朝になる前に
クレアが目を覚ましたのは真夜中だった。
『目を覚ました』というのが正しいのか、『意識を取り戻した』というのが正しいのかは本人にも分からない。
男性に素足を見せるだけでもかなりの恥ずかしさがあったのに、さらに拭かれてしまった。
そして、恥ずかしさや押し寄せる快楽でクレアは初めての絶頂を迎えた。
その後は・・・本当に何も覚えていない。
*
気付けばここはタケルさんの部屋・・・
いつの間にか横を向いていたのだろう。
わたくしは左を向いて寝る癖があるみたい。
首を動かすと背中側にタケルさんがこちらを向いて寝ているのが見える。
そして、タケルさんの寝息が聞こえる。
温かい・・・
久々にすごく深い眠りについた気がする。
最近寒くなったけれど、今日は温かかったからだろうか、よく寝られた。
後ろからタケルが両腕で抱きしめている。
温かい理由はこれだ。
*
ここでクレアは気づいた。
抱きしめているタケルの左手はいままさに自分の胸に当てられていることに!!
多分無意識。
手の長さや、2人の位置などが奇跡的にそうなったのだろう。
(ちょっとだけ身体を動かせば手を振りほどけるはず・・・はず・・・は・・・)
動けない。
しっかりと抱きしめられていて、今まさに抱き枕状態のクレア。
そして、タケルの左手の薬指がクレアの右のなだらかなふくらみの・・・突起の位置に・・・
意識しなければ何とかなったかもしれない。
だが、クレアは意識してしまった。
(はっ・・・はっ・・・はーっ、はーっ)
呼吸が荒くなる。
クレアが動くことで、タケルの右手が左の乳房からお腹、そして下腹に移動した。
(びくんっ!)
クレアの身体が跳ねたように反応した。
しかし、タケルは眠っている。
その後、そんなに動くわけではない。
クレアは少しだけ身体をひねった。
そして、戻して・・・少しだけ動くことで未だ当てられているタケルの左手の薬指がクレアの胸の敏感な部分をなぞるのだ。
(だめ・・・こんなことをしていたら・・・)
ダメだと思っていても人間は合理性だけでは行動が決められない。
下腹に当てられたタケルの手に自分の手を添え、自分の足や腰の辺りを触れさせていく。
(はあっ、はあっ、はあっ、はあっ・・・)
呼吸がますます荒くなるクレア。
(これ以上はダメ・・・タケルさんが起きてしまう・・・起きてしまったらなんて言い訳を・・・)
頭では分かっているのに、行動は止められない。
クレアはタケルの右手の手首の辺りを握り、自分のへそ下を触れさせて、そのまま更に下に導いていく。
その瞬間、クレアは違和感に気づいた。
タケルの手首に力が入ったのだ。
「タケりゅさん!?」
つい名前を噛むほどクレアは焦っていた。
例えるならば、自分だけは捕まらないと謎の自信を持った万引き少女が、現行犯で現場を押さえられたかのような。
もう、何も言い訳は通じないところまで来ていた。
右手も左手もタケルの手首を掴んでいて、タケルの手で自分の胸や下半身を慰めていたのだ。
「あ、あ、あ・・・」
クレアは『もうダメだ』と思った。
『すべてが終わった・・・』と。
自然と涙が込み上げてきた。
ほんの少し前、タケルと良い感じだったあの頃にはもう戻れない。
あの時間は夢のような時間で、今の自分にはどれだけ望んでも到達できない時間。
そんなタケルは、目が半分開いていない様子で、クレアの頭を撫で始めた。
「タケっ、タケルさん・・・?」
タケルはクレアを自分の方に向かせると、キスをしてその後クレアの慎ましやかな胸に顔をうずめるとそのまま再び寝息をたて始めた。
呆気に取られてしばらく固まっていたクレアだったが、しばらくすると自分の胸にタケルの息が当て続けれられることにより悶々として過ごすのだった。
(タケルさん・・・こんなの寝られるわけないです・・・)
***
次の日の朝。
タケルは少し息苦しくて目が覚めた。
ぎゅうぎゅうに抱きしめた抱き枕は自分の体温よりも高くすごく温かく、抱き心地も最高だった。
そのため、一晩中顔をうずめていた様で、タケルのよだれでぐちゃぐちゃになっていた。
そして、その抱き枕を見ると・・・クレアの胸だった。
「た・・・たけりゅ・・・さん・・・」
妙に艶っぽい声と瞳で涙交じりにタケルを呼ぶクレア。
「もしかして、寝ている間に僕何かしちゃいました?」
「い、いえ・・・にゃにも・・・」
何もという割には、クレアの寝巻の胸の部分はタケルのよだれでどろどろになっていて、しばらく吸っていたと思われる跡まである。
「あの・・・これはっ!」
ベッドの上でわたわたするタケル。
「あの・・・たけりゅさん・・・シャルを・・・よんれくらさい・・・」
「シャ、シャルさんですね!分かりました!」
タケルが部屋を出ると、その音を聞きつけてシャルがすぐによってきた。
「お困りですか?タケル様」
「あ!ちょうどよかった!クレアさんが!」
「・・・分かりました。参りましょう」
いろいろ言わずに何かを察して部屋についてくるシャル。
シャルが優秀なメイドで良かったと思うタケルだった。
シャルが部屋に入ると、ベッドの上は酷いさまだった。
主人であるクレアは明らかに何らかの辱めを受けた後。
瞳は潤みまくっていて、力なくベッドの上に横たわっている。
口は少し開かれていて、わずかによだれが垂れているのが見て取れる。
自分では満足に起き上がれない様子。
髪は乱れ、寝巻は胸のあたりに何かしらの液体がかけられている。
シャルには今の状態を的確に表す言葉は思いつかなかったが、一番に思い付いた言葉は『死屍累累』だった。
「へやに・・・」
力なくシャルに部屋に連れて行ってほしいと訴えるクレア。
「タケル様、以前の様にお嬢様を抱きかかえてお部屋までお願いできますでしょうか?今回はタオルに来るんだままで・・・」
「はい、大丈夫だと思います」
とにかく、タケルは一度クレアをシャルのところに返そうと考えた。
お姫様抱っこされたクレアにシャルが顔を覗き込んで様子を見ている。
そこで一言。
「お嬢様、また反省会ですね・・・」
昨日の夜からのことを思い出し、静かに気を失うクレア。
さすがに気を許している侍女のシャルと言っても言えないことが色々思い浮かんだのだった。
シャルはタケルに丁寧にお辞儀をした後に言った。
「お手数ではございますが、後ほど、詳しくお話をお聞かせくださいませ」
タケルの顔が引きつった。
ちなみに、この日の朝はクレアが朝食のために食堂に現れることはなかった。
つ、ついに、この時が来ました!
感想をいただいてしまいました!
tak9646さん、ありがとうございます!
もっともっと頑張ろうと思いました(^^)
読まれているのか不安になる時あるんです。
なんか実感できて嬉しいです。
応援ありがとうございます!
明日の更新も朝6時です。
よろしくお願いします。




