お化けだぞー!!
翌日、朝から祭りの準備だ
前回は屋敷のみんなが手伝ってくれたから設置など手伝えなかったけれど
今回は違う!設置、配置、全部手伝うぞ!
何でも言ってくれ!
「お嬢様は屋敷内でゆっくりなさっていてください」
あれ?
「お嬢様ここは我々にお任せください」
あれあれ?
もしかして邪魔者ですか?
「……何、お嬢いじけてるんだ?
肝試しの方で最終チェックお願いしたいって呼ばれてたぞ」
「そうか!行ってくる!」
「はぁ……世話のやける……」
肝試しの方は仕掛けの最終チェックと脅かし要員の配置ぐらいのものだ
安全に肝試しができるように
獣除けの匂いを撒いてある
ウィルは臭い、臭いと騒いでいたが……まあ、しようがないな
食べ物の方ももう準備万端だ
昨日から仕込みはしてあったので問題ない
ゲームの方も景品は領地の中の雑貨屋やお祖母様やお祖父様から出してもらった
特別な景品もあるので盛り上がりそうだ
昼過ぎになるとポツポツと人が来始めた
私達の肝試しは夜からなので昼間は屋台の調子や祭りの雰囲気を楽しめる
さっそく甚平に着替えて祭りを満喫だ!
「あ!姉ちゃん!」
フランクフルトとかき氷を手に持っていると子ども達が寄って来た
甚平が色とりどりでとても華やかである
「いいなー、フランクフルトとかき氷食べてるー」
「お母さんに今日は2つしかダメって言われてるの」
「かき氷は何味にしたの?」
「プリンは?今日は妹の分も買って帰ってあげるんだ」
子どもの勢いは凄いな
圧倒されながら、フランクフルトを口に含む
うん!やっぱり祭りで食べるフランクフルトはひと味もふた味も違うな!
「今日はゲームも用意したから楽しんでいくといい」
「あの輪投げって面白そー」
「景品?のぬいぐるみ可愛い」
あれ?子どもの指した方を見るとキメラ姿のウィルが吊るされている
……なんで、お前そんなところに!
いや、ここで騒いでも仕方ない……ここは!
私の輪投げの腕を披露するときだ!
「あれ?姉ちゃんもするの?」
「ふははは、私の実力を見よ!」
結果は5個中1個入っただけだった……あれ?
「姉ちゃん、へたくそだなぁ」
「よーし、私も頑張るぞ!」
ウィルが『オイ!どうすんだよ!?』という目でこちらを見てくる
うーん、全部入る予定だったんだがな
景品として頑張ってくれ!……と言いたいところだが
あのぬいぐるみもどきの姿で涙ぐまれると罪悪感が半端ないので
我らがセバスチャンを呼んで、輪投げに挑戦してもらった
流石はセバスチャンで5個中5個、全部入れてくれ
ウィルは無事、帰ってこれたのだが景品のぬいぐるみということになっているので
抱っこしたままだ
アンが羨ましそうにこちらを見ている
「アン、持っていてくれ」
「いいのですか?」
「……撫でまわして気が済んだらこっそり草陰で人型にしてやってくれ」
ぬいぐるみのままじゃB級グルメも楽しめないからな!
お祖父様と叔父様はビールに舌鼓をうっている
「これは変わった味じゃな」
「ですが、なかなかイケますね」
うんうん、喜んでる喜んでる
お祖母様は……射的をしている!?
しかもスナイパーの目だ!
全弾命中させて子ども達から尊敬の眼差しを受けているだと!?
「お祖母様、凄いです!」
「ほほほ、これくらいお茶の子さいさいですよ
○△□は欲しい景品はありますか?」
景品、実はあるのだ!
「あの木彫りのクマが欲しいです」
雑貨屋で見かけた木彫りのクマだがあまりの顔の険しさにセバスチャンとアンからは
反対されたもののどうしても欲しかったので景品に入れたのだ
あのクマの荒々しい表情、きっと名のある腕前のやつが彫ったに違いない
「あ、あれですか?」
「はい!あのクマが欲しいです」
「そっそうですか、可愛い孫の頼みですもの
とって見せましょう!」
やった!お祖母様素敵!
