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目指せ!悪役令嬢物語!  作者: 真ん中
34/85

影太郎 影子 黒太郎 黒子 やみのすけ

とりあえず寄付をしなくなった貴族の名前を聞くと

なんと!我がフォンタナー家だというじゃないか!

うち悪徳貴族じゃないし!

なんかおかしいぞ!


「ロミ……フォンタナー家は悪徳貴族なんかじゃない!

……何か理由があるんじゃないのか?」


アルがそう言うと


「なんだよ?お前貴族の味方かよ

……そういえば着ているものもなんか高価そうな……」


「おい、やめろ、テオ」


実力行使するならするよ?


「○△□、落ち着け

とりあえず孤児院とやらに案内してくれ

誤解か何かあるに違いない」


冷静なアルの一言で孤児院に案内されることになった

外観からはお金がないのは分からないくらいだった

内装もうちやアルの家と比べると古いけど普通だよなと感じた


「ヴォルフ!テオ、メオ!どこに行っていたのですか?


中からシスターが出てくる


「友達と遊んでた」


「初めましてお邪魔してます○△□です」


「アルです」


「アインだ

……なあ、なぜここはこんなにボロいんだ?」


空気を読まないアインがそう言った

ボロいかな?普通じゃない?


「アインくんはここにくるの初めてなのかな?

ここはね戦争や自然災害、流行病や様々な事情で

お父さんやお母さんがいなくなってしまった子ども達が住んでいる場所なの」


「ああ」


「ここはね国のお金で建てられた場所なの

いろんな人のご厚意で成立している場所なの

だから、ボロいとか言っちゃダメよ

確かに古いのは古いけれど私たちにとっては家なんだから」


「…………」


ウィンダム王国は私たちの生まれる前は隣国と戦争していた

今の王様は好戦的な方ではないけれど

隣国から襲撃を受けたと聞く、そして撃退した

今は平和条約が結ばれているから争いはないけれど

父も戦争に出ていたと聞いた

その時に武勲をあげたらしい

でも、父は家でその話をしたがらない


流行病も消毒の概念がないからとても広まりやすい

ゼリー婆が少しずつ広めているけれどやっぱり難しいみたいだ


「フォンタナー家の寄付がなくなったというのは本当ですか?」


直球で聞いた

これは私もフォンタナー家の一員として知らなければいけないと思ったのだ


「ええ?誰からそんなことを!?」


「……」


目をそらすヴォルフ


「ヴォルフ!あんたそんなこと他所様に喋ってるの!?」


「私はフォンタナー家の○△□といいます

教えてください、何故フォンタナー家は寄付をしなくなったのでしょうか?」


「へ?……あなたがフォンタナー家の?

いやいや、嘘言っちゃダメよ」


いや、嘘なんかついていないんだけど……


「良い所のお嬢さんなのは分かるけど

侯爵家の1人娘さんを名乗ったら怒られるわよ

そっちのボクちゃん達もね」


「いや、本当に」


「コラ!いい加減にしなさい

そんな頭に蜘蛛の巣を付けた侯爵家の令嬢はいません」


はっ!……隠し通路を通った時か!?


「……それと、フォンタナー家の寄付を断ったのはうちの方よ

フォンタナー家の方は悪くない」


シスターは聞こえるか聞こえないかくらいの声でそう付け加えた


フォンタナー家の寄付を断った?何故?


「ほら!あんた達汚い!また墓地で遊んで来たの?

もう!体洗って来なさい!

ちょーっと待った!蜘蛛の巣のついてる君たちもよ!」


水で全身を洗われることになった

ちょっと寒かったのでお湯に変えてみたら

ルノ、タオのちびっ子組から好評だった


服も孤児院の服をお借りすることになった

うん、動きやすいな


「なあ、○△□、ここにも隠し通路あるな」


アルが何もない壁を指差してそう言った


「ある?」


「ある、ほら」


アルが近くにあった石像を動かすと隠し通路が現れる

……この国の人、隠し通路作りすぎ……


「なんだよ?これ?どうやって開けたんだ?」


ヴォルフ達がやって来る


「勝手に開いた」


いや、何堂々と嘘言ってるのさ!?


「どうする?」


「いや、探検するに決まってるでしょう!

あんた達ゴビゴビ団?なんでしょう!」


「ゴブゴブ団だ!

……そうだ、○△□の言う通りだ!

おい、メオ、ランプ持ってこい」


こうして隠し通路の中に入って行った

先頭私はとヴォルフ、アル、テオ、メオ、最後尾にアインがルノとタオの手を引いている

アインは2人にすっかり懐かれお兄ちゃん気分を味わっている

今もルノが


「怖い」


とアインの服を掴むと


「大丈夫だ、俺がついてる」


と、励ましている


……あのアインが小さい子に優しくしてるんだもんな


「……この隠し通路おかしい」


アルが立ち止まってそう言った


「何がだよ」


「分からない?蜘蛛の巣がないんだよ

人が通っていないにしては綺麗すぎる

……誰かが使ってる」


使っていない隠し通路にはアルやアインの嫌いな蜘蛛やネズミがいたりする

うちの隠し通路にも最初はいた

でも、毎日出入りするうちにいなくなっていた

……セバスチャンが綺麗にでもしたに違いない


「誰がこんな道を通るっていうんだよ」


「しっ!」


『……ているのか?』


『はい…………』


上に誰かいるらしい

ランプを消して声を潜める


『指示通り、フォンタナー家からの寄付は断ったんだな?』


『ははい、バリウズ公の指示通りフォンタナー家が寄付を絶った為に

孤児院が困窮していると子ども達に噂を流させるようにいたしました』


パリウズ公ねぇ

王妃様の弟君だっけ?

