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女神の追跡調査と平日の甘々

女神の件、あらかた内容は分かった。

しかし、すぐに報告して間違えていたら一大事だ。

アルフレット(クレアパパ)に報告したのは3日後だった。


その3日間、何をしていたかというと、ユウナギと行動を共にしていた。

最近のユウナギは、週末こそ時々クレアの屋敷に泊まるが平日は自分の家に帰っていた。


普通の高校生としては当たり前の行動だ。

むしろ、両親、祖父共に亡くしてしまったタケルの方が普通とは違う。

家にいても誰もいない。

そういう意味では、部屋が別々だとしても、自分のことを好きだと言ってくれるクレアの屋敷で過ごした方が人と接することができて心が落ち着く様だった。


しかも、クレアの屋敷では侍女が何かしらの用事でちょこちょこと部屋を訪れる。

これでも少しは『人との交流』となっていて、タケルの寂しさを和らげてくれていた。


朝は『ドアツードア』で自分の家に移動して、学校に通っている。

場合によっては直接学校に行く『ズル』のパターンもあるのだが、ユウナギと一緒に学校に通うためには、一度迎えに行く必要があるのだ。


今日もいつも通り、家を出てユウナギを迎えに行こうとしたら、家を出たタイミングでユウナギが出迎えてくれた。

もしかしたら、待っていたのだろうか。


「どうしてこっちって分かったの?ユウナギの家に直接行くかもしれなかったでしょ?」


「んー・・・何となく?分かっちゃうから♪」


かわいい小さな舌を出してタケルの前を通り過ぎるユウナギ。

決まった動きをしているわけでもないのに、動きを悟られてなんだか不満なタケル。

自分は単純な人間だろうかと自分を振り返る。


ユウナギが後ろを向いて手を伸ばしてきた。


「がっこいこ!」


手をつなぐのがちょっと気恥ずかしいと思いながらも、断ることはできないタケル。

ユウナギと手をつないで歩く。


「んー?」


ユウナギが急に顔を覗き込んできた。

タケルの頬をぺしぺしと軽くたたき、「何か顔がシュッとしてきた?」と。


このところ色々と忙しいタケル。

食事はしっかりとっているが、運動量も気苦労も大きいので、締まってきたというよりは痩せこけてきたのだろうか。


制服の上から胸のあたりや腕のあたりもパンパンと叩いて調べるユウナギ。


「筋肉増えた?脂肪が減った?」


そう言えば、冒険に出てみようと思ってから毎日風呂上りに筋トレをしていた。

異世界に行くようになってから、急に身体が軽くなっていたが、鍛えるといくらか筋肉がついてきたのだろうか。

タケルとしては、毎日見ている自分の身体なので、違いは分からないでいた。


「鍛えるのはいいけど、モテると困るんですけど!」


片方だけ頬を膨らませて愚痴る婚約者様。


「別に僕はモテないから心配しなくていいよ」


「気づいてないならいいけどね!」


タケルは何に気づいていないのか、ちょっと焦った。

ユウナギのファッションや見た目のことだろうか!?

