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マティアスの朝とメイド

朝、当然、マティアスでも心地よい朝が訪れる。

しかも、祖父が亡くなってからは一人で目が覚めて、動き出す生活をしていたタケルにとっては、朝の水を持ってきてくれるクレアの屋敷での生活は寂しさを紛らわしてくれる最高の環境だった。


朝は小さくノックされ侍女のローレットが顔を洗うための水を水桶に入れて持ってきてくれる。

そのわずかな音でタケルは目を覚まし、ローレットに「おはよう」を言う。


彼女は最高の笑顔で「おはよう」を返してくれる。


このところの習慣になりつつある流れ・・・

今日もそのルーティーンをこなしていこうお思いローレットに声をかける。


「おはよう」


「おはようございます」


「今日も早いんだね」


「仕事ですので」


タケルはまどろみつつもベッドでふと自分の右腕を見た。


2本・・・


左手は・・・2本・・・・


「ぎゃー!」


タケルが悲鳴を上げたころ、一大事にもかかわらずローレットはそそくさと部屋を出て行った。


「なっ、なっ・・・」


左右4本の手を見て慌てていると、すぐ横から声が聞こえてきた。


「なんじゃ、なんじゃ、朝から騒ぎおって・・・」


見ていた2本の腕以外の2本の腕はフォレスタの腕だった。

横になったタケルのお腹の部分にすっぽり収まって寝ていた。


「わらわの眠りを妨げるとは万死に値する」


そう言うと小さいこぶしを振りかぶった。

こぶしが小さいことに反して肘から先には炎が蜷局とぐろを巻いている。


あんなもので殴られたらどうにかなってしまうだろう。

最悪死んでしまうかもしれない。


タケルは反射的に頭をかばった。


(ぼく・・・)


フォレスタの炎のこぶしは、タケルに当たる瞬間に炎は消え、弱弱しい幼女のパンチとなっていた。

しかも、殴りつけた手の方が弱かったので、手首のところで曲がってしまい、むしろフォレスタの方が痛そうだ。


「いたい、いたい、いたい!」


右手首をかばうようにのたうち回るフォレスタ。


「わらわにこのような攻撃をかますとは・・・1000年ぶり、いや、1500年ぶりか!」


邪悪な表情になったフォレスタはもはや本気。


振りかぶった右手は、先ほどよりも大きな蜷局とぐろを巻いた炎で周囲の温度まで上がっている。


「危ない!危ないから!炎を消して!」


タケルの悲鳴にも似た叫びに呼応してフォレスタの腕の炎があっさりと消えた。


「ぬ!?もしや・・・」


起き上がったタケルにフォレスタはパンチを繰り返す。


(ぽく)「あいた」

(ぽく)「あいた」

(ぽく)「あいた」


必死にパンチを繰り広げるも、所詮幼女。

タケルの厚い胸板はびくともしない。


本当に痛いのかも疑問だが、とりあえずパンチが当たっているので、反射的に「あいた」というタケル。(痛くない)


「ぬっー!わらわの攻撃が無効化されておるわー!」


頭を抱えてベッドの上をのたうち回るフォレスタ。


「どうした、どうした、どうした。大丈夫か?」


心配になるタケル。


「(もしや・・・)」


フォレスタにはある考えが閃いていた。


「お主、わらわに何か命令してみてくれ」


「命令?・・・じゃあ、お手」


「わん」


タケルが元気よく「お手」をいうと、反射的にフォレスタは笑顔て「お手」をした。


「「・・・」」


「おかわり」


「わん」


タケルの声に反応して、0.1秒後には逆の手にフォレスタの「お手」が完了していた。


「のーーー!わらわは従魔となっておるわー!!!」


「フォレスタ、どうしたの?朝からテンション高めだね・・・」


のんきに話しかけるタケルに真剣に返すフォレスタ。


「のんびりしておる場合ではないわ!わらわともあろう者が人間ごときの従魔に・・・はっ!名前か!名前なのか!名前を付けられたからなのか!」


「どうしたの、フォレスタ。起きたら『おはよう』でしょ?」


「おはようございます♪」


笑顔で朝の挨拶をするフォレスタ。


「ノー!違うのじゃー!」


聞けばフォレスタはいつの間にかタケルの従魔になっていたのだという。

考えてみれば、フォレスタが眠りにつくのは珍しい。

ひとたび戦闘になれば1か月以上寝ないで戦い続けることも容易だという。


それが、昨晩は絵本を読んでもらっている最中に寝落ちしてしまったのだ。

ありありと主人であるタケルの「思い」がフォレスタに反映されている。


幼女とは絵本を読んでいたら寝てしまうもの。

そんなタケルの思い込みが反映している。


いつの間にか主人となってしまっていたタケルが「フォレスタはこんな子のはず」という思い込みがそのまま反映されるのだ。


「小さい子は絵本を読んであげていたら、すぐに寝てしまうだろう」というタケルの思い込みがそのまま反映された形だ。


「そっか、フォレスタは僕の従魔になったんだ。従魔ってどんなことができるの?」


「わらわの力はそのままに、主人に歯向かうことはできん。それどころか、主人の希望を叶えるように動いてしまう・・・」


悔しそうに地面に這いつくばるフォレスタ。

「なんで気づかなかったのじゃー!考えてみれば、ヤツの思考が流れ込んできておったわ!わらわが無意識に思考を読んでいるのかと思っていたら、ヤツの思考の方から流れ込んできておったわー!」


負けた甲子園球児が甲子園の土をかき集めている姿勢に似ている。


「そりゃあ、僕としては(殺されなくて)嬉しいけど、どうしたら解放できるのかな?」


這いつくばったまま、ちらりとタケルの方を見るフォレスタ。


「主が死ぬか、わらわが死ぬか・・・そのどちらかの時のみじゃ・・・」


「ええ!それは大変じゃない!?


