領地へGO!
突然だが、お祖父様の家に行くことになった
母方のお祖父様とお祖母様は領地の方におられるらしい
会ったことないから、てっきり亡くなっているものだと思ったのだが……
「お祖父様が○△□ちゃんに会いたがっているんだが行ってみるかい?」
夕食時に父がそう言った
領地は自然溢れる場所のようで、丁度暇にしていた私は1も2もなく飛びついた
父は仕事で王都を離れるわけには行かず
母はシリウスとレイチェルの世話があり行けず
シリウスとレイチェルは馬車の旅をするにはまだ小さすぎてお留守番だ
結局、私とアンとセバスチャンとウィルの4人で行くことになった
いつもの代わり映えしないメンバーである
領地までは馬車で3日程かかる
その間、立ち寄った町でお祭りに参加したりして楽しんだ
アンとセバスチャンは渋い顔をしていたが
ウィルと私はちょっと裕福な商人の兄妹になりきって遊んだ
いやー、夜店で食べるものはいいね
雰囲気があるせいか、いくらでも入る
それに今回はウィルがいるお陰で色んな種類を食べることができた
領地に近づくと牧場をよく見かけるようになった
確かに王都より自然が多いようだ
時折、牧場や田畑で働いてる人が手を振ってくれるので
全力で手を振り返した
「お嬢様、大旦那様や大奥様の前ではどうするんでしたか?」
いつものセバスチャンの呪文である
「木には登りません、泥遊びしません、危ないことに首を突っ込みません」
多分、全部する
だって、領地の話が出てからクロが笑っている気配がしているからだ
でも、セバスチャンには黙っておく
セバスチャン、クロのこと何故か警戒してるんだよな……
「ウィル、お前もですよ
お嬢様は一緒になって祭りの時のようにはしゃがないように!」
「へーい」
「へいではなく」
「はい」
領地の屋敷に着いて出迎えてくれたのは
母の弟、叔父さんだった
「ようこそ○△□ちゃん、遠くからよく来てくれたね
父も母も○△□ちゃんに会うのを楽しみにしていたんだよ」
案内された屋敷は落ち着いた感じでどことなく王都の家と通じる雰囲気があった
「王都とは何にもないところで驚いただろう?
でも、自然の多さと食べ物の美味しさは王都にも負けないと思うよ」
すっごく登り甲斐のある木を見つけたし
来る途中になっていたキイチゴはとても美味しかった
「父上、○△□ちゃんが来てくれたよ」
お祖父様はヒゲが特徴的だった
頭はハゲているがヒゲだけ仙人のように伸ばしている
ふっくらした体型でお腹が柔らかそうだ
「ああ、○△□、ようやく会えたね
何度会いに行こうと思ったか!」
優しくハグされた
お祖父様は戦争で片足を失っている
義足をつけているが長旅や馬車の旅となると痛むらしい
「あらあら、まあまあ
あなたばっかりズルいですわ
私にも可愛い孫の顔を見せて頂戴」
お祖母様はふわふわの髪に母とよく似た顔立ちの美人だった
「本当にマリアンヌの小さな頃にそっくりね
うふふ、この家にいる間は自分の家にいるつもりでゆっくり過ごしてね」
自分の家のつもりで……
つまり!走り回っても問題ない!
「…………」
アイコンタクトでセバスチャンから圧力をかけられた……
やっぱり、ダメですか?
ええー
それからお祖父様とお祖母様と家族のことやシリウスやレイチェルのことを話した
アインの話になった時はお祖父様の顔がとても怖いことになっていた
父、お祖父様にアインのこと説明してなかったな……
まあ……あとで、きっとセバスチャンが説明してくれる……はず
その日は美味しい夕食を食べて
そのまま眠った
翌日からは屋敷内は駆け回るとセバスチャンの目があるので
領地を駆け回ることに決めた
「行ってきまーす!」
「あら?○△□ちゃん、どこに行くの?」
「外!行ってきまーす!」
「え?セバスティアンに言った?あら、もう行っちゃったわ」
まあ、領地は楽しかった
1人で領地で探検していると近くに住んでいる子どもが集まってきた
「お前、どこの子どもだよ?
ここら辺で見たことないぞ」
「うん、昨日来たばっかりだもん」
「引っ越して来たのか?」
「……そんな感じ?」
2週間程お泊まりして帰る予定だ
「それならしょうがないな
俺たちの仲間に入れてやるよ」
という訳で近所の子ども達と水遊びをしたり
蝉を手づかみで捕まえたりと、それはそれは楽しく遊んだ
昨日、目をつけた木のてっぺんまで登った時には子ども達から
「すっげー!」
との言葉をもらった
ふふん!普段から木登りは欠かしていないのだよ!
「お嬢!ってあんたまた木に登ってるんですか?
あれですか?
ナントカと煙は高いところが好きっていいますもんね」
ウィルが追いついて来たらしい
ウィルはキメラだけあって鼻が効く
セバスチャンでも見つけられない時でもウィルは私がどこにいるかわかるのだ
「おい、こいつなんだよ!?」
子ども達はウィルにも興味津々だ
それなら祭りと同じ手でいこう
「お兄ちゃん!」
「は?またかよ?……おお、妹よ?」
棒読みと疑問形なのが気になるが
まあ、いい
ウィルも一緒にになって遊んだ
子ども達の中で流行っていたのは
騎士ごっこだった
悪役を騎士が倒すというストーリーに女の子は悪役にさらわれた人質という設定だ
その騎士の名前がロミオだったことに疑問を持ちながら
私は颯爽と悪役ぶりを披露した
「オーホッホッホ、この娘の命が惜しくなければ剣を向けるといい
さあ、どうしたロミオよ!」
「お嬢、ハマりすぎ……」
「今だ!行け手下A!」
「はいはい……」
ストーリー上、人質になった女の子をラビットという騎士が助け
ロミオが無事、悪役を倒すというストーリーである
やっぱりどこかで聞いた名前だ……
「あれ?ラビットくんは?」
しかし、何故かラビットくん役は現れない
仕方ないのでそのまま続行する
「く、くそ!マリアンヌ様を離せ!」
あれ?
「ふふふ、自分の弱さを悔いるのね!
トドメだ!!」
……あれ?勝っちゃった?と思ったら
人質役の女の子が肘打ちをかましてきた
地味に痛い
「お嬢!大丈夫か?」
人質役よ
足を踏むとかでよかったんじゃないかな?
え?リアリティ?……そうね、リアリティは大事だね
こうして形成逆転した騎士は悪者を倒す
ここが1番の見せ場だ捨て台詞を吐いて退場する
「おっおぼえておれ!つ、つぎゅこそお前達を倒してやるわ!オーホッホッホ!」
……また噛んだ
だが、子ども達には好評だった
いつも悪役のなり手がないらしい
何故だ!?私ならいつでもオールOKだ!
それにしてもラビットくん役の子はどこに行ったんだか?
また明日も遊ぶ約束をして屋敷に帰っていった
お祖父様とお祖母様に今日のことを話すと
口をポカンと開けていたけれど、最後には良かったわねと笑ってくれたのでよかった
セバスチャンが頭を抱えていたが、はて?何故だろう?




