第1印象から決めていました!
「えっぐ!ひっく!」
目の前には泣いているエイミーちゃん
「あーあ……泣かせた……」
いや、元はと言えば元凶はあなたですよフィル様……
「ふぇえええん!」
何故こうなった!!
「けっとうの方法はあなたに決めさせてあげますわ!
わたくしは神童と呼ばれていますもの!
どうせ、わたくしが勝ちますわ!」
腰に手を当てて踏ん反り返るエイミーちゃん
ヤバい、この子いちいち仕草が可愛い
腰にしがみついているフィル様捨てて、お話ししたい!
「ちょっと聞いていますの!」
「聞いてます!聞いてます!
決闘の方法はかけっこで!」
かけっこが1番手っ取り早く分かりやすいでしょ!
「かけっこですって!?
そんなの貴族の令嬢がするには相応しくありませんわ」
「……かけっこ……ぼくも……する」
「まあ!……フィル様まで……!
分かりましたわ!わたくしも侯爵家の令嬢
ここは引けませんわ」
よし靴で線を引いてスタート地点を作って!
50m程先の木に髪に結んであったリボンをほどいて巻きつける
「ここからスタートしてあのリボンを巻いた木にタッチして
早く戻ってきた方が勝ちってことで!」
「いいですわよ!わたくし絶対負けませんもの!」
「ぼくも……いい……よ」
「ちょっとそこの貴方!審判をしてくださいな!ちゃんと見ていてくださいましよ!」
エイミーちゃんは近くでお菓子を食べていたぽっちゃり少年に声をかける
「んぐ!」
ぽっちゃり少年はお菓子を喉に詰まらせながら頷いた
「さあ、いきましょう!って貴方何をしているんですの!?」
「何って走るんだからこんな靴ぬがないと!」
踵のある靴なんか履いて走れないよ
靴をぽんぽんと放り、裸足になる
うん、やっぱり裸足が1番だね!
「……ぼくも……なろう……かな?」
「ダメですわフィル様!貴族が裸足なんて以ての外ですわ」
「……しょぼん」
しょぼんだって!
本当にフィル様はあざとい!フィル様恐ろしい子!
「えーと、それでは準備はいいですか?
よーい!ドン!」
勝負はするまでもなかった
日頃、屋敷で走り回っている私の敵ではなかった
エイミーちゃんも速い方ではあったが、踵のある靴を履いて私に勝てるほどではない
フィル様は走り方もあざとかった事だけ言っておく
なんか、どう走れば可愛く見られるか計算してるように見える節があるんだよな
あれで天然なら本当に恐ろしい!
「嘘よ!わたくしが負けるなんて!
そうよ!貴方が靴なんか脱いでるから!だからよ!
今度は靴を履いて勝負よ!」
「うーん、いいよ?」
「ぼく……も……いっしょ」
「ちょっとそこの貴方もう1回審判をして頂戴!」
結果は言うまでもない圧勝だった
「そんな!わたくしが負けるなんて何かの間違いよ!
もう1回よ!次こそ勝つわ!」
「別にいいけど……」
なんか会場の注目集めてるけどいいの?
「次こそは負けないんだから!」
「がんばれー」
フィル様、もう飽きたんですね……
「なんだ、この騒ぎってお前かよ」
「○△□、こんなところにいたのか?って何してるんだ?」
騒ぎを聞きつけてアインとアルがやって来る
「ちょっとあなた方!けっとうの邪魔ですわ!」
「決闘?かけっこがか?」
「かけっこだろうと何だろうと決闘に変わりありませんわ」
「いや、かけっこはかけっこだろう?
……お前、○△□に勝てないんだろう?」
「う……そんなこと……ありませんわ……次こそは……」
オイ、アイン刺激すんな
エイミーちゃんの目がだんだん潤んできてるじゃないか
「あのな、あの山猿みたいな○△□にお前みたいな令嬢が勝てるわけないだろ?
