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クレアに似た少女と兵士の訓練

次女の後から入ってきた少女にタケルは目を奪われた。

クレアに似た少女とは真っ先にタケルと目が合った。

少女は一瞬驚いたようだったが、その後はすました顔でおとなしく国王の横に座った。


「これが娘のアルテーシアだ」


「アルテーシア!」


「どうかしたかね?タケルくん」


「あ、いえ、すいません」


タケルは昭和アニメも大好きだったのでちょっと驚いただけだ。


「シア、彼がタケルくんだ。クレアの婚約者だそうだ」


アルテーシアが立ち上がりタケルの方をしっかり見て挨拶をした。


「タケル様よろしくお願いします」


タケルも飛び上がるように立ち上がり、あいさつした。


「よろしくお願いします!」


「タケルくんは次の戦争で食材を提供してもらうことになるかもしれないんだ」


「食材・・・ですか?」


「ああ、そうだ。その他、魔法も全属性使えるそうだぞ」


「まあ、それはすごいですね」


「後で訓練に参加してもらおうと思っている」


「・・・タケル様は一般の方でしょう?加減されてくださいますようお願いしますね」


「ああ、もちろんだ。無茶はしないよ。はっはっはっ」


国王からシアと呼ばれる少女、アルテーシアは、声は小さく、背筋がピンとしていて、それでいて心優しいところもあるような、まさに完璧なお姫様だった。


「クレアさん、アルテーシアさんってどこかクレアさんに似ていますね」


タケルがクレアに小さい声で言った。


「そうね、いとこだし、血がつながっているから似ているのかもね。ただ、次期王女(女王?)と言うこともあり、わたくしと違って一部の隙もない王族と言う感じよ」


「クレアさんは親しみが持てて、すごく好印象ですよ」


「まあ、タケルさんったら」


「おほん、そこナチュラルにいちゃつかないでもらえるかな。国王の前だし」


「あ、いや、いちゃつくなんて・・・」


「はっはっはっ、仲がいいのは良いことだ。いい人を見つけたんだねクレア」


「はい、タケルさんはとてもすごい方です。そして、これからももっと活躍すると思っています」


「ほほお。確かにな。庶民でありながら私のところまで名前が轟いておるしな」


「マティアスに来てたった1か月程度で孤児院の経営状態を改善させ、現在では領内のほぼ全部の改善が出来ています」


「そうだったのか。それはすごいな。君は商人なのかね?」


「いえ、商人ではありません」


「そうか、魔の森にも自由に出入りできるというし、冒険者かね?」


「森に入るのは食材調達も兼ねているのですが、仕事と言うわけではありません」


「料理人でもないのだろう?」


「はい、本分は学生です」


「学生・・・学者か?」


「学者・・・と言うと学問を究める人かと思います。僕はまだ基本的なことを習得している最中と申しますか・・・」


「誰も立ち入ることができない魔の森に自由に出入りできき、市場の食材を一番多く取り扱い、魔法が全属性使えて、自らも作り出すことができ、侯爵家の婚約者である学者見習い・・・そんな規格外の見習いがいるのかね」


