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目指せ!悪役令嬢物語!  作者: 真ん中
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永遠の美

認識の魔法を使って気配を消し、屋敷に忍び込む

少し開いた隙間からシロが入り込み鍵を開けるのだ


普通の屋敷と変わらないけどなぁ

強いて言うならいい匂いがするかな?何かお花?

……芳香剤くさいといえばそれまでかもしれない


「闇の精霊、ウィルはどこにいる?」


『地下だね』


「地下だそうだ」


悪党はどいつも地下で何かするのが好きだな

たまには最上階で悪事を働いてもいいと思うんだけど……


それにしてもこの屋敷にいるメイドって美人が多いけれど

顔色の良くない人ばっかりだな

さっきのメイドなんて何もないところでよろめいていたし……

なんか変なの……


クロの案内で向かって行くと地下へ続く階段があった

おお!今回は隠し階段なしか!と喜んだのもつかの間……1部屋だけで行き止まりとなった


「隠し部屋でしょうか?」


地下は図書室になっていた

えー、これってどの本か引っ張ったら本棚が動くとか

そういう系だろうか?


おお!あれは探していた

『猿でも分かる上級魔法』じゃないか!

……アンとセバスチャンは仕掛けを探すので忙しいし……

……今なら見れるな!よし!ちょっとだけだ!問題ない!


ガゴン!


どうやらカギは『猿でも分かる上級魔法』だったらしい


「ボス、よくお分かりになりましたね!」


「ボス、流石です」


「そうだろ?そうだろ?わっはっはっは」


今更違うとは言えない……

隠し扉の先は頑丈な鉄の扉があり2つの部屋に分かれていた


「クイーンとボスは右の扉を私は左の扉を、よろしいですね」


「了解しました」


「ああ、それでいい」


ルークと別れ、扉を少しだけ開け中を窺う


『なんで、こんな子を連れてきたのよ!?

この子は男じゃない!男なんて汚らわしい!

私が連れて来いと言ったのは女よ!しかも処女を連れて来いとと言ったでしょう!』


『いや、でもこいつに子どもを帰すところを見られまして、仕方なく……』


『それなら!ここまで連れて来ず、その場で処分すればよかったでしょう!』


中では男と女が揉めている

女が男に一方的にまくし立てている


『処女じゃなければ何の意味もないのよ!

ただでさえ生産が遅れているっていうのに!こんな面倒まで起こして!』


何故か、処女を集めているらしい

そういえばこの部屋なんか臭い


『私は部屋に戻るわ

今日のノルマを達成するまで女たちは部屋から出さないように!

あと、この坊やは処分しておいて』


コツコツとこっちに近づいてくる!?

私はともかくアンはヤバイ

物陰にかくれながら見つからないことを願った


「あら?」


……見つかったか


シロを掴むと行けと合図する

シロは面倒という顔をしながら女の前に姿を表した

そして


「ニャー」


と鳴いた


「なっ?猫!?どこから入り込んだの!?

商品に猫の毛でも入り込んだら大変よ!?

誰か!誰かいないの!?今すぐその猫を捕らえなさい!」


シロは捕まってはたまらないと上へ逃げて行く

女もまたシロを追って上に駆け上がっていった


「クロ、中にいる人間を眠らせることはできるか?」


『お安い御用だね』


クロが黒靄に姿を変えると部屋の中に入って行く

暫くしてドサッドサッと何かが倒れる音がした後に黒靄が帰ってきた


『眠らせてきたよ』


「さて、何があるのか拝ませてもらおうか?」


さっきから商品や生産だと言っていたが何のことだ?