ゲームの方も大盛況だった
ビールで酔い過ぎた大人が絡んでくるという事件もあったが
それも大ごとにならずにすんだ
さあ、夜も更けてきた
ここからは肝試しの時間だ
『ねえ、いいんだよね?
精一杯驚かせば』
いや、子どもは軽くで
っていうか、トラウマにならない程度でお願いします
『えー、つまんない
でも、まあこれだけ生気に溢れてるんだ
いつもとは違った味で美味しいし、今回は許してやろう』
よろしくお願いします
肝試しは簡単だ
一本道を用意しておいてその各所で仕掛けや私たちが驚かしたりする
1番奥に木で作った球を置いて帰ってくるとそれだけなのだが
なかなか恐ろしい
森の中というのが恐怖感を誘うのだ
各所でスタンバイしているアン達も工夫してくれているようだし楽しみである
「おい、なんだこりゃ?きもだめし?」
最初のお客は男の2人組だった
「お兄さん達、面白いからやって行ってみてよ」
「はあ?こんなののどこが?」
文句を言いながら入っていく2人
そして数分後……
「ウギャアああ」
なかなかにいい悲鳴を響かせてくれた
「……はぁ……はぁ」
「う……わ……」
「どうでした?お兄さん方?」
「死んだばーちゃんが出てきだぞ」
「俺、化けモンに追いかけられた」
クロは大活躍しているようだ
「それに途中、お前猫になってただろう?」
「は?俺がか!?お前がだろう?」
「ああ、猫耳が生えてって俺もか!?」
テイルもここぞとばかりに大活躍だ
「それに不気味な女もいたよな」
「ああ、皿数えてるやつな」
アンかな?
「あんな不気味な女みたことないぞ」
「そうだよな髭ズラの女なんてあした夢に出てきそう」
!?
まさかのセバスチャンの女装なのか!?
「あ!でも、途中に出てきたぬいぐるみは怖くなかったな」
「ああ、なんかガオーとか吠えてたけどな」
……だめじゃん、ウィル
あれ?アンは?
「あとさ、帰り道に聞こえてきた女の泣き声も怖かったよな」
「そうそう『もう帰りたい』って泣いてたよな」
え?
アン、マジ泣じゃないよね!?
最初の2人組がノリがよく周りに宣伝してくれたおかげで
肝試しもひっきりなしに人が来るような状態だった
帰りしなに怖かったという話を聞くと
人によって様々なものが見えたというので
多分、クロはその人の怖いと思うものになっているのかなと思う
子ども達にはウィルが大人気だった
「可愛かった」
「モフモフしてた!」
と、大変喜んでもらえたようだ
そんなこんなでもう祭りも終盤だ
子ども達は眠い目を擦っている子もいる
さて、祭りの最後は花火だ!
今回もドドーンと上げるぞ!
火魔法を駆使して空に絵を描く
花なら簡単!ハートに猫!
「あ、カバだ!」
カバじゃないネコだ!
さあ、何発も何発もあげよう
夢が醒めないように
明日また頑張れるように
楽しい気持ちで居られるように
空に火の花がいくつもいくつも咲き誇った
「綺麗ねえ……」
「すごい!」
「わぁ!」
花火が終わると今日はもうおしまいと思ったら
森から光るものがフワフワと出てきた
そしてそれらは花火が消えた空へと上がっていった
「綺麗だねぇ」
「ありがたやありがたや」
え?これ何?クロの演出?
『これだけ生気が満ちたんだ
精霊達も喜んでいるってことさ』
あの光は精霊達になる前の正のエネルギーの集まりらしい……
まあ、悪いものでないならいいか!
みんなが帰ったら片付けだ!
これもみんなで協力して予想より早く終わった
「また、来年もしたいねぇ」
「そうですね、来年も出来たらしましょう」
こうして祭りが根付いていってくれるといいな
翌朝、私はお祖父様とお祖母様、叔父様に挨拶をして馬車に乗った
また来年も来る約束をして!
「ただいまー!!」
こうして我が家へと帰ってきたのである




