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情報と言う武器

再び談話室に戻ってきた。

机の上の料理は片付けられている。


訓練を見て回る前の王の対応には『余裕』があった。

姪の婚約者と言う若造があいさつに来たのだ。

悪い印象ではなかった。


庶民と言うことだったが、それなりの成果もあげているということで、悪い話ではなかった。


しかし、訓練を見て印象は変わった。

武器を含む大量の物を収納でき、ないものは作り出すことができる。

瞬間移動してどこにでも出現する。


考えてみれば魔の森に自由に出入りできるということは、それだけの実力者と言うことだ。


王が重い口を開いた。


「タケルくん、君は王都マティアスとどう付き合う気かね?」


「・・・と、言いますと?」


街に害をなそうと思ってなどいないタケルにとってその質問はなんと答えたらいいのか分からないでいた。


「王都マティアスをどうする気かね?」


「どうって・・・」


「君がマティアスを滅ぼそうとしたら思ったら・・・」


「あ!いえいえいえ!滅相もない」


「タケルさんは、その力をマティアスの発展に使っています。あだなすことはありません!」


タケルが慌てていると、クレアもかばってくれた。


「しかし・・・」


「どうにかしようと思ったら、孤児院の復旧などをするはずがありません」


「なるほど・・・」


王はなぜかアルテーシアの方を見た。

アルテーシアはコクリと頷いた。


「分かった。信じよう。クレアとの婚姻を機に今までの功績を称えて爵位を授けよう」


「え!?」


「その代わりに、頼まれごとをしてくれ」


「頼まれごとですか?」


「そうじゃ、わしの頼みを聞いてくれぬ場合は・・・」


「分かりました!頼みごとをききます!」


なんだかプレッシャーを感じたのでタケルは反射的にYESしてしまった。


「そうか!そうか!これからもよろしく頼むよ、タケルくん。」


王はタケルの近くに来て背中をバシバシ叩いてきた。


「よ、よかったです。王様、い、痛いです。痛いです」


なんだか危機は回避できたタケルだった。

ただ、『頼み事』が何なのかまだ聞いていなかった。


侍女たちがお茶の準備を始めた。

友好的だと理解してもらえたのは本当みたいだ。


「まずな、その能力は秘密にしておいてくれ。世に知れると大変なことになる」


「・・・はい」


「たしかに!そこはわたくしも思っていました。でも、ずっと秘密にしていましたのよ」


「タケルも陛下に会っていいところを見せたかったのでしょう」


たしかに、そういった面もあったかもしれない。

努力もしていないのに『俺tueeee』してはいけないとタケルは少し反省した。

誰か事情を知っている人に見られたら恥ずかしい思いをするだけだ。



「さて、頼み事だが・・・」


「はい・・・」


「軍の斥候を連れて魔の森を抜けてほしいんだ」


「はあ」


「あの魔の森を自由に出入りできるなど信じがたい情報が多かったが、今日の訓練の様子を見て分かった。何とかなると」


「割とざっくりしてますね・・・」


「しょうがないだろう。万が一、君が嘘つきで、魔の森に放り出してしまったら死にかねない。王都の人間が死ぬようなことは王としてできん」


「王様は良い方なんですね」


「良い人が良い王になるとは限らんぞ。見極めと判断ができるのが良い王と言うものだ」


「安心しました。それで、あの恥ずかしながら質問していいですか?」


「なにかね?なんでも聞きなさい」


「セッコウってなんですか?」


「斥候か。簡単に言うと少数で先に行って敵の様子を見る者のことだ」


「なるほど。でも、情報はどうやって届けるんですか?」


「それはもちろん、早馬に乗って伝えに来るに決まっているだろう」


「へー、でも誰のことを見に行くんですか?」


「それはクルーガクに決まっているだろう。やつらがいつ出兵してくるのか知らないと準備もできないだろう」


「なるほど、ドローンみたいなものか」


「『どろーん』とはなんだね?えーっと・・・(説明が難しい・・・)やってみます」


タケルは、目に見えない円盤をイメージして空中に送り出した。

次に、きょろきょろと部屋の中を見回って、大きな鏡を見つけた。

タケルが鏡に手を触れると、室内の映像が映った。


タケルの魔法はいつも家電の置き換えだ。

リアルにイメージするものしか魔法にできない。

今回はドローンをイメージして作った魔法だった。


ちなみに、鏡は液晶のイメージだった。


「ご覧ください。これがドローンです」


鏡には室内が上から映っている。


「これは・・・なんだね」


「この部屋の上に見えないカメラ・・・目を浮かせてあります。その目で見たものがこの鏡に映っているんです」


「また、とんでもない魔法だな・・・」


「これを城の外まで飛ばします」


タケルがイメージすると城を上空から見た映像が映し出される。

ただ、誰も城を上空から見たことなどないので、それが城だとは誰も気づかない。


「それで、今度は横に移動します」


映像は城上空から側面に移動した。

これにより、いつも見た城の映像が部屋の鏡に映っている状態となる。


「これは・・・この城かね」


「はい、空中から見ています」


「不思議な魔法を作り出すものだ・・・こんなこと考えつくなんて・・・」


