本当に黒いのは誰?
「あら、貧乏人が出すお茶はお茶まで貧相なのね」
「なあに?このお菓子、こんな貧乏くさいものよく食べられるわね」
王妃様節絶好調である
そんな中側室様はにこにこ微笑んでいる
その微笑みは先程の笑みとは違うが表情は崩さない
「王妃様、今日はどうかされましたか?」
「なぁに?何かないと私は来てはいけないのかしら?
……いつからお前は私に指図できるほど偉くなったのかしら?」
「いえ……そういう訳では……出すぎた発言をお許しください」
き、気まずい……
さっきからフィル様もリリアナ様も気まずげにモジモジしている
「それで?どうしてフォンタナー家の小娘がここにいるのかしら?」
「先日のお茶会で息子が○△□嬢を気に入りましたので
一度お話をと、お呼びしたんです」
「お初にお目にかかります
○△□・フォンタナーと申します」
「ほう?お前の息子がフォンタナー家の小娘をねぇ
貧乏人の子ども同士、お似合いではないのかしら?」
あれ?無視ですか
……今の貧乏人は父のことだよな?
母のことだとすると聞き捨てならないぞ!
「ええ、ですか振られてしまいましたわ」
いや、ここでバラしますか側室様!?
「そう……それでお前の息子も娘も私が来たと言うのに挨拶もろくに出来ないの?」
ビクッ!とフィル様とリリアナ様が震える
「躾が出来ていないわね
私がしてあげるわ」
王妃様は扇を取り出すと
アインの時と同じようにウィル様を叩こうとした
バチン!
「…………」
「……ゴンちゃん!?」
い、痛い!
フィル様と王妃様の間に入ったことで代わりに顔を叩かれた
っていうか、王妃様顔を狙ってましたよね?
「なぁに?この小娘は私の邪魔をするの?」
いやいや、アインの時も思ったけど
小さい子を叩くのはダメですNO!暴力!
控えていたアンとセバスチャンの顔色が変わる
つい、体が動いちゃったけど……ちょっとマズイ状況かも
「気に入らないわ!!
お前如きが私の邪魔をするなんて!」
王妃様はヒステリックに叫ぶと扇を何回も振り下ろす
それは扇が折れるまで続いた
痛かったけど……かなり痛かったけどイアンにボコボコにされた時ほどじゃない
でも、親子だよなぁ
「次の扇をよこしなさい!」
まさかのインターバル!?
「や、やめてください おうひさま わるいのは ぼくです」
「王妃様、おやめください
悪いのは私ですの!だから、ゴンちゃんをそれ以上叩かないでください」
「私に逆らうと言うことがどう言うことなのか
その身をもって思い知らせてやるわ!」
「王妃様、それ以上なさいますと王妃様の手が汚れてしまいますわ」
側室様がそう言った
「お母様!?」
「ははうえ!?」
「なぁに?代わりにお前が叩かれるとでも言う訳か?」
「それを王妃様がお望みなのでしたら
ですが、お優しい王妃様がそんなことをなさる訳がありませんね」
「…………お前は……いや、もうよい疲れた……帰る」
そう言って嵐のような王妃様は帰って行った
「さあ、ゴンちゃん顔を冷やしましょう
すごい顔になっているわ」
「ふぁい」
「王妃様のこと誤解しないでね
あの方はとても怒りっぽくてヒステリーで、でも、とても寂しがりやな人なの
多分、今日も私達が楽しそうにしているから御自分も参加してみたかったのね」
いや、そんな可愛いもので……ないのでは?
『あの王妃様、いい感じの闇を育ててるよね』
出てくるな、クロ
「でも おうひさま すぐ たたく から こわいです」
「私も苦手ですの」
「そう?根は単純で可愛らしい方だと思うけれど
……でも、お前達も挨拶をしないのはいけなかったわ
誰だって怖がられたら嫌でしょう?」
「側室様は王妃様がお好きなのですか?」
「ふふふ、あんな扱いやすくて面白い人なかなかいないわよ」
怖っ!
そして黒い!
「ごめんね ゴンちゃん」
「ごめんなさいですの、ゴンちゃん」
2人とも冷たい布を当ててくれるのは良いんですけど
強く当てすぎて痛いです……でも、泣涙ぐんでいる2人を前にして言えない
「本当ににゴンちゃんがお嫁さんに来てくれないかしら?
あの王妃様に真っ向から向かって言う態度……すっごく面白いわあ」
ははは、側室様
良い性格してますね……ますます絶対嫌になりました
帰る時間になり離宮を後にするとイアンに出くわした
「お茶会はどうだった?ってその顔どうした?」
「おたくのお母上に聞け!」
「母上がしたのか!?……悪かったな」
「アインが悪いんじゃないだろ?」
「いや、そうだけど……お前、一応仮にも女だし……
分かった……跡が残ったら俺が責任」
「あにうえ だめです
ゴンちゃんは ぼくの およめさん です」
イアンの言葉を遮るようにフィル様が飛び込んでくる
「あ、両方ともいりません
私の理想は山よりも高く海よりも深いので
とりあえず、うちのセバスチャンと父に勝てない人は論外です」
言うだけ言って、さっさと馬車に乗り込んだ
「せばすちゃん?」
「アイツん家の執事だ」
「あにうえ ぼく つよく なります!」
「そうか……俺がいうのも何だが女の趣味は考えたほうがいいぞ」
「そして あにうえを ぼこぼこに します!」
「なんでだよ!?」
それから王宮ではイアンとフィル様が剣の稽古を一緒にする姿が見られるようになったとか
イアン様は病弱で従者のアインがフィル様と打ち合ってりしているらしいと父から聞いた
そしてうちには
「遊びに来ましたの!」
これまで通り恐怖の『可愛い ゴンちゃんへ』の手紙と共に
お姫様が突撃してっくるようになることを私は知る由もなく
アンとセバスチャンに怒られ
青アザが出来た顔を父と母に心配され
ウィルに大笑いされるという屈辱を味わっていた