「ははは・・・」


タケルが返答に困て弱っていると横からアルテーシアが質問した。


「あの・・・お父様、この料理たちは一体・・・」


「ああ、これは、タケルくんがアイテムボックスから取り出した料理だ。兵士の食事のサンプルだ」


「戦地でこのような料理がいただけるのですか?」


「彼ならば可能だそうだ」


「まあ・・・」


「あ、スイーツもありますので、いくつかお出しします」


タケルは最近開発中のスイーツの中から、屋敷の侍女たちに評判がよかったものをいくつか取り出し、テーブルの上に出した。


「よかったら試食してみてください」


そういうと、侍女たちが横からフォークを準備し、アルテーシアの前に置く。


一瞬ぴくっと反応したアルテーシアだったが、すぐにすました感じで「それではいただきます」と言って小さな一口を食べた。


「大変結構です」


「ありがとうございます」


アルテーシアは、タルトを小さく一口だけ食べてそのままフォークを置いてしまった。

あまり口に合わなかったのかもしれない。

タケルは屋敷の侍女たちと王女様では好みが違うのかもしれないと思い、店に出すにはもうひと調査必要かもしれないと気持ちを引きしめた。


「よし、食材の話はあとで担当者を紹介するので、契約を頼む。ある程度利益を確保しておけよ?」


「はい、ありがとうございます」


「あと、噂の珍しい食材も城に収めてくれると嬉しいが?」


「もちろんです。提案させていただきます」


またタケルの月の売り上げが上がってしまいそうだ。

しかも、今度は城との直接契約だ。


戦争としての特需だけではなく、日常の仕入れもとなると既に学生バイトの域はとっくに振り切っている。


大学進学どころか、高校卒業も危ういほど忙しくなりそうな予感だった。


「では、あいさつも終わったことだし、訓練を見て回ろうか」


「よろしくお願いします」


タケルがお礼を言うと、国王の案内で城の中を見て回ることになった。

当然、クレア、クレアパパも同行で、アルテーシアも着いてきた。


「ここは?」


「ここは、魔法攻撃の練習場だ」


切られた丸太がロープに括り付けられていくつもぶら下がっている。

数にして20数個と言うところか。


数字が書かれた丸太が順番に揺れているように見える。


「どういった練習をするのですか?」


男たちが魔法を使って攻撃しているのだが、丸太は揺れているものの壊れる気配はない。

どういう練習なのかタケルには分からなかった。


「ここは魔法の正確な攻撃を練習している。威力は最低でいいので、連続して的に当てる練習だ。ちょうどいい、やってみるか」


「最小限の魔法・・・と言うと、ナイフを突き立てるとかでもいいのですか?」


「魔法で飛ばすのならばそれでもかまわんよ」


タケルは1番目から的に当てていく練習だと思い、1,2,3・・・とナイフを丸太に突き刺していく。

・・・と言うより、丸太に刺さる位置にナイフを出現させる。


「ほう、最初にしては速いじゃないか」


(パチパチパチパチ)


一同が拍手する。

そこで練習していた魔法士たちも拍手していた。


ただ、練習していた人たちよりも速いというわけではない。

「番号が若い順に狙うとなると、場所も覚えないといけないしなかなか難しいですね」


「場所?ああ、数字か。あれは何番を外したかと話すためのものだから順番に当てる必要はないよ」


「そうなんですか。じゃあ、全部いっぺんにでもいいんですか?」


「いっぺんに?・・・できるならね」


「もう一度させてください」


タケルは23このターゲットを捉えたら同時にナイフを突きつけた。


「「おおーっっ!」」


周囲が驚いた。

今度は速かったらしい。


「23個も同時にかね。すごいな」


「はい、とりあえず現状50くらいまでは同時にいけると思います。丸太だと敵意がないので、一度見る必要がありますが、魔物ならば50でも同時に行けます」


「本当かね!?そんなことができるものはここにはいないよ」


本当は500まで行けるようになっていたが、ちょっと抑えめに言っておいた。

何か良くない方に捉えられてしまいそうだった。



「次は、剣術だ。木剣で、2人一組で剣術を競う。両肩の木の実どちらかを先につぶした方が勝ちだ。」


「うわー、これは苦手なやつだ・・・剣道の授業は選択だったか取ってないんだよな・・・」


明らかに打たれるのが分かっていたので、防具をたくさん付けさせてもらっていた。

そこら辺にいた兵士と組んで乱捕りをすることになった。


「始めっ!」


相手はすぐにダッシュでタケルに向かってきて、タケルが驚いた瞬間の隙をついてすぐにタケルの肩の木の実はつぶされた。


しかも、当たり所が悪かったのか、相手の威力が強すぎたのか、タケルの肩に紫の痣が出来ていた。


「いてて・・・」


「大丈夫かね。すまないな」


「あ、痛かったけど、大丈夫です。ちょっと待ってください。治します。」


タケルは肩に手を当てた。


『打撃による内出血と鎖骨の単純骨折です。筋原線維の修復と余分な血液の排除、骨の修復を行いますか?使用物:タンパク質、ビタミン、ミネラル、カルシウム(YES/NO)』


「(YESっと)」


次の瞬間、傷は治っていた。


「ちょっと待ちたまえ!今何をしたんだね!?治癒魔法かね!?」


「治癒魔法は使えません・・・が、悪いところを鑑定して、必要な材料を合成して身体を治しました・・・」


「つまり・・・?」


「・・・治癒魔法に近いかもしれません(説明が面倒だった)」


「どこまで治せるのかね!?」


「限界まで試したことがないので何とも・・・」


「身体の欠損などは治せるのかね?」


「例えば手が無くなったとかですよね・・・元を知りませんので、無くなった手の逆の手を参考に作る・・・とかはできるかもしれません」


「なんだそれは・・・既に神の領域じゃないのか・・・」


「ははは、そこまででは・・・あ、さっきの木の実をつぶすやつはズルをすれば勝てるかもしれません」


「ズル?どんなズルができるんだね?」


「見ての通り、僕に武道の心得はありませんので、スタートと同時に背後に逃げて木の実をつぶすとかです」


「そんなことができるものなのかね!?そんなことができれば苦労は・・・まあ、やってみたまえ」


仕切り直しでもう一度、同じ兵士と乱捕りを行うことになった。


「悪いな。今度は手加減してやるからな」


さっきの兵士は既に『いいところ』を見せたので、今度は余裕のある顔をしていた。

兵士も国王が見に来ているとなれば張り切るのは当然だった。


「始めっ!」


タケルは『テレポート』で兵士の背後に立ち、肩の木の実を手でつぶした。

いきなり視界から消えたので、兵士は何が起きたのか分からないでいる。


その兵士だけではない。

国王もアルテーシアも目が点になっていた。


「すいません。剣だと力加減が分からないので、手でつぶしてしまいました」


「今のは超加速の魔法かね!?」


「瞬間移動です」


「・・・」


その後は国王が静かになった。




たくさんのアクセスありがとうございます!


明日の更新も朝6時です。

よろしくお願いします。

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