前の一件で懲りなかったみたいだね

性懲りもなくまた我が家にケンカを売って来るなんて!


『1番恐ろしいのは民の不満よ

民の不満が高まればおうけとて無視できぬ

姉上を傷つけた奴らにはそれ相応の罰を与えねばな』


『あの、それでフォンタナー家の寄付を断った分を

バリウズ家からいただけるという話でしたが……』


『ああ、近々払うと約束しよう

フォンタナー家が潰れれば、我らバリウズ家の天下となるのだからな』


「神父様、なんだよそれ

俺ら騙されてたのか?」


『神父よ、ネズミが紛れ込んでいるようだな

始末しておけ』


『は?ネズミですか?掃除はきちんとしておるつもりですが……』


『そうではない、地下に潜むゴミのことだ』


ズサッ!


床に剣が私の顔面スレスレに剣が刺さる


こっわぁ!


『そこにいる者共出てこい

出てこねば、今は外したようだが今度は串刺しにするぞ』


笑いながらバリウズ公はそう言った

アルとアイコンタクトを交わしいつでも戦闘態勢に入れるようにしておく

姿を見せると


「まあ、ぞろぞろとネズミの多いことだな」


神父様とバロウズ公の他にお付きが数名ついていた

ちょっと人数多いな

それに浮かせられるものも少ない……


「ヴォルフ!?それにテオ!メオ!ルノにタオまで

お前達何をしているんだ!?

お許しください、何分子どもなのです

何も分からずに聞いたにすぎません」


「何言ってるんだよ!?騙してたのは神父様だろ!?

俺たち信じてたのに!」


テオやメオが口々に叫ぶ

ルノとタオはアインの後ろで震えている

私といえばバロウズ公を睨みつけ

アルとヴォルフはそんな全員を守れるように立ちはだかった


「私はゴミを始末しろと言ったはずだ」


「この子達は私の宝です

この子達の未来のためと思ったからこそ、あなたの命令にも従ってまいりました!

どうか、お許しください

私にできることならなんでも致します

どうか!」


「しつこい」


バロウズ公は頭を下げる神父を蹴飛ばす


「神父様!?」


「……どうかお許しください

……私はどうなっても構いません

この子達だけは……」


「なんで?」


崩れ落ちた神父様にヴォルフやテオ、メオが駆け寄る


「お前がしないのなら私がしなくてはならないではないか」


「……ですか?」


アイン?


「何故ですか?叔父上!?

民は守るものだとそう教えてくれたあなたが何故民を傷つけるのです」


「何を言っている小僧?

民は我ら貴族の為にあるのだ、我ら貴族が生きる為に

その為に踏み台になれるのだ

これこそ民の有意義な使い方だとは思わぬか?」


「思いません!

民があるからこそ王があるのです

民がいなければ王などなんの意味も持たない

少なくとも今、苦しんでいる民を虐げることが貴族のすることではない!

断じてない!」


「生意気な……お前から始末してやる!やれ!」


バロウズ公がお付きに命じる


「ダメ!」


「お兄ちゃん いじめちゃ だめ」


剣を向けられたアインの前にルノとタオが立ち上がる

2人とも怖いだろうに足を震わせながら

それでもアインを守っている


「ルノ……タオ……お前達は俺が守る」


アインが2人を守るように抱え込んだ


その時だ


「はい、ストップ

動くとバロウズ公の命はないよ」


「なにを小娘が?いいからやれ!」


動き出すお付きの人


「はい、動いたーアウトー!」


ひょろひょひょろとバロウズ公を浮かす

バロウズ公は体重が重いのでかなりの魔力を消費するが

うん、アインがあれだけ男気見せたんだから私も頑張れねば!


といやー!


天井付近まで飛ばす

協会って天井高いからね

あそこから叩きつけると命も危険だよね


「なっなんだコレ!?」


「小娘、お前の仕業か!?

下ろせ!下ろさぬか!?


「下ろせと言われて下ろすわけないでしょ!

さあ、剣を捨てて……さもないとバロウズ公の命はないわよ」


「…………」


剣を捨てるおつきたち

その剣をアルとヴォルフがすかさず拾う


でも、ここからどうしよう

下ろしてもきっと、また悪さするよね

だからって、私の手が汚れるのはやだしなぁ


『ボクの出番かな?』


影がまた揺らめく


『ボクに名をつけてよ

助けてあげるよ』


「影太郎、影子、黒太郎、黒子、やみのすけ」


「……?なに言ってるんだよ○△□?」


『ボクの声はキミだけにしか聞こえないよ?」


『ねえ、名をつけて』


「影の中にいるからシャドー、ダーク」


『………………』


なんなんだよ!もう!