「あまり遠くには行けませんが、少し離れたところから映像を見ることができます」


「どれくらい遠くまで行けるのかね?」


「多分、僕が見える範囲くらいなので、2kmとか4kmとかだと思います」


魔法の能力で言えば果てしなく遠くまで飛べるのかもしれない。

ただ、タケルの魔法は家電の置き換えだ。

『ドローンは電池が長持ちしない』と言うイメージはタケルの魔法に反映されてしまっているのだ。


タケルが『それ以上行けない』と思っている以上、それ以上は飛べないのがこの魔法なのだ。


「この魔法はこの魔法ですごく気になるが、まあ、斥候が分かればいいだろう」


「あ、失礼しました」


「クルーガクは出兵したら、マティアスに到達するまで約2週間かかるだろう。しかし、魔の森を通り抜けることができれば1週間とちょっとで通り抜けられるはずだ。情報取りにも攻めるのにも一歩も二歩も先取りできるのだ」


「なるほど。大丈夫ですよ」


「とりあえず、10人連れていけるかね?」


「はい。問題ないと思います」


「それでは、早速明日から行ってもらえるかね?」


「え!?明日ですか!?」


「それだと、僕もクルーガクが出兵するまで待機になりませんか?」


「まあ、そうなるなぁ」


「無線機ではだめですか?」


「また新しい言葉が出てきたな。『むせんき』とは何かな?」


「えーと、こんな箱なんですが・・・」


タケルは携帯よりも少し大きいトランシーバー状の箱を取り出した。


「2個セットで使います。あ、王様1つ持たれてください。」


「うむ、これでいいのかね」


「はい。では、僕は別の部屋に行きます。あの、どなたかどこでもいいので僕を別の部屋に案内してもらえないでしょうか?」


「では、わたくしが」


前に出たのはアルテーシアだった。


「え?あ、はい。よろしくお願いします」


タケルとしても意外だった。

侍女の誰かが案内してくれると考えていたのだ。

ただ、後で『証人』になってもらわないといけないので、王様の娘であるアルテーシアは最適だと考えた。


侍女が先導し、ドアを開け、その後をアルテーシアが歩く。

タケルはさらにその後をついて歩いて行った。


「ちょっと待っていてください」


タケルとアルテーシアは部屋を出て行った。



「なんだというのだね、これは」


トランシーバーを持った国王がアルフレット(クレアパパ)に聞いた。


「さあ、なんでしょう。これは私も初めてみます。クレア、分かるかね?」


「うー、どうでしょう?タケルさんがいつも持っている『スマホ』に似ていますが・・・」


「『すまほ』かね。また聞いたことがない言葉だな・・・」


その後、少しの雑音とともにタケルの声がした。


『あの、王様聞こえますか?』


「なんだ!タケルの声がこの箱から聞こえたぞ!」


『今からそちらに戻ります』


しばらくして、タケルとアルテーシアが侍女とともに戻ってきた。


「どこまで行っていたのかね」


「1階の食堂まで行ってきました。できるだけ離れた方がいいということでしたので」


「食堂!さっきの声は食堂から話した声だというのかね!?」


「はい、横のこのボタン・・・出っ張りを押してしゃべります」


しばらくトランシーバーの使い方講座になった。

ここも『アンテナがないとスマホはつながらない』と言うタケルの先入観が魔法に反映された形だ。


トランシーバーは日本国内品ならば、5km程度しか電波は届かない。

海外製のものでは10km以上届くものもあるが、タケルはそんなことを知らない。

『何となく遠くまで声が届く』と言うイメージから、このトランシーバーの通信距離に制限はなかった。


「これならば、多分100km先でも声が送れます」


「本当かね!?」


「はい、距離に関係なく会話ができるので、馬は不要です」


「なんと!すぐに伝わるのかね!?」


「はい、タイムラグはほぼないと思います」


「『タイムラグ』時間の差のことかな」


「はいそうです」


「これは・・・戦局がガラッと変わるぞ」


「あの、大変申し訳ないのですが、このトランシーバーをお貸ししますので、魔の森を通り抜けたら一旦家に帰りたいです。学校もありますし・・・」


「学校と言うのは勉学の場かな・・・根っからの学者なのだね。まあ、分かった。この兵器を貸してもらえるのならば善処しよう」


トランシーバーは『兵器』として捉えられてしまったが、実際そうなのかもしれない。

現代でも過去でも情報をいかに早く届けるかが戦局を大きく分けるのだ。




あ、やばい。

ストック切れそう。

いまんところ、アクセス数だけがモチベーションです。


冒険に出ようとすると動かなくなるタケル。

冒険が苦手みたいです・・・


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スキップして喜びます(|ヮ|)


あ、昨日も1件ブックマークいただきました!

ありがとうございます。


明日の更新も朝6時です

よろしくお願いします


ライターさせてもらっている雑誌が出ました。

WEB版もあるのでよかったらご覧ください

https://www.data-max.co.jp/article/44067

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