↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
27/98

現世界転移か逆異世界転移か

「納得できませんわ!わたくしではお買い物に力不足ということですの!?」


場所は変わって、クレアの屋敷に戻ってきた。

ユウナギの両親に許可をもらったことをクレアにも報告しに来たのだ。


その際に、ユウナギも仕入れに参加することを報告すると、クレアも仕入れ係をしたいということだった。


「そもそも、タケルさんはどこからあの不思議な食材を仕入れていらっしゃるのですか?」


「うーん、それは・・・説明が難しいんだけど・・・」


「これまで不思議、不思議とは思っていたのですが、お聞きしてはいけないのかと思って控えていました。それなのに、その神聖なお仕事をユウナギさんもされるというじゃないですか。では、わたくしも同じ婚約者としてかかわらせていただきたいですわ」


「うーんと、僕には僕の住んでいる世界があって、そこはこことは全然違うから・・・クレアがびっくりするかもと思って・・・」


「見るだけでびっくりする世界♪わたくしなら昔ナーランダーにも行ったことがございますのよ?確かに驚いたこともありますが、すぐに適応しましたわ!カゲチャだって食べました!」


タケルにとっては知らない地名や食べ物の名前らしいものが出てきたが、それがどれほどすごいのかは分からない。

とにかく、自分には適用力があるので、一緒に買い物に行きたいと言っていることだけは理解できる。


「ま、まさか?神々の世界・・・ですの!?」


「は!?」


「だって、タケルさんは全てにおいて規格外。魔法が全属性使える人なんて、今まで見たことがありません。下火だった市場を盛り立てて、破綻しそうだった孤児院をいくつも立て直して・・・神様!?それとも使徒様!?」