「え?……オイ、これって……」


「……何です……これ……」


そこで見た光景は


いくつも並ぶベットと点滴で繋がれた女性達

そして滴る血


「う……」


よく見ると、点滴されているのではなく血を抜かれているのだ

青白い顔の女性達が並ぶ姿はどこか病院を思わせたが

病院よりも薄気味悪い、何かを感じた


「ボス、ウィルです!」


ウィルは男にのしかかられている形で眠っていた

大方、処分される一歩前だったのだろう

男の手にはナイフが握られている


とりあえず、ナイフは危ないので退けておいて

男も蹴飛ばしておく


アンはウィルを起こそうと体を揺するが起きる気配はない

仕方がないので頬を何度か叩くと、ようやく起きたようだった


「ん……お嬢?アンさんも?」


「今はボスとクイーンだ」


「そうだ!俺見たんだ!

男が女の子に魔法で暗示をかけている姿を!

そしたら俺もさらわれて!

お嬢、ここはヤベェって!処女の血をとかって血を使ってんだぜ!」


よくよく分からないが

女性達をさらっているのはこの男達なのか?

血を取るために?

で、血を取ったら返しているのか?何の為に?


「多分、これだけの女性が行方不明になったとなれば

大人達が黙っていないからだと思われます」


「血は取れるぶんだけ取っちまって

自由に遊んだ、家出したんだとでも暗示に掛けとけば

次に連れてくるときに楽だからだろ?

1人から1回に取れる量は限界があるけど

何回でも取れりゃその分血を多く使える」


だからって何の為に?


「入浴剤や化粧品のためでございますよ」


「あ!ルーク!」


「左の部屋は工場に繋がっておりました

ここでドラチェット夫人は化粧品や入浴剤を開発していたようでございます」


「ははは……で、その中に処女の血を入れていたと」


とんだ笑えないホラーじゃないか!


「いえ、血を入れたというよりは血で作っていたようです」


「いや、それじゃ匂いで分かるだろう!?」



「だから、魔法を使って普通の化粧品と変わらないように作っていたのよ!」


扉の方を見ると首根っこを掴まれているシロと

先ほどの女が仁王立ちで立ち塞がっていた


「忍び込んだ猫だけじゃなく鼠もいたとわね

随分、オイタが過ぎるんじゃない?

ここのことを知られたからには死んでもらうしかないわね」


ゆらりと眠らせたはずの男や血を抜かれて動けないはずの女性達が立ち上がる


「こいつらを捕まえておしまい!」


女が扇を振り下ろすと同時に男や女性達が襲ってくる


「ボス!」


「男達はコテンパンにやってよし!女性達はできるだけかわせ!」


「彼等は私とクイーンにお任せください

どこかに彼等を操る魔術師がいるはずでございます

ボスはそちらをお願いします」


「分かった!

クロ、魔力の出所を探してくれ」


『ええー、めんどい

でも、低級精霊もピンチみたいだし

しょうがないなぁ』


黒靄が動き出す


「うわっ!何だ!?」


黒靄が覆うと何もなかったはずの場所にフードの男が現れた


『マズそうな闇しか持ってないけど

まあ、いいや

いただきまーす』


クロが食事タイムに入ると操られていた男達も女性達もバタバタと倒れて行く


「なっ!?何なのよ!?あんた達!?

そ!そうよ!この猫がどうなっても構わないの!?」


「構わないよ」


精霊様が人間如きにどうにか出来ると思っちゃダメだよ


「何ですって!?」


「今です!」


ピシッ!


「キャア!」


アンがムチを飛ばし女が手に持っていたナイフを叩き落とす

女はその拍子にシロを手放した


「血が……私の……血が……美しい……血が」


ナイフで切れたのか女の手から血が滴る


「血が……わたし……ワタシワタシワタシキシキシキシギシャアアア!!」


「様子がおかしいですな」


女は体を掻き毟り始めると女の体から緑色の体液が溢れ出始める


「うげっ、アレなんだよ!?」


「知るわけないでしょ!?」


「チ……チ……チ……チヲヨコセエエエ」


次に顔を上げた時、女の顔は青白い口元かあら2本の牙が生え

目は血のように赤く、手も変形し吸血鬼と呼ぶに相応しい姿になっていた


「ええ!?あの女、吸血鬼だったの!?」


『心と体に溜め込んだ闇がいい感じに孵化したみたいだね』


孵化!?

