入森・・・と言う言葉は存在するのか
早速斥候隊が編成された。
全部で8人。
少数精鋭なのだろう。
隊長はクレアの護衛にもついていたゴーストン。
恐らく顔見知りがいた方が、タケルが安心できるだろうという配慮からだろう。
ゴーストンさんはフレンドリーな人。
タケルも比較的気軽に話ができる人の一人だ。
ところが、他の7人は目つきが違った。
目つきや、身のこなしや明らかに違う。
タケル曰く「やちゃってる(やんちゃしてる?)やつら」だった。
「ゴーストンさん、あの方たちって・・・」
「あ、気付いたか。他の兵士とちょっと色が違うよな」
タケルがお願いしたので、以前の様に気さくに話してもらっているのだった。
全て敬語になって、少し距離を感じていたので、願いが聞き入れられたタケルとしては嬉しかった。
「はい・・・斥候の人たちってみんなあんな感じなんですか?」
「まあ・・・な。何かあったら俺に言えばいいから」
「ありがとうございます。なんか助かります。精神的に・・・」
森を抜けるということで、タケルは数日風邪で休むことになっている。
ただ、森を抜ける1週間丸々休むつもりは最初からないのだ。
「いよいよまたこの森に入ることになったなぁ・・・」
「ゴーストンさんは一度入っているし、大丈夫って分かってるんじゃないですか?」
「まあなあ、ただ、家族に話したら・・・ここにいる全員がそれぞれ家族や恋人と別れの盃を交わしてから臨んでいるよ」
「そこまでなんですか?この先には僕の家があるっていうのに・・・」
「それが異常なんだよ。あと、その小さいのは何だ?」
「彼女はフォレスタです。僕の・・・妹的な?」
「なぜ疑問形・・・」
タケルの横にはメイド服姿のフォレスタがいる。
ユウナギが出した魔の森に入るときの条件として、フォレスタを連れていくことだった。
森の主が一緒ならばいいだろうという考えかもしれない。
ただ、その森の主に殺されたのだが・・・
まあ、ユウナギがいいというのならば良いということになった。
「おいおい、タケル、いくら何でもこんな子供を魔の森に連れて行って大丈夫か!?」
「こう見えて、僕より断然強いので大丈夫です」
「はっはっはっ、タケルも冗談を言うようになったか」
「ははは・・・冗談じゃないんですけどね・・・」
ゴーストンたち8人とタケルとフォレスタの10人で魔の森を抜けることになった。
しばらくはタケルが整備した道があるのでかなり通りやすくなっていた。
「魔の森ってこんなに歩きやすいのか!?」
「何かに誘導されているんじゃ・・・」
まあ、この道の先に僕の家がありますが・・・とタケルは心の中だけで言った。
最初の30kmはすぐに進め、タケルの家が見えてきた。
「お!久々だな」
「どうぞ、ちょっと休憩していきましょう。昼ご飯を準備します」
「お!タケルのご飯か!元気でるわ!」
家の中で小休止して、さらに進むこととなった。
普通森を30kmも進めば1日目としてもいいだろう。
ところが、思いのほか道が歩きやすく、タケルが魔物を次々狩っているため全く魔物にで出くわさない。
一行としては肩透かしだった。
「タケル、ちょっと待ってくれ」
「どうしたんですか?」
「他のメンバーの心がついてきてない」
魔の森に入るのに緊張していたかと思ったら、今度は家があって、うまい食事が出てきたわけだ。
落ち着いたかと思ったら、また魔の森を進むのだ。
気付けは、ゴーストンを含む斥候8人がぐったりしている。
すごい訓練を積んだ兵士たちだ。
多少の荷物を持っているとしても、たった30km歩いただけで疲れ果てるとは考えにくい。
「いつ魔物が出るか、いつ魔物出るか、と気が気じゃないんだが・・・」
「出ませんよ?魔物」
「なあ、タケル」
「なんですか?」
「確かに、この間もだった。信じるけどさ、お前といると魔物がいないのって何か秘密があるんだろ?」
「ははは、まあ・・・」
「なんだよ、教えてくれよ」
「話したいところなんですが、王様に禁止されていて・・・」
「陛下が!そりゃあ聞けないな・・・」
ゴーストンさんは良い人だった。
「あ、ちょっと待ってください。『準備』があるんです」
「もう出発してるぞ。準備って何だ?」
「へへ、見ててください」
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