「いやいやいや、僕は普通の人だから。それも、どっちかっていうと「下の中」くらいの・・・」


「タケルさんで「下の中」だったら、周囲の方はやっぱり神々・・・」


既にクレアにからかわれているのに気付いたタケルが降参のポーズで両手を上げた。


「分かったよ。連れて行くよ、連れて行きます。でも、僕のことを知るとがっかりするかもしれないよ?」


「そんなことはありません!何があっても、好きな殿方のことを知れるというのは嬉しいことです。たとえどんな秘密があっても受け入れてみせます!」


全力の好意にタケルはもう何もいうことはなかった。


「じゃあ、今度の土曜日仕入れに行こうと思うんだ。ユウナギもいいかな?」


「うん、もちろん!」


「わたくしも承知です!」


こうしてタケル、ユウナギ、クレアの3人で業務用スーパーまで仕入れに行くことになった。


***


とりあえず、クレアの屋敷がスタートだ。

ユウナギは前日からクレアの屋敷に泊った。

ユウナギ用の部屋も準備され、かなり喜んでいるようだった。


服装は日本でいう「普通」でかわいいけれど、過度ではなく、近所の買い物に行くのには適している少しふわっとした格好だった。


一方、クレアはマティアスの正装を着て行こうとしていたので、ユウナギとタケルの2人で、全力で止めた。

市場に行くときのような比較的日本でも通用するような服を選んでもらった。


この頃既にタケルは、森の家を介さなくても、マティアスの好きなところと日本の好きなところとをつなぐことが出来るようになっていた。

しかし、最初に行ったのは魔の森のあの家だった。


ユウナギにもちゃんと場所を理解してもらう目的があったし、クレアにも位置関係を理解してもらう必要があったからだ。


「タケルさんここは!」


「はい、僕の家です・・・と言っても住んだ記憶はなく、僕が住んだのはこの扉の向こうのもっと小さくて古い家です」


「そうなんですか・・・」


「ここは一度見たわね。ここがタケルの家とつながっているってこと?」


「そう、きっとここは僕のおじいちゃんの家だったんだ」


そして、ここには扉があって、鍵は1本しかないから、今度念のために合いカギを2人にも1本ずつ作って渡すよ。


「まあ、光栄です。」


「ん、んん、ありがと」


ユウナギにはちょっと違う意味に伝わったみたいで、顔を真っ赤にしている。

タケルもいちいちツッコミを入れると話が進まないと思って、華麗にスルーした。

・・・いや、タケルも照れ臭かったからスルーしたことにしたらしかった。


タケルが彫刻の施されたドアを開けると、祖父の和室につながっていた。


「あ、クレアさん、申し訳ないけれど、ここは靴を脱いでもらうことになっています」


「え!?く、靴をですか!?」


人前で靴を脱ぐ文化がないマティアスの人にとって、他人の家に入ると同時に靴を脱ぐというのは感覚的には「上半身裸になる」と同じような意味になってしまう。


何となく理解していたタケルだったが、日本と行き来する以上、文化の違いは理解してもらわないといけない。

そもそも外で靴を脱ぐ文化がないので、クレアの靴はブーツの様に紐で縛り上げられていて、簡単には脱げないのだ。


通常ならば、寝る前に侍女であるシャルが紐をほどく。

今回はシャルがいないので、ユウナギが手伝った。

その間、タケルは部屋の中にいて、違う方向を見ているというラブコメイベントではよくある「背中越しの着替えイベント」みたいになっているが、実は靴を脱いでいるだけだった。


「はい、脱げたよ」元気よくユウナギが和室に入ってきた。


「あ、おじいちゃんの部屋だ。久しぶり」


ユウナギは何度もこの部屋に来たことがあった。

ただタケルと同様に大きくなってからはほとんど入っていない。

「懐かしい場所」というわけだ。


扉の陰から顔を半分だけ出しているのはクレアだった。


「あのー・・・本当に靴を脱いで屋敷には入るものなのですよね?知らないと思って、からかておられるのではないですよね?」


半信半疑で質問してくるクレア。

イメージだけで言ったら初めての彼氏に「彼シャツ」を披露する時みたいになっているが、実は家に来たから靴を脱いだだけだ。


タケルもユウナギも靴を脱いでいるので、恐る恐る部屋に入るクレア。

タケルとユウナギは靴下を履いているが、クレアは裸足だ。


マティアスではブーツの下は裸足が一般的だが、今後は少しずつ変えてもらう必要がありそうだった。


「失礼します」


そろそろをクレアが祖父の部屋に入った。

もちろん、床は畳。

それも緑色ではなく、どちらかというと茶色になった古い畳だ。


「この床は・・・」


「あ、『畳』っていうんだ僕たちの世界では一般的な床材の一つだよ」


「・・・ということは、既にここは神々の世界ということですか?」


「神々の世界ではないけれど、僕たちが住んでいる世界には違いないです」


「いらっしゃい♪クレアちゃんっっ」


「この扉は、一般的な出入り口じゃなくて、いうならば『秘密の扉』です。他人には存在も知られないようにしてください」


「はい・・・」


「じゃあ、一般的・・・かどうか分からないけれど、僕の家を案内するよ。まあ、案内するまでもなく狭いけどね」


「タケルさんの生活しているところが見られるなんて、信用されたと思えて嬉しいです」


「そんな良いもんじゃないから、期待されると僕の方が恐縮してしまいます」


「ここがねー、おじいちゃんの部屋!」


最初に案内したのはユウナギだった。

タケルはセリフを取られた形だ。


「そうでしたわね。ユウナギさんはタケルさんと幼馴染でしたね」


「そうなの、私の家も近所だから機会があったら連れて行くわね」


「ぜひお願いします」


「隣の部屋が僕の部屋です」


タケルの部屋は4畳半程度の広さだ。

部屋が狭いので家具らしい家具はなく、古い学習机とロッカーの様に扉が1つしかない木製の洋服タンスがあるだけだった。


「わあ、機能的なお部屋ですね」


「あ、念のために言っておくと、僕の部屋は狭い方です。ユウナギの部屋なんか僕の部屋の倍くらいの広さはあるから」


「そうなんですか・・・」


何だか分からないけれど、目がキラキラしているクレア。

どんなことを考えて感動しているのかはクレアにしか分からない。


「そして、ここがキッチン兼食事をする場所です」


6畳ほどの場所にキッチンと小さなテーブルが置かれている。

祖父とはここで毎日食事をしていた場所だ。


「へー」


「あとは本当の入り口の玄関と小さいけれど、庭があるからそちらも案内しようかな」


「今度は外に出るから靴を履くわね」念のためユウナギがクレアにアドバイスする。


ただ、またあの紐だらけのブーツを履くのは大変そうなので、タケルの家に置いてあったユウナギの靴を貸してあげていた。


「これがこの世界の靴ですか・・・」


「まあ、そうね」


昨日総アクセスが2500を超えました!

ありがとうございます。


明日の更新も朝6時です。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。