『センスないね……キミ』


「黒いからクロ!」


『はあ……仕方がないね

クロで手を打ってあげるよ

……ボクはクロ、闇の精霊さ』


「闇の精霊が何の用?

今、忙しいんだけど……」


『そう言わないで、闇は僕の眷属

あいつの心の闇を食べてあげる』


「?」


『つまり見た方が早いね

ボクであいつを突き刺して』


そういうと手に真っ黒な剣が現れた


『大丈夫 ボクの言うことを信じて』


いや、精霊には痛い思い出が主に頭の上の存在から


『そんな低級精霊と一緒にしないでくれない?

ほら!』


……体が言うことを聞かない!?


バロウズの体が天井から降りてくる


「はっ!やっと分かったか小娘!

この場にいる奴は1人残らず片付けろ!」


バロウズが喚き散らす


「○△□!なんで離すんだよ!?」


いや、私も離したいわけじゃ!


「ふふふっ」


口が勝手に笑ってるし


「○△□を返せ」


アルが剣を私に向ける


『おや?もうバレちゃったのかい?でも、まだダーメ』


そのままバロウズが床に降りてくると私は手に持った剣をバロウズの腹に突き刺した


「グアッ!ガア!」


苦しみ出すバロウズを見てやっと自分の意思で体を動かせるようになる


「バロウズ様!」

お付きがバロウズに駆け寄る


「バロウズ様!ああ何ということを!」


神父様まで非難の目で見てくる

ヴォルフやテオ、メオ、アインやルノやタオが化け物を見るみたいな目で見てくる


嘘、嘘、刺したのは私じゃない!

私だけど私じゃない!


「○△□……」




そんな時だ


「すびばぜんでじだぁ」


刺されたはずのバロウズが泣きながら起き上がったのは


「わだじはいぎるがぢのないにんげんでず」


『だから、言ったでしょ

闇はボクの眷属だって……あのニンゲンの闇をいただいたって訳

げぷっ!まあまあだったかな?』


「おお!神よ!私は許されない罪を犯しました!

それを今から告白してまいります!どうかお許しください!」


「バロウズ様?」

「どうされたのだ?」

「なにが起きているのだ?」


「と、とにかく屋敷へ」


バロウズとお付きは慌てて帰って行った


「一体なにがどうなってるんだ?」


「さあ?」


私にも分からない


『まだ、分からないの?

キミがボクに名前をつけた

だから、ボクはキミに祝福をあげた

人の心の闇をたいらげてあげるという祝福をね』


え?それ祝福?また呪いの類いじゃ……


『ボクみたいな高位の精霊の祝福は稀なんだよ』


ええー、いらない……


「とにかく、フォンタナー家の名誉は守られた訳だ

○△□、あとで説明してもらうからな」


アルやい、最近セバスチャン化してないかい?


「失礼します、こちらに我が家のお嬢様がお邪魔して……おりましたね」


「セバスチャン!」


「どうしてここが?」


「念には念をと

お嬢様の服には大公家の住所と至急連絡するようにと縫いこんであるのです

ここのシスターがそれに気づいてくださって連絡をもらった次第でございます

さて……屋敷内にいたはずのお嬢様方が何故外に出ていて

バロウズ公が泣きながら出て行ったのかお話ししてくださいますね」


「いや、これはそのだ」


「幸い、時間はたっぷり御座いますよ

今日はマイヤー殿も付き合ってくれるそうです」


ダブルでお説教か……


「お前、本当にフォンタナー家の娘だったのかよ?

ってことはお前らも?」


「騙していてごめん」


「貴族のなんてサイッテーだな

どいつもこいつも!」


「やめろ!テオ、メオ!

こいつらがいなきゃ俺たち殺されてたかもしれないんだぞ

それにこいつらはゴブゴブ団の仲間だ!

……さっきのバロウズに言ってたの嬉しかったぜ

貴族でも俺たちのこと考えてくれてる奴がいるんだってな」


ヴォルフがアインに向かって握手を求めた


「俺こそありがとう」


アインもヴォルフの手を握る


「お兄ちゃん 行っちゃうの?」


「もう会えない?」


ルノとタオがアインの服の袖を掴む


「まさか!また遊びにくるぞ!

その時はルノが食べたいと言っていた、たこ焼きを持ってきてやる!」


「わぁい!」


「さっきは悪かったな

俺たちすぐカッとなっちまって」


「気にするな」


「お前いい奴だな」


なんてアルとテオとメオが拳を合わせたりしてる中

私といえばセバスチャンに首根っこを持たれて宙ぶらりんの状態である


え?私とも拳合わそうよ


誰も目を合わせてくれない


『ホント キミの周りは面白いよね』


同調するようにナーと頭の上でテイルが鳴いた


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