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一瞬

タケルは迫りくる危機の対処に迫られていた。

頭を失った約2000人が病原体を身体に宿したままマティアスに迫ろうとしていた。


マティアスに到着するまでは約3週間かかる。

森をまっすぐに突き抜けてきたタケルたちは約1週間でクルーガクに到着することができるが、クルーガクは森を回避して遠回りするので3倍の3週間程度かかる見込みなのだ。


しかも、その間病気は発病するかもしれない。

最悪な状況を考えると、ぐずぐずに熟した状態でマティアスに病気が持ち込まれるってことだ。


もっとも、タケルの『ズル』によって2日で森を抜けてきたわけだが。


タケルは腹をくくる時だと考えた。


「ゴーストンさん、僕がやります。半日でいいのでここで待っていてください。」


「お前ひとりで何ができる!?せめて『斥候』を連れていけ!」


「ご存じの様に僕には『不思議な力』があります。ここで『被害』を最小限に留めるために全力を尽くしておこうと思います」


「・・・分かった。魔の森を抜けてこれた不思議な力を信じるよ」


「斥候は必要か?」


「心強いんですが、病気に感染したら怖いので、ここで待機していてください」


「わかった。無線は持っておくから何かあたら知らせてくれ」


「はい。とりあえず、現状までをマティアスに報告してもらっていていいですか?」


「わかった。まあ、報告は言われなくても入れているんだがな」


「さすがです」



タケルはタケルハウスの外に出た。


「どうするのじゃ?タケル様よ」


「クルーガクの軍はまだ国内にいるみたいだから、国内にいるうちに仕留めるよ。目立つように」


「血肉と魂はわらわがもらっていいのじゃろう?」


「何かに役に立つなら僕もその方が僕も少しは気が楽になる」


「人間は人間を殺すと罪悪感を持つ・・・面白い考えじゃな」


「そうかな?普通じゃない?」


「同族を殺さないのは人間だけじゃ。人間だけは崇高で殺してはいかんと言うのならば、人間は神にでもなった気でおるのかな。それはわらわに言わせれば思い上がりというものじゃ」


「そんなもんかな?」


「あるねずみは死因の20%は同族殺しじゃ」


「日本人が年間140万人死ぬとして、28万人は殺人ってことか・・・そりゃあ過激な国になるな・・・」


「して、何をしようと考えておるのじゃ?タケル様よ」


「できるだけ派手に敵をせん滅しないといけない」



タケルとしては気が進まないと思っていたが、ここで変に仏心を出すと事態は余計に悪くなる。

やるときはやらないといけないのだ。


なあなあで行くと良い結果にはならないことはここのところのビジネスでも重々感じていた。


「フォレスタ、目立つモンスターって何かだせるか?」


「それなら・・・」



そのころクルーガクでは徴兵が済んでいた。

ただ、そのタイミングで『GO』の合図を出すトップがいなくなったのだ。

状況が全体に伝わるまでは国の門を出ていなかった。


ただ、時間とともに荒れ狂った統率者のいない約2000名の兵が一斉にマティアスに押し寄せるのは避けられない。


爆発するのは時間の問題なのだ。


その時誰かが叫んだ。


「見ろ!あれ!」


「うわ!ドラゴンだ!」


「大変だ!ドラゴンが現れたぞ!」


「ドラゴンだ!逃げろ!」


この世界において最強の魔物、それはドラゴン。

突如クルーガクの上空に現れたドラゴンがどんな種類なのかは分からない。


ただ、大きな口、大きな牙、長い首、大きく雄大な羽根、長いしっぽ。

全てがドラゴンの特徴であり、これまで誰も見たことがないほどの大きさのドラゴンが表れていた。


まさに災害。

災害級。


そして、災害はドラゴンだけではなかった。


クルーガクの中央にある広場の銅像に向けて大きな雷が落ちた。

空全体が光った。

クルーガクの人間の多くが、一瞬目が眩むほどの光。


そして、轟音と共に飛来して、上空で停止した巨大なドラゴン。

そのドラゴンの背にはタケルとフォレスタが乗っていた。


大きなドラゴンの背に人一人が乗っていても見えないし、迫力に欠けるので、空一面にタケルの顔が映るようになっている。


「我はマティアスを守護する者。マティアスに攻め入ろうとしていた者に罰を与える!」


逃げまとうクルーガク人民。

ほとばしる悲鳴。


クルーガク軍は剣や弓を使って攻撃を試みる。

そのようなものでは上空のタケルたちには全く届かない。


タケルが両手を広げると上空には無数の円陣が出現した。

独自魔法だ。


「いけー!」


タケルの合図で全ての空中の円陣から光の矢が飛び出て軍人を貫いた。

一斉にほとんどの兵隊がその場に倒れた。


「なんだ!何事だ!何が起きているんだ!」


「悪魔!悪魔だ!」


ある者は逃げまとい、ある者は地面にひれ伏した。

そんな中、前に出た一団がいた。


服装から考えて魔法使いの隊らしい。


「我々には最終兵器がある!」


「いまこそ使うときだ!」


魔法使いの一団は約100人。

その隊は大きな石のような物を取り出し天に掲げ、何やら呪文を唱えている。


約100人の同時詠唱で起こる魔法攻撃・・・

タケルは注意すべきだと見守った。


「いでよ!魔の森の主――!」


「!?」


「魔の森の主・・・だと」


タケルとフォレスタはドラゴンの背で顔を合わせた。


「フォレスタ、何か体調に変化は?」


「ふ、タケル様よ。わらわがあの程度の魔法で召喚される訳もない」


「でも、あの石的な物がブースター的に力を飛躍的に高めたりして・・・」


「ふー」


フォレスタは軽くため息をついたら、さらに一回り大きなドラゴンに姿を変え、急降下を始めた。


フォレスタ(ドラゴン)は大きく息を吸うと巨大な龍炎を口からはいた。

一瞬で魔法使い隊は蒸発し、クルーガクの街に火が放たれた。

まさに地獄絵図。


さらに、地上の人間をフォレスタ(ドラゴン)が次々丸飲みにしていく。

この騒ぎでクルーガクの中央広場で象徴的に考えられていた国王の銅像が軒並み破壊された。


その瞬間、それを見たクルーガクの国民の心が折れた。

触れてはいけない絶対的な何かを犯してしまったと理解した。


不思議なことに、国内に放たれた火はものの1時間で全て消えた。

それでも、第2陣、第3陣の兵が召集されることはなかった。


2匹のドラゴンは魔の森の方に飛び去った。

それがクルーガクの国民が見た最後の悪夢だった。




昨日ついに1万PV行きました!

ありがとうございます!(lヮl)/

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ありがとうございます!


明日の更新も朝6時です。

よろしくお願いします。

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[気になる点] さらに、地上の人間をドレスタ(ドラゴン)が次々丸飲みにしていく。 ドレスタ?
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