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学園祭の2次会

高校生で『2次会』に行った人がどれくらいいるのだろうか。

焼肉は間違いなく1次会で、会を仕切ったリーダー6人と総監督のタケル、クラスは別だがMVPのユウナギ、アドバイザーのクレア、シャル、ローレット、フォレスタの11人だけの2次会が今開催されようとしていた。


11人ならば、店の選択肢はある程度ある。

川島、長友、渡辺はそれぞれいい具合にチャラいので、大学生に見えなくもない。

同年代が見れば高校生か大学生かはすぐに見分けがつくが、お店の人は大人だ。


彼らくらいチャラいと大学生と見えなくもないのだ。


そして、仁心瑠にこる希星きらら心愛ここあは良い具合にギャルなのだ。

年齢はよくわからない。

たとえ居酒屋に入っても、誰も止めないだろう。

ギャルとはそういう最強生物なのだ。


タケルとユウナギは高校生らしい。

ただ、リア充が6人もいたら、ユウナギも入れたら7人だが、タケルのことをわざわざ注目する人がいるだろうか、いやいない(反実仮想)


大人さえいれば、子供でも居酒屋への出入りは簡単だ。


子供っぽいというならば、背格好から判断して、クレア、シャル、ローレットの3人と、決定的なのがフォレスタだ。

たえだ、クレアは変なテンションになっていた。


普段、侯爵家令嬢として、もてはやされる一方でどこか一線引かれ疎外感を感じていたクレアは、普通の高校生の打ち上げに参加して、遠慮なく、忌憚なく、ざっくばらんに会話を扱ったことで、とてもご機嫌なのだった。


長年の夢が思わない形で実現して、テンションが変に爆上がりだった。

そして、その変なテンションがさらなるカオスを招き入れる。



行った店は「ダイニング・キッチン」と言う居酒屋なのか、レストランなのか分からないスタイルの店。


四角い大きなテーブルの席に通されたので、みんな各々の席に座った。


「お飲み物は?」と聞かれ、ほとんどがウーロン茶などを注文したが、クレアはメニューを見て赤ワインを選んだ。


一番幼く見えるので、店員も「あの失礼ですが・・・」と年齢確認をしようとしたら、「何か?」と笑顔で答え、店員は質問がすることができなかった。

横にシャルとローレットがいたのもそれに拍車をかけた形だ。

料理は、オードブル的なものを注文した。


クレアは初めての日本の酒に興味を持っていた。

思いの他おいしいのだ。


そもそも、クレアは12歳だが、マティアスでは成人だ。

タケルたちよりも年齢が低くても、彼女の国では成人なので、お酒は飲んでもいい。

普段からマティアスの酒はたしなむ程度に飲んでいた。


マティアスではそれが当たり前だった。

少しくらい酒が入ったほうが、会話は進むし、仲もよくなれる。

ただ、どの程度強いかは別の話。


「クレアっちおっとなー!」


「わたくしこれでも(マティアスでは)成人していますのよ」


「マ!?ちっこいから小学生かと思ってた!しっかりした小学生だなって」


「山田様、それ以上主人を貶めるのは・・・」


シャルが止めに入った。


「シャル、良いのよ」


「クレア様がそういわれるのならば・・・」


みんな空気を読んで、誰もクレアのことを小学生とは言わなくなった。



「「「カンパーイ!」」」


「おつかれー!」


「おつー!」


みんなノンアルコールだが勢いよくスタートした。


ちなみに、フォレスタは一人オードブルをハムハム食べている。


渡辺がタケルの肩をがっちりホールドして聞いた。


「ところでさぁ、タケルー、ユウナギちゃんとはどうなんよ?」


「どうって?」


「どこまで行ったんだよー?」


「うーん、『異世界』までかな」


「異世界ときたか!タケルやっぱすげえな!やるときはやってんなぁ!」


渡辺が『異世界』をどのように受け取ったのかは分からない。

ただ、会話は成り立っていたようだった。


「タケルっちー、今回はお疲れー!マジ助かったし!」


仁心瑠にこるが褒めた。


「俺は?俺は?」


「マジキモいし」


川島は分かりやすいアピールをしたが、スルーされた。

やっぱり仁心瑠にこるを狙っているのかもしれない。


「ユウナギちゃんもクラス違うのにありがとね!旦那のためだったね!」


タケルのことを『旦那』と言われてユウナギが真っ赤になって照れている。


「ちょ、マジかよ、超カワイイじゃん。『烏尾高校の奇跡』は伊達じゃなかった・・・」


「はい、はい、はーい!ユウナギちゃんはタケルっちのだからガイヤが横入りしなーい!」


みんなテンションが上がりまくっているようだった。

どうでもいい会話で盛り上がっている。

本当にシラフだよね?