「はー」


フォレスタがため息をついた。


「大丈夫?」


「大丈夫じゃ、して、お主名前は?」


「僕?タケルだけど?昨日言わなかったっけ?」


「人間ごときの名前など覚える程でもないわ。じゃが、ご主人様となれば覚えんわけにはいかんじゃろう」


タケルにとっても名前で呼ばれることは喜ばしい。

「お主」とか「お前」では心の距離を詰めにくい。


フォレスタは数秒床の一点を見つめて、そそくさと部屋の外に出て行った。

いったい何だったのか、とりあえず、ローレットが持ってきてくれた水で顔を洗うタケル。


着替えが終わった頃にフォレスタが部屋に戻ってきた。


(ガチャ)とドアが開いたと思ったら、タケルは固まった。

ドアを開けて立っていたフォレスタは全身メイド服を纏っていた。


アサイチ見たローレットと同じ服装。

恐らく、クレアの屋敷のメイド服を借りてきたのだろう。


メイド服はSサイズだろうか、小さい物なのに、着ているのが7~8歳の幼女。

少しサイズが合わず、だぶだぶなのがかわいらしい。


メイド服はゴシック調で白と黒が基調なので、フォレスタの銀髪がキマっている。


「主様よろしくお願いします、なのじゃ」


「え?ええ!?え!?どういうこと!?」


とても他人の言うことなど聞かなそうな性格に見えたのに、甲斐甲斐しく頭を下げて挨拶してみせた。


「わらわは人間なぞにかしつくつもりはないが、主人となった者に従わぬほど礼儀知らずでもないわ。ご主人様がわらわのご主人様である間はいうことくらいは聞くつもりじゃ」


なんだかタケルは、もう一段階ややこしいゾーンに踏み込んでいる気がした。


美人ロリ金髪侯爵家令嬢との婚約、黒髪幼馴染学園のマドンナとの婚約、そして、両手に華。

良すぎるくらいの環境なのに、銀髪ロリメイドが増員されたのだ。


ただ、これはかわいい。

悪魔的にかわいい。

殺人的にかわいい。

無表情なのがまたよい。


ただ、過剰サービスだ。

オーバーキルだとタケルが心の中で思っているときに、ドアがノックされ開けられた。


「タケルー起きたー?クレアちゃんとご飯食べて学校に行くわよー」


フォレスタのメイド姿を見て固まるユウナギ。


「「・・・」」


一瞬静かになる室内。

次の瞬間、最初に動いたのはユウナギだった。


「キャー!!なに!?このかわいい生き物はー!」


ユウナギはメイド服姿のフォレスタに抱き着き、頬にほおずりしている。


「無礼者!なんなんじゃお主はー!」


フォレスタが構えた腕には炎が上がっている。


「後も残さず消えるがよいわー!!」


(ぽく)


「あいた」


炎のこぶしを振りかぶったのだが、ユウナギに当たる前に炎は消え、非力なパンチがユウナギの胸に当たった。

フォレスタの手首の方が弱くて、ぽくっとまがった程非力だった。


「なんじゃ!?何が起きたのじゃ!?タケル様!こいつは何なのじゃ!?」


「その人はユウナギだよ。僕の婚約者だから殺さないでね」


「な、なんとご主人様の奥方様じゃったか!」


「改めてよろしくねー」


「フォレスタです。奥方様よろしくお願いします」


フォレスタがおずおずときちんと頭を下げてあいさつをした。


「きゃー!なにこのかわいさ!なんかもう母性がどぱどぱあふれ出るわぁー!」


再びユウナギがフォレスタに抱き着きほおずりしている。

フォレスタは、されるがままにほおずりされている。


(トントン・・・ガチャ)


ちょうどその後ろからばっちりおめかししたクレアがタケルの部屋に訪れた。


「タケルさんー昨日は・・・」


同じくフォレスタのメイド姿を見て固まるクレア。


「「・・・」」


一瞬静かになる室内。

次の瞬間、動いたのはクレアだった。


「キャー!!なんですの!?このかわいい生き物はぁー!」


クレアはメイド服姿のフォレスタに抱き着き、頬にほおずりしている。


「無礼者!なんなんじゃお主はー!」


フォレスタが構えた腕には炎が上がっている。


「後も残さず消えるがよいわー!!」


(ぽく)


「あいた」


炎のこぶしを振りかぶったのだが、ユウナギに当たる前に炎は消え、非力なパンチがユウナギの胸に当たった。

フォレスタの手首の方が弱くて、ぽくっとまがった程非力だった。


「今度はなんじゃ!?何が起きたのじゃ!?タケル様!こいつは何なのじゃ!?」


「なんかデジャブ・・・クレアさんだよ。僕の婚約者だから殺さないでね」


「な、なんとご主人様の奥方様じゃったか!」


「改めてよろしくお願いします」


「フォレスタです。奥方様よろしくお願いします」


フォレスタがおずおずときちんと頭を下げてあいさつをした。


「きゃー!なんですの、このかわいさ!わたくし母性がー!母性がー!」


再びクレアがフォレスタに抱き着きほおずりしている。

フォレスタは、されるがままにほおずりされている。


「なんだこれ。まあ、仲が良いということは良いことだ」


タケルは静かに思った。

ネタが次々あふれてくるので、まだまだ続きます。

ただ、書く時間がない・・・

応援よろしくお願いします。


明日も更新は6時です。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 炎のこぶしを振りかぶったのだが、ユウナギに当たる前に炎は消え、非力なパンチがユウナギの胸に当たった。 フォレスタの手首の方が弱くて、ぽくっとまがった程非力だった。 「今度はなん…
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