そんなことも分からないのか?」
「そんな……わたくしは……フィル様と……お話ししたかっただけ……なのに」
「おい、アインその辺でやめとけ」
アルが止めるがアインは止まらない
「いや、だって無謀だろう?俺たちでも駆けっこじゃ勝てないのに
こんなのが勝てるわけないじゃないか!」
「こっこんなの……!」
ブワァッとエイミーちゃんの瞳から涙が溢れ出す
……あーあ
「えっぐ!ひっく!」
「あーあ……泣かせた」
「え!?俺が泣かせたのか!?
いや、俺はさ、お前じゃ敵わないから代わりに戦ってやろうと思ってだな」
「お前とか!うぇええええん」
泣き止むどころか更に大きな声で泣き出すエイミーちゃん
ヤバい……この騒ぎはアンやセバスチャンに伝わる……
「どうすりゃいいんだよ!○△□!元はと言えばお前のせいだろ!
なんとかコイツを泣き止ませろよ!」
ええ!?私のせい!?
「エイミーちゃん、泣き止んでよ
そうだ、フィル様とお話ししたらどうかな?ってフィル様は!?」
フィル様は少し離れた場所にいて素知らぬ顔でお菓子を食べている
オイ!!
「アインも悪いと思ってるから!許してやってよ
ね!アイン!!」
「ああ……悪かった?」
「しょうぶは……わたくしの勝ちで……いい?」
「え?いや、それは違うでしょ」
勝ちは勝ちだ
「う……ふぇ」
また目が潤み始めるエイミーちゃん……
「ああ、もう泣くな!代わりに俺がお前の仇をとってやるから!
ほら、お菓子でも食って見てろ!」
アインがエイミーちゃんの口にお菓子を突っ込みながら
靴を脱ぐ
「ほら、それでいいだろ!準備しろよ○△□!
アル、審判しろよ!」
「いや、俺も出よう
アインだけじゃ頼りないからな
すまないが、審判を頼めるか?」
オイ、待て2対1じゃないか!
かけっこじゃ……あまり関係ないか
「わっわかりました!」
ぽっちゃり少年が答えるとアルも靴を脱ぎ始める
……これじゃ、いつものかけっこと変わらないじゃん!
「○△□!今日こそ勝つ!」
「まあ、○△□はスカートだけどそれぐらいハンデがあっても問題ないだろう?」
「当たり前だ!私を誰だと思っている!」
かけっこは同着だった
「いや、俺の勝ちだろう!どこを見ていた!」
「アイン、審判をしてくれた子に噛み付くな」
「いや、だってな!」
「いや、私の勝ちだ!」
「いや、俺だ!」
お互い譲らないでいると
「……も!わたくしもしますわ!」
泣き止んだエイミーちゃんがまた参加を表明していた
「ぼっぼくもやってみたい!」
さっきまで審判をしていたぽっちゃり少年も参加を表明している
「ぼくも!」
「私も!」
見ていた令嬢も坊ちゃん達もこぞって参加してきた
……王弟の息子であるアルが、かけっことに参加したことが大きいだろう
子どもなのに権力の強いものがしていることが正しいって風潮はちょっとヤだけど
まあ、みんなで体を動かすことも悪くはないだろう
「……ぼく……も」
いつの間にかフィル様が戻ってきていた
……私を見捨てたのを忘れていないぞ……
「かけっこなんて下品ね」
一部の令嬢はそう言っていたけれど
多数の令嬢と坊ちゃんは参加していた
しまいにはトーナメント制になって勝負は加熱して言った
「ねえ……名前……は?」
フィル様がまたそばにやって来る
「ななしのごんべえです」
「ゴンちゃん……かわいい……」
いや、可愛くはないだろう
「ゴンちゃん……おともだちに……なって……」
「嫌です
私はエイミーちゃんとお友達になるんです!
エイミーちゃん!お友達になってください!」
エイミーちゃんに頭を下げて手を差し出す
某前世のお見合い番組で告白する時にするポーズだ
「わっわたくしとお友達になりたいんですの?」
「はい!第1印象から決めてました!」
「えっと?よろしくお願いしますわ」
こうして私は初めてのお友達にをゲットした
え?アルとアイン?あいつらは既に家族だからカウントしない
その後、家に
『可愛いゴンちゃんへ』
と、描かれた花束が贈られてきた
名前も家も教えていないのに……これがストーカーか……!!




