁ?!どうなったの!?」
「色々あって、シャルさんにこっぴどく叱られた・・・」
「あんたねぇ、シャルさんからしたら準貴族のタケルに文句を言うってことは、命がけよ!?」
「反省しました・・・それで一番頼めそうなユウナギに・・・」
「もう、JKに背中踏めとかってちょっとした犯罪だからね!あと、乗れるか不安だし・・・その重たかったり・・・」
「持ち手ならあそこに・・・」
タケルはベッドの天蓋に張られたロープを指さした。
「はっはっはっ!何あれ!?」
「クレアさんの時に・・・」
「はー、もう重くて押しつぶされてもしらないよ?」
「ユウナギ軽いから何ならおもりを持ったまま乗ってほしいくらいなんだ・・・」
「タケルの背中ってどうなってるのよ・・・」
***
「きゅ~~~~~~、最高・・・生き返った・・・」
タケルはベッドの上にうつ伏せで幸せそうな顔をしている。
「何で背中があんなにボキボキいうのよ。背骨本当に大丈夫なの!?」
「最高に軽くなった。ユウナギがいないと僕はもう生きていけない・・・」
「もう!あんまり変なことさせないでよ!新しい扉が開きかけたわよ」
照れ隠しに文句のように言っているが、ユウナギはタケルの言葉が嬉しかったらしい。
少し頬が赤くなっていた。
「じゃあ、送っていくよ」
タケルはベッドに座って右肩をぐるぐる回しながら言った。
『テレポート』を使えば別にユウナギの部屋に行かなくても家に帰れるのだ。
次の瞬間には音もなく2人はユウナギの家の部屋に移動していた。
「ありがと」
「じゃあ、僕は戻るよ」
「うん、また明日ね。あ、タケル」
「うん?なに?」
「今度、泊まりに行くから、クレアちゃんにした『色々』ってやつを私にもするのよ?」
タケルの顔が一気に真っ赤になった。
「あー!私のクレアちゃんに何したのっっ!?」
「い、いやこれはっ!」
部屋で騒いでいると、ユウナギの両親に見つかり、コーヒーを飲みながらユウナギの両親の相手をすることになったのだった。
ついに90話になってしまいました。
自分至上最長です。
もう少しお付き合いください <(_ _)>ペコッ
明日の更新も朝6時です。
よろしくお願いします。




