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目指せ!悪役令嬢物語!  作者: 真ん中
37/85

コードネーム

セバスチャンからリストを受け取る

流石セバスチャン!

リストにはズラリと名前が並んでいる

そんな時、影が暴れ出した

そして1つの名前を指差している


『ゲルハウト・バスサス』


もうこれこれコイツと言わんばかりに影はバルサスの名前を指す


「セバスチャン、バスサスはどういう疑いが?」


「ゲルハウト・バスサスは領地での税金の水増しの疑いでございます」


税金の水増しねぇ……そんな悪党じゃないな……

クロのことだからとてもつなくエグい奴を選びそうなものなのに……


「では、バルサスの元へ向かうぞ!」


「移動手段はどうなさるおつもりですか?

侯爵家の馬車は使えませんぞ」


「任せろ!こんなこともあろうかと!」


ババン!と気球を登場させる

勿論、認識の魔法がかけてあるので乗れば人には見えない優れものだ!


「お嬢様……いつの間に……」


天の御使からもらった知識を総動員してセバスチャンやアンにバレないように

コツコツと作り上げた逸品だ


「その情熱をお勉強に注いでいただけるとありがたいのですが……」


「勉強にも情熱を注いでいるだろう」


「……いつぞやに出した宿題がまだ未提出ですが……?」


「ピーヒョロヒョロ」


そういえばセバスチャンの加護縫いの宿題のことすっかり忘れてた……


「今はバルサスだ!

アン、セバスチャン乗れ!」


アンとセバスチャンを乗せると風の属性魔法と火の属性魔法を使い気球を操縦する


「アン、セバスチャンこれから重大な話をする

心して聞くんだ」


「はい、お嬢様」


「…………」


「私のことはこの姿の時はボスと呼ぶんだ」


「…………」


「…………」


「アンのことはクイーン」


「……く、クイーン?」


「…………」


「セバスチャンのことはルークと呼ぶ」


「…………」


「…………」


「セバスチャン、さっきからノリが悪いぞ!」


「いえ、お嬢様のことですから

ポチやタマ、田吾作、権兵衛、というのを予想しておりましたもので」


いや、ポチやタマもいいかな?と正直考えたけど

2人のコードネームはチェスからもらった

私はドン!でも良かったのだが、なんとなくボスの方がいい気がしたのでボスにした


『じゃあ、ボクはラスボスだね』


クロが影の中から話しかけてくる

お前はお呼びじゃないの!


「ニャー」


相変わらず頭の上に居座っているテイルが鳴いた

え?お前もコードネームがいるの?

そりゃ、今度こそ


「コードネームはネコだ」


「シャー!」


ふふん!フードを被っているからいくら爪を立てたって痛くないわ!


「お嬢様……」


「ボスだ!」


アンの間違いを訂正する


「……ボス、テイル様を怒らせるからまたネコミミが生えていますよ」


「じゃあ、何がいいんだ?

ポチかタマか?ネコだからキャットはどうだ?」


「シャー!」


どれもダメらしい

今日はセンスのいいらしいアルはいないんだ!我慢しろ!


「もういい!ネコはネコだ!」


「シャー!シャー!」


「……あの、クロ様とお揃いでシロ様はどうでしょうか?

テイル様の毛並みはとても美しい白色ですので」


アンの恐る恐るの意見に気を良くしたらしい

……結局、褒められればなんでもいいんじゃないか!


「ナー」


「……ボス、クイーン、そろそろバスサスの屋敷に着きますよ」


よし!行くとしよう!

バルサスの屋敷に着くと屋根に気球を固定する


侵入なら任せろ!少しの隙間さえあれば……

見よ!このネコミミの呪いを受けた私の真の力を!……と思ったら

シロが隙間から入って窓の鍵を開けた

……折角の見せ場が……


屋敷の中を使用人に見つからないように歩いて行く

セバスチャンは気配を消せるし、私も認識の魔法を使って見えなくなっているし

あとは、アンだけなので……それも私達が気をつければ問題ない


「なっ!」


見つかった時は実力行使でセバスチャンが黙らせる

気絶した使用人はアンが縛り上げ猿轡をして物置らしき部屋に放り込んでいた


『…………か?』


『はい…………どうりです』


光が漏れている部屋がある

覗き込むと中年のおじさんが檻を前に執事と話しているではないか


「あれがゲルハウト・バスサスです」


「あれが……」


あいつの心の闇をクロに食べさせれば任務完了だ

そうと決まれば!


「ボス、お待ちください

あの檻の中を見てください」


セバスチャンの声に檻の中を見てみると

獣人の子どもが入れられていた


『いつも通り、奴隷達は地下に閉じ込めてあるのだな』


『はい、旦那様

女の奴隷はお部屋の方に男の奴隷は地下の拷問室につないであります』


オイオイ、この国では奴隷売買を禁止している

それでも売るやつがいるのも買うやつがいるのも知っていたけれど

バスサスもそうなのか……

どこが領地での税金を水増しの罪だよ……

奴隷売買の罪じゃんか!?


「どうしますかボス」


「いや、どうしますかって見ちゃったし

やらないと食べられるのは私だからな!やるしかない!」


「畏まりました」


『ハハハ、怯えるがいい

お前達など家畜にも劣る

叫んでも誰も助けにも来んぞ

さあ、1人ずつ嬲り殺してやろう!