やや見当違いなことを考えているのはタケルだけだった。


「それに、ユウナギがいれば十分すぎるし」


「もうっ!」


ユウナギの顔が少し赤く染まっている。

照れ隠しなのか、手をつないだまま両手超足を大げさに振って歩いている。

これだけかわいいのに、仕草までかわいいとかチートだろ。


ユウナギと一緒に歩いていると通学路であってもそこかしこから視線を感じる。

それだけユウナギがかわいいのだろう。

何と言っても『烏尾高校の奇跡』という少し恥ずかしい二つ名を頂戴しているほどなのだ。


髪は肩までの比較的ショート。

黒髪には艶があり、サラサラで風によって毛先が遊ぶ。


気持ちのいい笑顔が印象的で、学校中の男女問わず好かれているチート少女。

成績も常に学年上位で運動では複数の部活がユウナギ獲得に動いたとか動かなかったとか。


手足は細く、しなやか。

それでいて胸は良い具合の大きさなので、女子からも羨ましがられている。


これだけ完璧超人なのに、『彼氏が残念』という噂が広まりしばらく『残念美人』としてさらに人気が上がっていた。

自分にもチャンスがあると思われた節がある。

最近ではこの『残念美人』はあまり聞かなくなっていた。


時々、タケルも人と目が合うのだが、『あれほどの彼女の彼氏ってどんなやつだ』と品定めの目だと考えていた。

最近では、タケルが一人で歩いていても女子から見られることが多いので、よほど『ユウナギの彼氏』だということが伝わっているのだと思っている。


「あ!ユウナギちゃん!あざー!」


後ろから声をかけてきたのはギャルの仁心瑠にこる心愛ここあ希星きららの3人組だ。


「おはよー!」


ユウナギは仁心瑠にこるの憧れの人らしかった。

仁心瑠にこるはやたらとユウナギがお気に入りだった。


「タケルっちもあざー!」背中をバシバシ叩きながらの挨拶だった。


「おはよう・・・」


タケルにとって中々慣れない人種だ。

ユウナギがいなければ挨拶を交わすこともない人種。

また『理想のタケル』が先行していて『現実のタケル』がそれに追いつけていない感覚。


「ん?タケルっち顔つきが変わってない?」


「え?そうかな?」


「んー、これはやっちゃてるやつの目だね~」


「いやいや、別に何もやっちゃってないから・・・」


そう言えば、先日は戦争回避のためとはいえ、約1500人を殺っちゃったと言えば、殺っちゃったのだ。

守るものが出来て、『守るもの』と『守らなくていいもの』に分けることができるようになった。

これは心が強くなった成長なのか、感覚が鈍っていった退化なのか・・・


ワイワイと教室に向かう中、この中ではユウナギだけが別のクラスだ。

階段を上がったところでユウナギとは別々になる。


「タケル、浮気しちゃだめだからね!」


「大丈夫だよ」


「ユウナギちゃん!あっしがちゃんと見張ってるから!」


「お願いね!ちょっと目を離すとすぐに男女構わずたらしてくるから!」


「マジか!?あっしもたらされる的な!?」


たらすとか、たらさないとか、何となく下品なのでやめてほしいところ・・・



昼はユウナギがタケルの教室に来て一緒にお弁当を食べていた。

烏尾高校では自分のクラス以外に行く人間はほとんどいないのだが、ユウナギは『名物』的になっていて、それとなくタケルの前の席の人は食堂にご飯を食べに行ってしまう。


いつも席が空いているので、ユウナギがちゃっかり座って、タケルと向き合って甘々タイムを過ごしている。


周囲は見て見ぬふりをしつつ、聞き耳を立てて横目で見て注目しているのだ。

ちなみに、お弁当はユウナギが作ることが多い。

時々は『試食』をタケルが持ってくるので、その時は『ここはこうした方がもっとおいしい』とか『これは余計だった』とかわいわい言いながら食べている。


「あ、この玉子焼きおいしい」


「ほんとタケルって甘いのが好きね」


「うーん、玉子焼きは甘い方が好きかな。最近では和食がおいしい」


「なに、おじいちゃんみたいなこといってんの」


「朝晩がマティアス料理のことが多いから・・・」


「あー!クレアちゃんとの浮気告白かな!」


「いや、そういう意味の『マティアス料理』ではないから!」


「あ!タケル外みて!象の群れが走ってる!」


「そんな馬鹿な!」


タケルが反射的に指をさされた外を見ていると、「んー」とユウナギがキス顔で顔を近づけてきた。


「はっ!」と口で言ってユウナギの方を振り向くと、ユウナギは明後日の方向を見て『ピーピピピピー♪』と口で言っているだけの口笛でも何でもない口笛を吹くふりをして知らん顔している。


またタケルが外を見ると「んー」と言いながら顔を近づけてる。

「はっ!」と言って振り返ると『ピーピピピピー♪』

ユウナギも本気でキスする気はないし、タケルもキスされる気はない。

要するに、クラスメイトからしたら『バカップル』が1組いるだけなのだ。


女子たちはにこにこして見守っている。

一部の男子は『くっそー!俺も彼女ほしいっっ!』と心の中で血の涙を流していたという。


この『甘々空間』は毎昼休みごとに繰り広げられ、ある意味観客と化しているクラスメイトの『名物』となっているのだ。


ちなみに、これはタケルにとって『女神の追跡調査』だ。

少し聞いてみることにした。


「今日は(マティアスに)行くの?」


「うん、最近毎日行ってるよ」


「あれ?部活は?」


「お休みさせてもらってる。大会とかあるときは要相談だけど」


「何で?もしかして調子悪い?」


「んーん、そうじゃなくて、私は好きなことを見つけたから」


「好きなこと?」


「前にも言ったじゃない。将来は学校の先生になりたいって」


「ああ、覚えてるよ」


「タケルのおかげで先生の真似事が出来てるから嬉しくて楽しくて・・・」


なるほど。

本当にやりたいことができたので、それを選んだ、と。


「どうしたらもっと生徒さんが増えるかな、とか。分かりやすくするにはどうしたらいいかな、とか。毎日考えて、色々挑戦してるの」


「へー、だからあんなに人が集まってたんだ」


「それは恥ずかしいからあんまり言わないで!でも、自分が見世物になってでも人を集めたら楽しいでしょ?」


「あの歌も自分で考えたの?」


「そう、自分が好きな曲の替え歌だけど・・・広場でちょっと聞いてそれで文字や計算が覚えられたら『この塾に行ったらもっと色々覚えられる』って思ってもらえるでしょ?」


「すごいな。本当の先生よりずっと実践的だよ」


「タケルのおかげで高校卒業しても食べていけそうだから、これを仕事にしていこうかしら?」


ニコニコしながら未来にわくわくしているユウナギの顔は誰から見ても好ましいものだったろう。

そして、その最高の彼女が自分の彼女であると考えるとまたそれは『理想のタケル』であり、そこに何とか追いつこうとする『現実のタケル』がいる。


この気持ちは努力で追いつけるものなのだろうか。


最近1日に400PVを超える日が多くなってきたので嬉しいです。

昨日なんか初めて1日に500PV超えました!


あと、最近「婚約者」と「許嫁」が混在していたみたいなので、

「婚約者」に統一しました。

厳密にはちょっと意味合いが違ってくるので・・・


他の方のラノベを読んでいた影響かも・・・


ぜひ評価をお願いします。

3秒で出来るので!

↓の(☆☆☆☆☆)を(★★★★★)に変えて

応援してください(|ヮ|)/


明日の更新も朝6時です。

よろしくお願いします。

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