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国王との謁見

「タケルくん大変だ。陛下から声がかかった」


「・・・」


屋敷内でアルフレット(クレアパパ)に呼ばれて告げられた。

タケルとしては正直『なぜ?』と言う感想だった。


そもそも面識がない。

そして、戦争前の忙しいであろう時に訳の分からない人間に会う理由・・・


考えると嫌な予感しかしなかった。

そして、謁見の機会は驚くほどすぐやってきた。


クレアパパに謁見用の服を準備してもらって、馬車で行くことになった。

さすがに知らない場所に『ドアツードア』で行くわけにはいかない。


会いたくない時はこちら側も数の勝負に出るがいい。

クレアとクレアパパも同行してくれることになった。



王城はクレアの屋敷から馬車で2時間は場所だった。

距離はそれほどあるわけではないのだが、ゆっくり走る必要があった。


入門時のチェックはクレアパパと一緒だったので最小限。


控室で準備をした後、王の間に通された。


玉座の間では、正式な挨拶などは知らないので、同行したクレアパパとクレアの真似をして国王の前にひざまずいた。


玉座の間では両脇に20人ほどの兵士が鎧姿で立っていてセキュリティの要素もあるのだろう。


目を閉じて玉座に座っていた国王が目を開き話し始めた。


「アルフレット久しぶりだな」


「はい、陛下におかれましてもご機嫌麗しくお喜び申し上げます」


クレアパパが顔を上げて返した。


「クレア嬢も変わりないかな」


「はい、益々元気に過ごしております」


この辺りは2人とも慣れたもので、滞りなく挨拶が進んだ。


「お主も顔を上げよ」


「はい」


タケルも顔を上げた。


「お主がタケルか。王都中央広場とタザーエリアの市場での噂は聞き及んでおるぞ」


「ありがとうございます。嬉しいです」


「・・・」


「・・・」


話が続かない何かおかしい。

タケルは何とも言えない緊張感に包まれた。


「よし、続きは談話室じゃ。護衛は下がってよい」


「「ははっ」」


護衛たちが下がっていった。


「さ、タケルくん、我々も移動しよう」

クレアパパが誘導してくれた。


「あの・・どちらに?」


「談話室だよ」



今度は玉座の間とは違って、会議室程度の広さの部屋に通された。

談話室と言っても、クレアの屋敷の食堂を思わせる広さと長テーブル。

調度品はやはりと言うか豪華を極めている。


タケルは、クレアパパ、クレアに倣って、テーブルについた。


しばらくして、先ほどの国王が入ってきた。


「あー、疲れたー。アル久しぶりだな。」


「お疲れ様、兄さん」


「これでその『幻のスープ』が兵士食として出せるのか?」


「ああ、他の料理も食べられるよ」


そうなのだ。

クレアパパは侯爵家。この国では、侯爵の上の爵位はなく、王族となる。

爵位は下位にしか付けることができないので、侯爵家と言うことは王家の血族と言うことなのだ。


「クレアは以前よりしっかりしたね。婚約したからかな?」


「はい、色々勉強になっています」


「その婚約者がタケルくんか」


「はっ、はいっ!」


「ははは、あんまり緊張しなくていいよ。これから家族になるんじゃないか」


国王は割と気さくな人みたいだった。

タケルは心の中で少し安心した。


「まあ、順序的に公的な場で一度会っていないとこうして君とは会うことができないからね」


色々大人の事情もあったようだ。


「王様にお会いする機会なんてなかったので、緊張しました・・・」


「ははは、君は良い子のようだね。安心したよ。クレアは私にとっては大切な姪だ。変な相手だったらと心配だったんだ」


「クレアさんにはいつも助けられてばかりです・・・」


「後でアルテーシアも来るから」


『誰?』とクレアに視線を送る。


「マティアスおじさまの、国王様の娘さんですよ。わたくしのいとこです」


「王様の娘さん・・・お姫様!」


「ははは、お姫様はよかったな。将来、君のいとこになる子だ。仲良くしてやってくれ」


「は、はい!」


「それで、アル話しておいてくれたのかな?」


「いや、直接兄さんから言ってもらった方がいいと思って」


「なんだ、突然言われたら困るんじゃないのか?しょうがないな」


国王とクレアパパの間では何か話が通っているみたいだ。

クレアは「なんでしょうね?」と、ここは知らない様子。


「実は、近々他国と戦争になる可能性がある。そこで士気を上げるために食事に力を入れたいんだよ」


「はあ」


「君のうわさは王都中央広場の『バイキング』やタザーエリアの市場で聞いていたからね。なんでもすごい保存食を扱っているそうじゃないか」


「なるほど。そういうことですか」


タケルは察した。

高校の歴史の授業で聞いたところによると日本でも戦の時は食事が重要な要素だったらしい。


日本では武士たちは自分たちで数日分食事を準備して、あとは支給だったらしい。

仕事(戦)は早々に終わらせて酒を飲む人間もいて、二日酔いで翌日の仕事に影響することも多かったのだとか。

日々の食事の質が高いと戦績もよくなるという話を聞いたことがあった。


