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フォレスタは床に就きたい

フォレスタを連れ帰ってからは色々と大変だった。


実際、まだクレアとユウナギの守備範囲が細かくは決まっていない状態で、フォレスタが入ってきた形となった。


クレアとしては、ユウナギの一件が片付いたら、一気に関係を進めタケルとの仲を形にしたいと思っていた。

ユウナギはユウナギで、タケルとのきゃっきゃうふふライフを満喫しようと思っていた。


ところが、フォレスタは常にタケルのそばにいるのだ。

フォレストを最初にクレアの屋敷に連れ帰ったときもそうだった。


***


お主、いつになったら寝るのだ?


タケル、クレア、ユウナギはクレアの屋敷に戻ってきた。

帰りはズルをしてタケルのテレポートで戻ってきたのだ。


全員森の中で色々あったので泥だらけ、埃だらけ。

クレアとユウナギはそれぞれ自室で湯あみをしていた。


タケルも風呂代わりに湯あみをしようと思ったら、目の前にフォレスタがいる。


「うんと・・・湯あみする?」


「湯あみとはなんじゃ?」


「うーんと、お湯で身体をきれいにする的な?」


「お主はわらわを人間と同程度の者と思ってないか?」


「え?どういうこと?キレイか汚いかでいったらきれいな方がよくないかな?」


「何じゃ、その二択は。わらわは『汚れない』のじゃ。湯あみなどという無駄な作業は要らぬ。それよりも物語を所望する」


「えー、湯あみって気持ちいいよ?さっぱりするよ?ローレットさんとか呼ぶからさ」


「誰じゃ、ローレット。そんな知らん奴に身の回りのことをされると思ったら、気持ち悪いわ」


「でも、クレアさんもユウナギもそれそれ湯あみに行っちゃったし・・・。どっちかに頼むべきだったかな・・・」


「あの二人にそれほどの興味はないわ。わらわが興味あるのはお主だけじゃ」


「そんなこと言っても、僕がフォレスタの湯あみを手伝ったら・・・なんか・・・色々ダメな気がする」


「わらわが魔法できれいにしてやるから、とっとと床に入って、物語を読むのじゃ」


「うーん、きれいか汚いだけじゃなくて、精神的なものもあるんだって」


「ぬうっ・・・分かった。お主と湯あみとやらをしてやろう。その後はすぐに床にはいるのじゃ!」


「まあ、今日は宿題もないし・・・そうしようか・・・」


タケルはうまくいくならもう湯あみでも何でもして、とっとと寝てしまおうと思った。


水道も湯沸かし器もないマティアスでは、「湯あみ」といっても侍女がお湯をバケツ大の大きさの容器に1個とタオルを数枚持ってきてくれるだけだ。

タオルを使って、お湯で身体を拭くくらい。


ただ、お湯を流す排水設備はあるので、身体を拭いた後に容器に残ったお湯を身体にかけることが出来る。


今日も侍女のローレットが容器2個分のお湯を持ってきてくれていた。

以前の「女子会」の時に尽力してくれていたことから、何となく「タケル担当」となっていた。

彼女はプロのメイドだった。

部屋で何かを見ても誰にも言わないのだ。


たとえ部屋に銀髪幼女がいたとしても、それを主人であるクレアに告げ口したりはしないのだ。


「あ、いや、これは違って・・・クレアさんにもちゃんと紹介したフォレスタだから・・・」


何も言われていないのに、お湯の容器を持ってきてくれたローレットに言い訳をしてしまうタケル。


ローレットは何も言わず、キリリとした笑顔でサムズアップして部屋を出ていった。


「のうタケル、『湯あみ』とはそこの個室で身体を拭くのじゃろ?」


「ああ、そうだよ」


タケルが振り返ったときに驚いた。


「なんでもう全裸なんだよー!」


フォレスタは後の絵本がよほど楽しみなのか、その前の邪魔なイベントはすぐに消化してしまおうと思っているのだった。


(トントン・・・ガチャ)そこに再度ローレットがやってきた。

2杯目のお湯の容器を持ってきたのだ。


全裸のフォレスタ。


「タケルまだかのー?」


湯あみ部屋の前で待ち構えている。

何も言わず、視線は少し落としたようにして、湯あみ室にお湯の容器を置くとそそくさと退室していくローレット。


「あ、いや、これは、ほら、クレアさんもユウナギもそれぞれ自分の部屋に行っちゃったから・・・」


それにローレットは返事どころか一切反応せず、「わたくしは一切何も見ていませんし、何も言いません」というような顔で入り口ドアを背にしてまっすぐたった。


45度のきれいなお辞儀をした後、ドアを開けた音も閉めた音もさせずローレットは消えていった。


「ぎゃあーーーー!絶対誤解されたーーー!!」


タケルは頭をぐしゃぐしゃにしながらベッドに倒れこんで足をバタバタさせてもがき苦しんだ。


「寝るのは湯あみの後ではなかったのかの?人間とは複雑じゃ」


よくわからないという顔のフォレスタ。

事件は室内で起きていた。


通常の「湯あみ室」は一般家庭にはない。

クレアの屋敷ではお金持ちらしく湯あみのための部屋があるのだ。


部屋の広さで言うならば4畳程度。

それほど平奥はないけれど、タケルにとっては元々の自分の部屋と同じくらいの広さ。

十分広いのだ。


ただ、お湯がバケツ1杯では少々物足りない。

そこで、タケルは天井裏にお湯を大量にため込ましていた。


壁の中に管を通して、壁には蛇口を付けた。

その先にはホースとシャワー口。

レバーをひねると良い具合の温度のお湯が出る。


やはりこうでないと。


「それはなんじゃ?」