その首を女どもに見せるのも一興だな』


「……せない」


「クイーン?」


ずっと、黙っていたクイーンが震えている


「……せない、叩き斬る!」


バァン!


アンは扉を蹴飛ばすとバスサスの前に飛び出した!

ちょ!アンじゃなかったクイーン!?


「我々も参りましょう!ボス」


「あ、うん」


なんか締まらないな……


「何者だ!?」


バスサスが叫ぶ!


「私の名はクイーン!お前の闇、奪いにきたわ!」


アン!じゃなかったクイーン、カッコイイ!

しかも、ノリノリじゃないか!


「何を!」


「この国では獣人の売買は禁止されております

たとえ奴隷だとしてもその罪許されますまい」


ルークもノリノリだ


最後は私だな!


「さあ!しんにょうにおにゃわにちゅけ!」


か……噛んだ……

き……消えたい


「何なんだ貴様らは!侵入者だ!排除しろ!」


バスサスが叫ぶと、わらわらと使用人達が出てくる

使用人達に罪はないのかもしれないが、バスサスの罪を見過ごしてきたことは同罪だ


剣を抜いた護衛や襲いかかってくる使用人をルークがバッサバッサと投げ飛ばす

その間にクイーンが檻を壊して獣人の子ども達を救出する

私といえば誰もやって来ない

……そういえば認識の魔法で認識されないように魔法をかけておいたんだった

ということはさっきの噛んだ決め台詞も聞かれていない

……セーフ!

と言う訳で、護衛や使用人を避けながらバスサスに近づく


「ええい!たかが2人に何をやっとるんだ!?」


そうっとバスサスの背後に回ってと


「出でよっ!クロ!」


手の甲の紋章に触れてクロを呼ぶ


『そのクロってやっぱり締まらないよね

今からでも名前変更しようかな?』


なんて無駄口を叩きながら出てくる闇の剣(中身クロ)を

バスサスの首に押し付ける


「はーい、それ以上暴れるとご主人様の首が飛ぶよ」


そして認識の魔法を解く


人質をとって相手を脅す

これって悪役の専売特許だよね!


「なっ!?いつの間に!?

お前ら武器を下ろせ!俺が死んでもいいのか!?」


いやー、武器を下ろす護衛達

その隙に護衛達を気絶させるは我らがルークとクイーン


「ぶ、武器なら下ろさせた

な、何が目的だ!金か、金ならあるぞ!

だから」


「はーい、さようなら」


闇の剣をバスサスに突き刺す

この突き刺す感覚、気持ち悪くて慣れない


「グギャ!アギャ!ギャアアアア!」


黒い靄がバスサスを覆う

……クロの食事ターイム


「大丈夫?」


「ばっばけもの!?近寄るな!?」


獣人の子どもに近づくと爪で引っ掻かれた

……痛い

幸い、防御の加護縫いのお陰でケガはないけれど


「ボス!」


「……子どものすることだ

目くじらをたるなクイーン!」


地味に痛いけど……


「俺たちもアイツと一緒で殺すつもりかよ!」


いや、誰も殺すつもりなんかないから!


どうしたもんかな?


『何??この子達黙らせたいの?』


いやいや、眠らせたいだけよ

そん物騒なこと考えてないよ


『ふぅん、じゃ眠らせてあげるよ

こいつらじゃ、食事になりそうにないし

今ボク機嫌いいからね特別サービスだよ』


『ねえ、あとこの屋敷にいる連中のも食べちゃっていい?』


「しっかり食べてやりなさい」


獣人虐待とか奴隷売買とか2度と考えつかないように

徹底的に食べてやれ!


『あいよ!』


バスサスに刺さっていた剣から黒い靄が勢いよく吹き出す

それを吸い込んだ子ども達がバタバタと倒れて行く


「ボス!」


「心配ないよ、子どもは眠らせてるだけだって」


屋敷中を靄が包み込み、クロが心の闇を食べ終わると同時に

靄達は手の甲の紋章に戻ってきた


「ボス、そろそろ引き上げましょう

……帰りに騎士団に投書をしておきましょう」


ルークの提案に頷き、その場を引き上げた

勿論、騎士団詰所に投書もしておいた

あとは、騎士達に任せるしかない


「ボス……」


クイーンが不安そうに俯く

本当は全員この手で助けられたらよかったのかもしれないけど

私は正義の味方でも何でもない

ただ、闇の精霊に食べられないために悪人を悪い心を食べさせているに過ぎない


「ごめん……アン」


「お嬢様……」


朝日が登る頃、屋敷へ帰ってきた

その日の夕刊にゲルハウト・バスサスが獣人虐待と奴隷売買の事実を自白し

騎士団が踏み込んだところ多数の獣人達が収容されており保護されたことが載っていた


「あの子達は無事保護されたんでしょうか?」


「多分、そうだと思う」


そうだと思いたい


「お嬢様もアンもできることをなさいましたよ」


……そうだったらいいな


「おーい、○△□!遊びに来たぞ!」


「今行くー!」


アルの声に返事をしながら私は庭へ飛び出した

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