ドラ○もん ドラ○ちゃん
クロはあのバスサス家の一件からだいぶ大人しい
バスサス家に囚われていた獣人の子ども達は親元に帰って行ったらしい
親がいない子は孤児院に入ることになったそうだ
アインがヴォルフの孤児院にも獣人の子どもが入ってきたと言っていた
獣人と人間の間には未だ差別があるそうだ
でも、私たち子どもにはあまりそんなことは関係ない
獣人の子どもの方が力が強くて羨ましいなと思うことはあっても
怖いとは思わないからだろう
そんなこんなで母が出産予定日になった
父は朝から仕事を休んでそわそわしている
「マリアンヌ、大丈夫か!私がついている!愛してるよマリアンヌ!」
と叫んで
「うるさい!静かにしておくれ!」
とゼリー婆に怒られていた
怒られた後一瞬はシュンとしていた父だが今度はうろうろと廊下を行ったり来たりしている
「旦那様、邪魔です」
ジュリアスにも怒られていた
私といえば、大人しく椅子に座っている
いや、あんなに父が動揺してるとかえって冷静になるというか……
何故か隣にはアルとアインもいる
しかも2人とも何故か私の手を握っている
「大丈夫だ、○△□」
「俺がついている」
言葉は力強いが、さっきから2人も強く握りすぎて痛い
手汗もベチョベチョだ
……早く、生まれてこないかな?
オギャー オギャー
「!?生まれたのか!?マリアンヌ!?」
「だから、うるさいって言ってるだろう!もうお1人生まれるんだから待ってな!」
またもやゼリー婆に叱られしょげる父
そのすぐあとに
……ャー……ャー
と弱々しい声が響いた
「マリアンヌ!しっかりしな!」
ゼリー婆の慌てた声が聞こえてくる
『あの赤ん坊、体に闇を抱えているね
食べてやらないとすぐ死ぬよ』
影からクロが語りかけてくる
「え……?」
死ぬ……?
『母親の方も危ないね
……○△□がいうなら食べてあげてもいいよ
でも、対価は勿論もらうけどね」
ドクン ドクン ドクン
自分の心臓の音が聞こえる
考えるまでもない
「クロ、交渉成立だ
……その前に父を眠らせてくれ」
まだ、バレたくない
手の紋章から黒い靄が現れ父を包むと父が倒れる
「おい、○△□!?」
「何を!?」
アルとアインが父に駆け寄る
「体に闇が溜まって母と赤ちゃんが危ないらしい
だから、交渉成立した」
黒い靄は扉の隙間から入り込むと
母と泣き声の弱々しい赤ちゃんを包む
「なんだいこれは!?」
ゼリー婆が叫ぶ
扉に阻まれて見えないけれど分かる
母の中に溜まった毒素を赤ちゃんの中に残った毒素をクロが食べている
『あー、ゲロマズ……もう2度と食べたくないね
……食べておいたよ
これで母親も子ども大丈夫だよ』
「ありがとうクロ」
『お礼はまだ早いと思うけどね
今回はわざわざゲロマズを食べてあげたんだからそれなりの対価をもらうよ
前回のとは比べ物にならないやつね』
クロが影に戻ると私も気絶した
「○△□!?」
「オイ!しっかりしろ!?」
次に目が覚めた時には父が顔を覗き込んでいた
「!?」
「起きたかい?出産予の緊張で私も○△□も倒れたそうだ
覚えているかい?」
「母は!?赤ちゃんは!?」
勢いよく体を起こす
「3人とも無事だよ」
『ボクが闇を食べたんだから当然でしょ』
クロが苦情を言う
……あれも夢じゃなかったのか……
「マリアンヌのとこへ行くかい?」
「行く!」
そこで見たのは体を起こして微笑む母と
赤ちゃんをそれぞれ抱っこしているアルとアインだ
!!
私ですら抱っこしていないというのに!!
「ああ、○△□起きたのか?見ろ、女の子だ
すごく可愛いなぁ」
アルが抱っこしているのは女の子らしい
私と母と同じ金色の髪に父と一緒の青色の瞳だ
「将来、美人になるぞ」
アルに言われなくてもそんなの決まっている
「こいつは男の子だ
小さいながら端正な顔立ちだ
今から鍛え上げ、俺の側近にしてやろう」
してくれなくていいです!
弟はうちの子として育てます
母と同じ茶色の髪に父と同じ緑色の瞳だ
そんなことより!ほら!姉と父に赤ちゃんズを渡すんだ!!
「アルちゃん、アインちゃん
ロミオと○△□ちゃんにも赤ちゃんを抱っこさせてあげて?」
流石、母!
渋々といった表情でアルとアインがベットに赤ちゃんズを戻す
やっとだ!この1年ずっと待ち望んでいたんだ!
「パパでちゅよ」
「私が姉だぞ
生まれてきてくれてよかった」
それぞれ赤ちゃんを抱っこする
「オギャー」
……私だけ何故か大泣きされた……
その後、ゼリー婆に母と赤ちゃんズを休ませるようにと
部屋から追い出された……もうちょっと、一緒にいたかったのに……
父とアルとアインは赤ちゃんズの名前を考えるらしい
勿論、私も!と行きかけたのだがゼリー婆に捕まった
「それで?さっきのは何なんだい?」
「ピーヒョロヒョロ」
「下手な口笛はおやめ!で、あれは何なんだい?」
ッチ………誤魔化されないか……
「闇の精霊……母に溜まってた毒素と赤ちゃんの1人に残ってた毒素を食べてくれたんだよ」
「……闇の精霊ねぇ
そんな眉唾ものが……だだ、母子共に危なかったのも事実だ
その闇の精霊とやらは誰でも契約できるのかい?」
「何で?」
「毒素を食べてくれるんなら
疫病や怪我でさえどうにかできるだろう?」
「クロ出来るの?」
『無理だね
普通、精霊はあんなもの食べないんだよ
ゲロマズイしボクだって食べたくなかったし』
「無理だって」
クロの言葉を伝えるとゼリー婆は肩を落とした
その肩の落としようは見ていて気の毒になるほどだった
「地道にやるしかないってことだね
楽しようとしたのが間違いだね
悪かったね、小娘」
ゼリー婆に何かかける言葉があればよかったのだが
今の私にはかける言葉が見つからなかった
翌日も翌々日も父とアルとアインは赤ちゃんズの名前を考え続けた
母はそんな父の様子を微笑ましく見ていた
私は呼び名がないと不便なので
弟を「ドラ○もん」妹を「ドラ○ちゃん」と呼んでいたのだが
アル経由で呼んでいることがバレ、その名前は絶対に使わないようにと念を押された
万能○型ロボットのように優しい子になって欲しいという願いをこめてだな……
結局、弟はシリウス妹はレイチェルになった
ドラ○もん……なかなか良いと思ったんだけどな
「シリウス、レイチェル、君たちは転成者じゃないよな?
転成者なら手を上げて、教えてくれ」
キャッキャ!
アギャー
笑ったのがレイチェル、泣き出したのがシリウスである
……とりあえず妹も弟も転成者ではないらし




