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屋敷での朝食は頼まれごとの時間

アサイチ、クレアに呼び出されてからその足で朝食を食べに食堂に行った。

ちなみに、この場合の『食堂』は定食屋などをさすものではなく、屋敷内でアルフレット(クレアパパ)、マリア(クレアママ)、クレアだけが食事をとるためだけの部屋だ。


来客があれば一緒に食事をとることもあるので、長テーブルが準備されていて、横に20脚は椅子が並んでいる。

タケルはクレアパパに好かれているのでほぼ家族として認められている。


ここで侍女などが食事をとることはない、そのため時々屋敷に泊まっているユウナギもここで食事をとることができないのだ。

タケルはそこに気を使って時々しかこの食堂で食事を摂らないでいた。


今朝は呼ばれたのもあるし、クレアに連れられて行ったので、珍しく朝食から食堂で摂ることになった。


朝なのでパンがメインのメニューがテーブルの上に並んでいた。

侯爵とはかなりお金持ちらしくホテルの朝食程度には色々なものが並んでいた。

ただ、食べきれない程並んでいるわけではないので、タケルの常識の範囲での『お金持ち』だった。


「おはよう、タケル卿。騎士になった感想はどうかな?」


「『卿』は止めてください。僕は元々庶民なので、こそばゆいです」


「だが、騎士になってしまったからには慣れないとな」


「僕も、『アルフレット侯爵』とお呼びした方がよろしいですか?」


「それよりも『お義父様』と呼んでくれないか」


「まだ、そこまでには心が到達できていません」


クレアに勝てないのだから、クレアパパに勝てるはずがないのだ。


「お父様、あまりタケルさんをいじめないでください」


「ははは、親子の会話ではないか」


「もうっ!それよりもタケルさんに訊きたいことがあるんでしょう?」


「ああ、そうだった、そうだった」


「聞きたいことですか?」


「そうなんだ。タケルは街で話題になっている『女神』をしっているかね?」


「女神ですか?いえ、特には・・・」


タケルの知り合いに、当然だが女神はいない。


「その『女神』はどんな女神なんですか?」


「報告によれば、広場で歌を広めているらしい。その歌を聞くと文字を覚えたり、計算ができる様になったりするらしい」


「人の能力を超えてますね。確かに女神か」


「真っ黒の服に、真っ黒の髪らしい」


「全身真っ黒じゃないですか。女神と言うよりは死神?」


タケルの中のイメージではかなり邪悪な女が大きな鎌を持って笑いながら立っている。


「でも、なんで僕ですか?女神に知り合いなんていませんよ?」


「常識はずれな能力と黒髪という点でなにか知らないかと思ってな」


「なるほど」


日本では黒髪は全然珍しくないけれど、マティアスでは黒髪の人は見たことがない。

全然いないわけではないだろうから、いれば目立つだろう。


「それで、その『女神』を知っていたらどうするんですか?」


「知っていればぜひ会いたい!」


「女神ですよ?」


「ぜひ、屋敷に招きたいな」


タケルがクレアの方を見て『通訳』を求めた。


「お父様は、話題になっている女神様を呼び、晩餐会などに参加させ自慢したいのです」


「なるほど・・・」


「実際、女神の弟子が平民ながら会計の仕事を始めたという話も聞きます」


「実際に学力が上がっているんですね!すごいな女神」


孤児院で塾を始めたタケルとしてはその方法について知りたいと思い、『女神』に興味がわいていた。


「その女神は、炎の柱で絵や文字を書くのだそうだ」


「確かに人間離れしている。さすが女神」


「タケルが以前屋敷の屋根でやっていた火柱もできるらしいぞ」


あれは『手混ぜ(てあそび)』に過ぎない。

何となく手持ち無沙汰でやっていただけなので、話題にされると恥ずかしくなってしまう。


とりあえず、そんなすごいことができる知り合いはいない。

いよいよ女神は知らない神様だと明確にわかった。


「でも、すいません。『女神』に知り合いはいません」


「ほんとかね?」


「え?何でですか?黒髪ってだけじゃ、僕の知り合いとは限りませんよね?」


「うーん、そうなんだが・・・ちょっと他にもうわさを聞いてね」


「その女神の弟子だが、タケルの嫁だと名乗っているらしい」


(ビシッ)


クレアの方で何かにヒビが入る音が聞こえたけれど、タケルは聞こえないことにした。


「タケルさん・・・!?」


アルフレット(クレアパパ)の方向を向いているが、反対側にとんでもない存在感を感じる。


(ギギギ・・・)という音が聞こえそうなくらい、動かない首をクレアの方に向けるタケル。


「本当に知らないよ?全く身に覚えがないから!」


「ユウナギさんだけじゃなかったのですか?」


心なしかクレアの目が光っていて、髪が逆立っているように見える(タケルのイメージ)


「次の『女子会』は、何時いつかしら、おほほほほほ」


「その『女神』を必ずこの屋敷に連れてきてみせます!(そして誤解を解く!)」


「タケルさん、その『女神』様も婚約者と言うことは!?」


「ない!ないから!正妻はクレアさんだけ!側室にユウナギだけ!」


両手を前に出し両手のバイバイのようなジェスチャーで全否定するタケル。


「まったくもう」と言いながら頬を膨らませる。

かわいい婚約者様だ。


「あとは・・・あろうことか、その『女神』は公衆の面前で足をほとんど出しているのだそうだ」


「まあ!」


声を上げてしまったのはマリア(クレアママ)だ。


マティアスでは靴はブーツと決まっていて、人前で足を出すのは裸になることに近い恥ずかしいこととなっていた。

一言で言えば文化の違いだろう。


とりあえず、約束はしたので、『女神』を見つけて屋敷に連れてくるミッションがスタートした。


ストックなく、ギリギリで書いています(汗)

なぜ今回の話を書くのに1週間もかかったのか・・・


昨日は累計PVが1万3000行きました!

ありがとうございます!

あなたのアクセスのおかげです。


明日も朝6時更新の予定です。

間に合えば・・・

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