「クレアっちは外国のお姫様なんでしょ?なんで日本にきたの?」


「しょ、しょれわ、お慕いしているひぃとが・・・いますのれ・・・」


みんなワイワイとしていたのだが、段々とクレアの酔いが回ってきた。

日本の酒はマティアスの酒よりもアルコール度数が高いみたいだった。

しかも、味はクレア好みみたいだった。


段々顔が赤くなって、目が潤んでいくクレア。

そろそろチャンスと仁心瑠にこるはタイミングを見逃さなかった。


仁心瑠にこるがノリ良く発言した。


「ね、合コンごっこしようぜぇ」


「「合コンごっこ?」」


聞いたことない単語に一同が聞き返す。


「合コンっぽいことをするんよ、あ、合コン行ったことある?」


「うちはないけど、キララ彼氏大学生じゃなかった?」


「うーん、カレシは隠れて合コン行くけど、うちはいったことないー」


タケルは陰キャだし、ユウナギはタケルにぞっこんなので、ここにいるメンバーは本物の「合コン」と言う物を知らなかった。


「うちもあんま知んないけど、『合コンっぽこと』をしてみようっていうゲーム?」


「面白そうじゃん!」


「まあ、変なことじゃなければ・・・」


概ねその方向に進むみたいだった。


「で、どんなことすんの?」


希星きららが聞いた。


「うーん・・・」


仁心瑠にこるはうーんと少し考えるしぐさをした後に続けた。


「じゃあ、『本音ゲーム』は?」


「本音ゲーム?」


仁心瑠にこるの提案に一同が聞き返した。


「みんな目をつぶって下を向くの」


「ほうほう」「うんうん」


「そして、順番に質問していくの。自分だーと思った人は静かに手を上げるの」


「はー」


「質問は一人1個、質問が終わったら合図をして次に移動するの」


「ほー」


みんな分かったような、分からないような、そんな気分になっていた。


「じゃあ、練習からやってみようか」


みんながやがやしながらも食べたり飲んだりしながら、『練習』に乗っかることになった。


「じゃあ、うちから」


とりあえず、全員が目をつぶって顔を伏せた。


「今回の学園祭、成功だと思う人―!」


誰も何も言わないけれど、そこかしこで手を上げる音が聞こえた。


その『練習』でギャル2人と川島、長友、渡辺は理解したみたいだった。

タケルはそもそも興味がなく、ユウナギは天然だった。


クレア、シャル、ローレットは外国の文化についていくのがやっとで、何も裏は見えていなかった。

しかも、クレアは良い具合に酔いが回ってき始めていた。


ちなみに、フォレスタはオードブルを食べている。

いまはサラミを制覇中だ。


「みんな手上げたんじゃね?」とか、「成功だよね」とか、どうでもいいことを話していた。

別に何か面白いわけじゃない。

高校生ならではのノリなのか、この場の雰囲気なのか、この面白くないゲームは、この場所限定で成立していた。


「じゃあ次、うちー」


希星きららが続けた。


「こんなかに好きな人がいる人―!」


数名が手を上げた音が聞こえた。

お気づきだろうか?


既に顔を伏せているのは、タケル、ユウナギ、クレア、シャル、ローレットだけなのだ。

ギャル3人と、男子リア充3人は『このゲームの面白いところ』にいち早く気づき、既に顔を伏せていない。


フォレスタはきょとんとして、オードブルを食べていたが、ギャルたちから『しー』とジェスチャーをされたが気にせず、食べ進めていた。


「じゃあ、次うちー。みんな顔を伏せて伏せて」


みんな(ギャル3人、リア充3人除く)が、顔を伏せた。


「タケルっちのこと好きな人―」


「「・・・」」


ユウナギ、クレアが手を上げ、少し遅れてシャル、ローレットまで手を上げた。


ギャル3人とリア充3人は声を殺して笑っている。

もう、大興奮だ。


「はい、戻ってー」


みんな顔を上げた。


「タケルっちー、何となくだけど、めちゃモテじゃね!?」


「え?そうかな?」


「マジすげぇ、うちも惚れそうだわ」


リア充たちが何だかいやらしい笑いをしている。


「次、うちー。みんな顔を伏せてー」


心愛ここあも続いた。


「タケルっちの家に泊まったことある人―!」


「「・・・」」



ユウナギ、クレアが手を上げた。


(ざわっ)とあたりがざわついた。


「はい、戻ってー」


タケルたちが顔を上げた。


「マジ!?マジ!?マジ!?」


「どうなってんのこの3人!?」


変な雰囲気にさすがのタケルとユウナギも気づいた。

ユウナギが一人顔を真っ赤にしていたので、あらぬ誤解は加速した。


「じゃあ、話のネタがそろったみたいなんでぇ、タケルっちとユウナギちゃんの関係から聞きたいなー」


希星きららが悪ノリした。


「きー!ワンチャンユウナギちゃん狙ってたのに!」と仁心瑠にこるがおしぼりを歯で噛み引っ張りながら言った。


「「ぎゃははは」」


クレアは段々眠たくなってきたのか、テーブルに伏していた。

それでも質問をすると手を上げるので、みんな面白がって質問を繰り返した。


「タケルっちのことを愛してる」


(さっ)←手を上げる音


「「おおー!」」


「タケルっちとキスをしたことがある」


(さっ)←手を上げる音


「「おおおー!」」


もはや『質問したら素直に答えるかわいい生き物』と化していた。



「タケルっちとお風呂に入ったことがある」


(しーん)←手は上がらない


「それは、わらわじゃな」


フォレスタがオードブルのチーズを食べながら発言した。


「マ!?タケルっち守備範囲が広い!」


「まじかよ!?今度から『タケルさん』って呼ばせてもらうわー!」


なんか、変な誤解は止まらないのだった。

2次会は、タケルにとってひどい誤解の積み重ねだった。


翌日から、仁心瑠にこるには「きー!いつかユウナギちゃんを奪って見せるー!」と言われ、川島、長友、渡辺からは「タケルさん」と呼ばれるようになったのだった。




3回も書き直したのに、こんな感じですわ・・・


一昨日470アクセスもいただきました!

いつもの2倍くらい行きました。

びっくりです。

ありがとうございます(^^)


明日も更新は6時です。

よろしくお願いします。

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