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目指せ!悪役令嬢物語!  作者: 真ん中
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セバスティアン

私の名はセバスティアン

先先代の時代からフォンタナー家の執事を勤めてまいりました

今は愚息のジュリアスにその役目は譲り

私はフォンタナー家の1人娘である○△□様のお目付役となりました

○△□様は貴族のお嬢様にしてはとても自由奔放な方で

目を離すとすぐに何処かへ行き何かと問題を起こすという嵐のようなお子様でございます

2歳の時から既にその片鱗を現し始めておりました

私は奥様と旦那様に進言して遠縁の娘であるアンシェリーを連れてまいりました

アンシェリーは遠縁の子と言ってはおりますが血の繋がりはありません

私が拾い、フォンタナー家の役に立つようにと教育を施した子どもに御座います

ムチさばきは私でさえ手こずる程で御座います

お嬢様の遊び相手、兼護衛にと思ったのですが

お嬢様はアンシェリーを振り切り暴れる日々

……ついに私めもお目付役となった次第に御座います


お嬢様は自由奔放な方で

旦那様が王弟様からお預かりになったご子息を「豚」呼ばわり

私は旦那様から事情を聞かされておりましたので肝が冷える思いでございました


そんな自由奔放なお嬢様ですが家族思いの一面もございます

アイン様にアル様が稽古と称し暴力を受けた際は

自ら仇をとるとアイン様に向かって行きました

この時のことを思い出すと、胸が痛い思いでございます

何故、あの時私めは馬車を呼びに言ったのか……お嬢様から目を離すべきではなかったのです

旦那様の腕の中でぐったりと意識を失っているお嬢様を見た時の後悔は

今でも胸に刻まれております

元気になったお嬢様を見て……もう目を離すまいと思うのですが……

そんな私達の思いを知らず……今日もお嬢様は暴れられております


お嬢様の魔力量は常人の魔力量を超えておいでです

アル様も通常より多い魔力量をお持ちの方ですがお嬢様は桁違いです……が

本人は全くそのことを意識せずに使われておいでです


この間の使用人の慰労会の時に私とアンシェリーの為に

花火なるものを上げてくださいました

火魔法にこんな使い方もあったのかと思った反面

これが軍事目的に使われたら!と恐ろしくもありました

もし、仮にそんなこととなりましたら私は全力でお嬢様をお守りする所存です


お嬢様は人だけでなく人外にも好かれるようです

少し目を離した隙にネコミミの精霊と闇の精霊の祝福を受けていらっしゃいました

ネコミミのお嬢様は大変可愛らしく……オホン

屋根の上に登ったり、細い枝に登ったりと……まあ、いつものお嬢様の行動なので

そんなに問題にはならないのですが

問題は闇の精霊です

お嬢様に取り憑き心の闇を差し出さないとお嬢様自身を食べると脅しているのです

精霊とは人知を超えた存在……

要求を飲まなければ何の躊躇いもなくお嬢様を喰らい尽くすでしょう

……お嬢様がどこまで理解されているのかわかりませんが……

私に王都で後ろ暗い人間のリストを作れと命じられました

私は適度に後ろ暗い噂を持つ人物のリストを作り上げました

勿論、裏をとることも忘れませんでしたが

そこまで悪党と呼ばれる人物はあえて外して作りました


お嬢様は大変喜ばれ、闇の精霊はその中のゲルハウト・バスサスを指名しました

バスサスは領地での税金の水増しという比較的に

どこの貴族もしているような罪ではございましたが

闇の精霊はやけにバスサスを指名しておりました

……正直に申しますと嫌な予感がしたのでございます

ですが、喜ばれているお嬢様に水を差すのも……と老婆心を出してしまったのが間違いでした


バスサス邸に侵入すると見張りを倒しながら中に進んで行きます

すると、だんだん血の匂いが濃くなっていまいりました


ゲルハウト・バスサスは領地での税金の水増しだけでなく

獣人の奴隷売買に手を染めていたのです

お嬢様の指示の元、私は護衛や襲いかかってくる使用人をいなしていくました

アンシェリーが捕まっていた獣人の子どもを救出し

お嬢様がゲルハウト・バスサスの心の闇を闇の精霊に喰わせている間に

私は屋敷の中を見回りました

そこで見たものは…………筆舌に尽くしがたいものでございました

ですから、私が見たものだけをお伝えしたいと思います


バスサスの息子達は獣人の子どもの頭を蹴飛ばし笑っておりました

バスサス夫人は地下の拷問部屋で男の奴隷相手に焼印を押して楽しんでおりました

拷問部屋の隣には無数の屍が積み重なって異臭を放っておりました


……人間のすることではありません

バスサスの息子達を気絶させ、獣人の子どもの意識を確かめました

幸い、呼吸をしていたので応急手当てをし

バスサス夫人もまた同じように気絶させておりますと

焼印を押されていた男の奴隷達が黒い靄に包まれたかと思えば

1人1人と眠るように倒れて行きました

お嬢様が何かされたのだろうと判断し、私めはお嬢様の元に戻りました

酷いご遺体の数々は今の私ではどうすることもできません

そして……お嬢様にこの状況をお見せしたいとも思いません


私めに出来ることといえば騎士団詰所に投書することを進言することぐらいでございました

お嬢様は騎士団の詰所に投書をなされましたが、お顔は優れませんでした

あの、悲惨な状況を見てはいないとはいえ

お嬢様やアンシェリーなりに感じることがあったのではないかと存じます


翌日の夕刊にゲルハウト・バスサスとその一家が捕まったことが記されておりました

地下にあった遺体のことには触れられておりませんでした


……正直に申して、私は闇の精霊が恐ろしいのでございます

いつか……あの闇がお嬢様の心を喰らうのではないかと……


「セバスチャン!遊びに行ってくる!」


ですが、太陽のように笑うお嬢様の笑顔を守りたい……そう強く思うのでございます


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