闇って進化すんの!?


「いつか……俺もあんな風に」


「今そんなこと言ってる場合じゃないから!」


シリアスモードに入りかけたウィルにチョップをかましながら

女が目から発してくるビームを避ける

ビームがあったった場所がジュウと溶けて行く


あんなのとどう戦えばいいのさ!?


『いつも通り、魔力で殴れば?』


「魔力で殴ろうにもこう!ビーム!打たれちゃ!

魔力が練れない!うわっ!」


ビームを打ってくる女はもはや人間ではなかった


「アヒャヒャ!チ……チ……」


近くに倒れていた男を掴むとその首筋にガブリと噛み付く

チューチューという音が響いたかと思うと

次の瞬間には干からびた男が転がっていた……


「ぐ、グロい」


その時だ!

シロが飛び出したのは!

シロは女の顔に飛びつくと爪で引っ掻いた!


「フザケルナァア!!」


「ッニャア!」


吹き飛ばされるシロをウィルがキャッチする


「大丈夫か?」


「……ナーウ」


今がチャンスだ!

魔力を練り上げてブン殴る


ドゴォ!!


女は壁に埋まると壁ごと崩れ落ちた

そこには眠るように横たわる女性達の死体が並んでいた……


「うそ……だろ?」


「そんな……」


「ボス、見るものではございません

早く、闇の精霊を」


『やっと、ボクの出番?

早く、早く!今回のは結構いい感じなんだよね』


初めて見る死体にショックを受ける私に構わず

クロははしゃいだ声をあげる


『ほら、早く!しないならボクがするよ!』


体の自由を取られるのはもう御免だ!

手にした闇の剣を気絶した女の腹に刺しこんだ


そこから見えたのは


『やーい、ブース』

『近寄んないでブスが感染るでしょ』


残酷な子供達

自分の顔を見て嘲り笑う大人達

美しくなっていつか、いつか決して見返してやる


美しくなった私にひれ伏すがいい


『お美しい』

『どのような手入れをされているんですの?』


美しい私には美しいものがよく似合う

美しくないものなんて生きる価値もない


でも、年を重ねるごとに衰えていく

美しかった肌が美貌が失われていく


そんな!また!


『やーいブース』

『近寄んないでブスが感染るでしょ』


また!1人になる!1人は嫌!孤独は嫌!

そんな時に聞いた

処女の血を飲めば美しくあれると

処女の血の風呂に入れば美しくなると

始めはメイドで試した……本当に美しくなれたのだ

そして……もっと!もっと!

私は永遠に美しくあり続けるのだ


クロの食事タイムが終了した後に残ったのは

1人の皺皺なおばあさん……ただ1人だけだった


『ねえ、ついでにここにいるやつも食べちゃっていい?』


「どうぞ」


『わぁい!』


何がわぁいだ

今更可愛子ぶっちゃって!


クロの食事タイムから立ち上がった魔術師は


「私はお金のためだからと言って何ということに手を貸してしまったんだ!!」


と、後悔していたので自首するように勧めた


おばあさんは


「はて?あなたはどこの誰ですか?

あら?私は誰かしら?」


何も分からなくなったようだ

だからって罪が消えるわけじゃないだろうけど……

これ以上この人を責める気にもならなかった


「帰ろう」


気球に乗ってクイーンとルークとウィルを連れて帰った

帰る前にお祖父様の部屋に

ドラチェット家で行われてたことの一部始終を書いた投書をしておいたので

あとはお祖父様達が動くだろう


「お嬢様、どうかなさいましたか?」


「誰かがあのおばあさんに教えたんだ処女の血を飲めば若返られると」


「処女の血だなんて誰がそんなことを?」


「分からない……でも、そいつが唆したんだ」


不気味な謎を残したままドラチェット家の騒動は幕を下ろした


『やっと気づいてくれたね』


「おーい、お嬢!朝食だってよ」


「今行くー!」


今日も朝がやってくる

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