クレアが興味を持ったらしく、タケルに近寄ってきた。

幼女とはいえ女の子、タケルは出来るだけフォレスタを見ないようにしていたが、近くに来られたら視線の逃げ場がない。


小さい子(?)を裸でそのままにしておくのも何なので、タケルがシャワーで身体を洗ってあげる。


「ぬお!なんじゃこれは!?」


「シャワーっていうんだよ。タオルよりも気持ちいいでしょ?」


「んー、湯がちょうどいい具合に温かいわ」


自分用にと持ってきていたシャンプーでフォレスタの髪を洗ってあげる。


「んな!なんじゃこの泡泡は!?お主わらわに攻撃を!?」


「こんな地味な攻撃があるもんか。目に入ると染みるから、目をつぶって」


フォレスタの本当の姿なのか分からないけれど、見た目は銀髪幼女。

タケルは面倒を見ることにした。


身体を洗ってあげて、泡を洗い流した。

ちょっと待て、子供がいたとして身体を洗ったりしたら自分はいつ洗うんだ!?


タケルは自分の身体はそこそこに、フォレスタの身体を拭いてやる。

とりあえず、さっぱりはした。


ただ単にシャワーを浴びただけなのに疲れたタケル。


(トントン)ドアがノックされそのままいた。


「タケルさんー?」


扉を開けたのは、クレアだった。


シースルーのナイトウェアを纏っているが、廊下を歩くためにその上にガウンを羽織っている。

もうね、なんかすごい。

見えちゃいけないところも見えちゃっている上に、なだらかな胸が殺人的。

その恰好を見ただけで、クレアの目的もクレアの魅力も680%分かった。


湯あみ室の扉の前で全裸のタケルとフォレスタ。


クレアは「失礼しましたー」といって、ガウンの前をしめて自室に帰っていった。


「ああ、何か今人生で2度しか来ないチャンスの1度目を失った気がする・・・」


タケルは深い失望に落ちた。

しかし、そのまま暗く過ごすのもフォレスタに悪いと思い、フォレスタの面倒をみるたける。


フォレスタを姿見の椅子に座らせて、髪を拭いてやるが一向に乾かない。

長い髪って乾かないことを初めて知るタケル。


そこで、持ってきていたドヤイヤーを取り出し、魔石電池のコンセントにプラグを差し込むと、フォレスタの髪を温風で乾かしていく。


「ほほ、なんじゃこれは?暖かい風がでておる」


フォレスタは上機嫌だ。

ようやくフォレスタの髪が乾いたころには、短髪のタケルの髪はすっかり乾いていた。


「おほほほほ。髪がすぐに乾きよる」


上機嫌なフォレスタと反比例して、気分が落ち込んでいくタケル。


「なんか疲れた・・・」


(トントン)


げっそりしていると、扉をたたく音が聞こえた。


「はい、どうぞ」


(ガチャ)とドアを開けて入ってきたのはユウナギだった。


「タケルー、起きてるー?」


「え?」


「!!何でフォレスタちゃんの前で全裸なのー!この変態―!」


『バキっ』


ユウナギのストレートパンチがタケルの顔にめり込む。

プンプンと怒って出ていくユウナギ。


タケルは、フォレスタの身体を拭くのと髪を乾かすのに集中しすぎて自分の服を着るのを忘れていた。


「もう、本当に疲れた・・・」


タケルは(パジャマを着た後)ぐったりしてベッドに寝転んだ。


「おっと、物語を忘れておらんじゃろうな!?」


「・・・はい」


ちょっと涙目のタケルだった。



フォレスタは良い子にしてベッドに入っていた。

タケルは枕をいくつか重ねて座ったときの背もたれにしていた。

クレアの屋敷では高級ホテルの様に、1人しか寝なくても枕は5個準備されていた。


タケルも最初はこんなに何に使うんだと思っていた。

「異世界の貴族は頭が5個あるのか」というツッコミを思いついて誰かに追うと思ったが、受け止めてくれる人がいないことに気づき心の中で留めた。


「ユウナギなら・・・」と思ったが、ユウナギの部屋の枕はユウナギが持ち込んだ1個だけだったので、この話を持っていくのをやめた。


「のう、早く物語を!」


フォレスタがベッドの横で、両手で頬杖をついて待っている。


うーん、ロリの人の気持ちが分かると思いつつも、自分はロリではないと自分の心を探った。

「ロリの人の気持ちが分かる」のであって、「ロリ」ではない。


「ぶつぶつ言っとらんで早く物語を!」


フォレスタがタケルの腕に噛みついている。


「分かった。分かったから」


慌てて本を取り出すが、べたな『桃太郎』が出てきた。

恐らく祖父が既に読み聞かせをしたであろう本だった。


「これは・・・もう聞いたよな?」


「別に構わん。人間が作り出した物語は面白い」


別に気にしないみたいだった。


タケルはこの日とりあえず、『桃太郎』からスタートした。

フォレスタは桃太郎が鬼ヶ島に着く前に眠ってしまった。


「寝るのかよ」


タケルは心の中でツッコミをした。

多次元人で、自分の考えてしまうことも分かってしまう上に、過去にも未来にも時間を自由に動かすことが出来る存在でありながら、普通の子供だよ!


何だか色々疲れたタケルは、フォレスタの寝顔を見ながら眠りに落ちていくのだった。



使っているBluetoothキーボードの反応がひどいです。

打ちたい文字が打てないことも・・・

有線に変えるべきかな・・・


あ、昨日総アクセスが4000を超えました!

ありがとうございます!


明日も更新は6時です。

よろしくお願いします。

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