「随分大きなアイテムボックスも持っているそうじゃないか」


タケルはテーブルの上に、いくつかの料理を出して見せた。


「ちょうど市場でこれから出す予定のメニューがありました」


次々出てくる料理に国王は目を丸くする。


「すごいな、聞いていた以上じゃないか。騎士団の言っていた『幻のスープ』はないのかね?」


騎士団のいう『幻のスープ』とは、先日のクリームシチューのことだろう。

作り置きはないけれど、成分は分かっている。

ストレージ内の材料だけで合成可能だ。


皿に注いでテーブルに出して見せた。

熱々のおまけつきだ。


「おお!これか!ゴーストンがやたら騒いでおったから気になっていたんだ」


ゴーストンさん何してくれてんだと心の中でタケルは思った。


「タケル、スープも準備していたのかね?」


クレアパパから質問された。


「あ、いえ、ストレージの中の材料で今作りました」


「ちょっと待て、物の出し入れだけではなく、思ったものを作り出したというのかね」


「まあ・・・ちょっと違いますが、おおむね合ってます」


「考えたものをすぐに形にして取り出すというと、神との違いがもはやわからんよ・・・なんでも出せるのかね?」


「ぼくが持っているものや、知っているものならば・・・」


「例えば、剣を出せるかね?」


「何本くらい出しますか?」


「そんなに何本も出せるのかね?」


「今持っている剣は約500本です。足りないことがあって作ったので、比較的多めです」


「ちょっと待ってくれ、それを全部出さないでくれよ?」


「ははは、はい」


タケルは1本の剣を取り出し、両手でもって国王に手渡しに行った。


それを受け取った王は立ち上がり、何もないところで剣を一振りした。


「うむ、ちゃんとした剣だ。驚いたな」


「恐縮です」


「君は魔の森にも入って狩りをしているのだとか」


「はい」


「剣は誰に習ったのかね?」


「剣は習ったことがありません。魔物の場合射程内に現れたらすぐに剣を急所に出現させて仕留めます」


「斬新だな。射程はどれくらいかね?」


「約10kmくらいです」


「・・・無敵じゃないか」


「恐縮です。ただ、魔の森には強いものもいて先日ひどい目にあいました」


「そうなのかね!?大丈夫だったのかね?」


クレアパパが割って入った。


「まあ、なんとかなりました・・・」


クレアも危険な目に合っている分、歯切れは良くない。


「君は面白いな。料理人として雇おうと思っていたのだけれど、ほかにも色々できそうだな」


どうやらタケルは戦争の時の料理人として雇われる予定だったみたいだ。

ただ、そんなことは未経験だ。

タケルはいくつか聞きたいことがあった。


「あの・・・戦争の時って何人ぐらいが、どれくらいの期間の予定でしょうか?」


「そうだな、今回は2000人前後で期間は半年から1年になりそうだ」


「2000人・・・多いですね」


「もちろん、補助者を入れるよ。20人前後なので、1人当たり100人分くらいを作ることになるな」


確かにタケルの能力ならば、大量の食材を持ってことも可能だし、調理も市場で鍛えているので何とかなりそうだ。

ただ、問題は期間だ。


タケルは学生、学生の合間に戦争・・・なんてできるはずもない。


「すいません・・・定期的な食材提供は出来そうですが、料理までは・・・」


「そうか、では、食材は一度にどれくらい出せるかね?」


「それは希望の量だせますが、悪くなることも考えると2~3日分ずつ現地に届けるのがいいと思います」


「それは・・・間違いないが、できるのかねそんなことが?」


「あまり表立って言っていませんが、転移魔法が使えます。必要な場所に必要な量を届けることができます」


「君は・・・面白いな。ほかにどんなことができるのかね?」


「すいません・・・他はあんまり・・・」


「でも、全属性魔法が使えますわ」


クレアが参戦した。


「ああ、そうか、それがあった」


「なんと!君は神に愛されているのか!?」


「あと魔法を作れるので必要があったら、何かできるかもしれません」


「本当かね!?君はもう一人で一小隊の破壊力があるな・・・」


「おじさま、タケルさんが本気になったら国が亡ぶと思います・・・」


「そこまでかね!?」


「そう言えば、以前屋敷の屋根で考えをごとしながら火柱と水柱を交互に上げていたかな・・・」


「あれは、あとに数キロ先から『何かの合図か』と問い合わせがありました」


「どうなっているんだ・・・後で訓練の方ものぞいて行ってくれたまえ」


「あ、はい、ありがとうございます」


(トントン)


「お、来たようだな。入りたまえ」


(ガチャ)


侍女が開けたドアの後から入ってきたのはクレアとどこか背格好が似ている少女だった。


昨日はまた300アクセス行きました。

やる気が出ました。

ありがとうございます!


あ!ブックマークが1件増えている!

もっとやる気が出ました。


次回も更新は朝6時です。

よろしくお願いします。

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