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選ぶということ決めるということ

魔の森の中でタケルハウスは、今クルーガクという国まで約1kmのところにある。

タケルが基礎ごとストレージに収納して、現在の位置まで持ってきた。

ここで1日~2日待機となっていた。


一緒に来た『斥候』たちは『自分たちの仕事』をしている。

本来、斥候の仕事と言えば、敵の情報収集だろう。

いつ進軍してくるかとか、どこまで進軍しているかとか。


ところが、今回の『斥候』は要するに暗殺者部隊なのだろう。

その話を一緒に待機しているゴーストンから聞いた。

直接的な言葉で言われたわけではないが、暗に伝えられた形だ。


話は聞いて理解したが、その後タケルはもやもやしていた。

唯一の気晴らしはゴーストンがご飯を大量に食べることだ。

タケルは料理を大量に作った。


そして、料理を作っている間は色々考えずにいられた。

作った料理はテーブルに運んだ。

そこにはゴーストンが座っている。


「ゴーストンさん、シチュー飽きませんね?」


「ああ、これはうまい。毎日でも食べたい。なんなら毎日作ってくれ」


「ゴーストンさん、それ捉え方次第ではプロポーズっぽくなってますから」


「馬鹿言え、男にそんなこと言うか。しかも、タケルにはお嬢様がいるからな」


「もちろんです。プロポーズだったらいいなって話じゃありません!」


「屋敷に帰ったらもう、タケルにシチューを作ってくれなんて頼めないからなぁ」


「何でですか?」


「貴族様に料理を作ってほしいと頼む騎士がどこの世界にいるんだよ」


「いつでも普通に声かけてください」


「馬鹿野郎、普通の騎士が貴族様に気軽に話しかけられるか」


「僕はまだまだ庶民ですし。貴族になっても何か変わる未来が想像できません」


「そりゃあ、あれだ。お前が変わらなくても、周りが変わるんだよ」


「そんなもんですか」


「そんなもんだ」


「・・・」


「・・・タケル。まだ割り切れてないだろ」


「・・・まあ。分かりますか?」


「ああ、全然食べてないしな。その分俺の食べる分が増えて助かるが」


「その・・・何人か知らないですが、国のトップを暗殺しに行ってるんでしょ?」


「まあ・・・そうだな」


「僕が案内して・・・それで暗殺が行われるならば、僕が間接的に・・・って」


「そうか、そうきちゃったか。じゃあ、こう考えてみたらどうだ?」


ゴーストンが空になったシチューの皿を横に置き、唐揚げの乗った皿を手前に寄せながら言った。


「お嬢様や・・・お前のもう一人の婚約者さんが・・・命を狙われるとしたら・・・お前はそいつを大事にするか?」


「なるほど・・・事前に何とか出来るなら何とかしたいと思いますよね。すごくいい話なのですが、本気で食べながら言ってるといい話感が台無しです」


「馬鹿野郎。騎士が貴族様に説教じみたことを真顔で言ったら首が飛ぶよ。物理的に」


「だから僕は貴族じゃありませんって。貴族になるとしても『会いに行ける貴族』を目指します」


タケルは少し苦笑いしながら言った。


「なんだそりゃ、聞いたこともないフレーズだな。まあ、そんな貴族様がいたらこの世界がひっくりかえっちまうよ」


「この世界がどうにかなってしまうのは良くないですよねぇ」


「まあ、タケルはお嬢様ともう一人の婚約者さんのことでも考えとけ」


「はあ・・・」


「しかも、クルーガクのやつらは一度徹底的に強さを見せつけないと反撃してくる民族性だ。逆に、圧倒的な力を見せて上を潰せば喜んですり寄ってくるんだよ」


「そんなこと本当にあるんですかね?」


「まあ、ずっとどこかの国の属国だったんだ。そういう処世術なんだろう。民族が違うってことは、歴史が違うし、考え方も違う」


国によって民族的に性格があり、国ごとに違うのはタケルにも何となく理解できた。


ゴーストンは山盛りだった唐揚げの最後の1個を食べると、次はチーズイン・ハンバーグの皿かスパゲティの皿か、どちらを先に取り掛かるかを手が迷っていた。


「タケル、お前も商売をしてて、人を使うんだったら色々な選択肢を迫られることがでてくる。その時のお前の仕事は『選ぶこと』であり、『決めること』は使う側じゃないとできないことだ」


「選ぶこと・・・」


「そ。誰を選んで、誰を生かすか。このハンバーグを俺が選ぶと、それを食べている間にスパゲティは誰かに取られてしまうかもしれないんだ」


「はあ、まあ。料理だったら両方食べていいですけどね」


「両方食べられたら、そりゃあハッピーだけど、いつもそうとは限らないだろ?」


「まあ、そうでしょうねぇ」


「おいしくて体にいい料理と・・・食べると害になる料理・・・どちらを選んで食べるかだったら、片方は誰も食べずに捨てられてもしょうがないのさ。世の中ってのはそういう風にできてる」


「勉強になります」


「今回は大人たちがやってることだ。お前は関係ない。気になるんだったら、良い未来にしてくれよ、貴族様」


タケルが始めた『教育』が子供たちの未来を良くして、『おいしくて体にいい料理』に育ってくれるのかタケルは自分の行動を振り返っていた。


(バターン!)


その時、タケルハウスの扉が勢いよく開けられた。


「大変です!!クルーガクが!!」


ストックなしで進めています。

追いつかれそう・・・(汗)


明日も更新は朝6時です。

よろしくお願いします。

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