無双
気がつくと、どこかの小屋の中だった
隣ではアルが体に巻かれた縄を解こうともがいている
アインは床で眠っていた
……どうしたもんかな?
魔力を使えばこのくらいの縄引きちぎれるし
多分、なんとなかる
……でもな、あの男達ノーラの顏を叩いていたんだよね
女性の顏を殴るとか許せない
……なんとか懲らしめてやりたいな
どうしたものか?
色々考えているとアインが起きたようだ
猿ぐつわを噛まされているのにモガモガと体を揺すっている
とりあえず、私とアルの体に巻かれた縄を引きちぎる
「アイン、叫ばないなら縄を解いてあげる
約束できる?」
コクコクと頷くのでアインの縄も引きちぎる
「これからどうする?」
「あいつら懲らしめてやらないと!」
「それは黒幕を突き止めてからだ」
黒幕?
「フォンタナー家の○△□を狙った犯行だ
行き当たりばったりにじゃない計画的にだ
黒幕がいると考えるのが普通だろ?」
「……フォンタナー家を恨んでる人物……」
「王妃様じゃなくて?」
恨まれてるのってアイン関係で王妃様ぐらいしか思いつかないんだけど……
「いや、違うだろ?流石に王妃様もそこまで馬鹿じゃないだろ?」
「…………」
「まあ、とりあえずさ
あの男どもをふん縛って吐かせればいいんでしょ!?」
「どうやってふん縛ってくれるのかなぁ?」
おや、話しているうちに男達が帰ってきていたようだ
ニヤニヤ笑いながらこっちを見ている
「お、おい!どうするんだよ!」
アインは動揺している
そんなアインを庇うようにアルが前に立つ
私といえば後ろで魔力を動かす
とりあえず手近にあった木の椅子を浮かして男に思い切り叩きつける
「グガッ!」
椅子をぶつけられた男は倒れた
起き上がらないから気絶したんだと思う
「オイ、今椅子が勝手に動いたぞ!」
「んな馬鹿な!」
「なんなんだよ!?」
部屋には今気絶させた男を除いて3人
幸い、テーブルとか椅子だとか浮かせられるものはいっぱいある
男達が飲んでいたビール瓶など叩きつけられるものも
「お前達!このフォンタナー家の○△□を攫ったことを後悔するがいい!」
一斉に男達に叩きつけてやった!
ふっはっはっは!
さっき引きちぎった縄で男達の腕を後ろに回し親指同士を縛る
前世の記憶だが、こうしていると立ち上がれないらしい
「い、今の○△□がしたのか?」
「うん」
「アイン、気にするな○△□は規格外だ
考えるだけ疲れるぞ」
なんと!ちょっと魔力強いだけのか弱い乙女に向かってなんて言い草だ!
「っクソ!ふざけやがって!」
最初に椅子を叩きつけられた男が起き上がる
あ!アイツまだ縛ってなかった!
男はナイフを出してアインの首に当てる
「ちょっとでもふざけた真似をしてみろ
こいつの首が切れちまうかもなぁ」
アインは涙目だ
「○△□!やめろ!」
アルが止めるがそんなの聞こえない!
私の家族に手を出すやつは絶対仕留める!!
あれはナイフじゃない、あれは針だ……あれは針だ
針を折るのは簡単…魔力を込めればいい
針の先端じゃなく真ん中に魔力を込める
「クソ!なんかしてやがるな!」
ぐにゃあ!
男がアインを切る前に
ナイフの刃の部分が丸まっていく
「うわぁ!化け物が!」
「私の家族に手を出したらどうなるか思い知れ!!」
また浮かせられるものを浮かして男の顔面を狙い叩きつける
気絶した男を今度はちゃんと縛っておく
ついでに蹴飛ばしておいた
「フン!思い知ったか!」
「アイン大丈夫か?」
「こわこわかった」
アルがアインを抱きしめる
アインもアルに抱きついて泣いている
「○△□!アインに何かあったらどうするつもりだったんだ!」
アルが怒鳴る
「何もなかったんだからいいだろ!」
私だって何も考えていなかったわけじゃない
何本針を折ってきたと思っているんだ!
「いいわけないだろ!アインは王子なんだぞ!」
「違う……俺はもう王子ではない
ただのアインだ……ただ、今回はこわ怖かっただけで……」
ず、ずるい
その小さな体で涙ながらに言われたら私が悪いみたいじゃないか!
「アイン……」
「私が悪かった……アイン、怖い思いさせてごめん」
「いや、いい」
「さて、黒幕を吐いてもらわないとな」
「どうする?」
「今度は男自身を浮かして床に叩きつけてみる?」
「○△□、やめろ……怖いから
アイツは本気だ……されたくなかったら誰に依頼されたか吐け」
アルが問うと男の1人が答えた
「バリウズ家の当主だ」
バリウズ家?どこだそれ?そんな家に恨まれる覚えはないぞ
「……叔父上だ
母上の弟にあたる」
アインが暗い声で答える
やっぱり王妃様関係か……
「まあ、誰も怪我なかったんだから気にすんなよ」
「勿論ノーラとリンデにも怪我させてないだろうな!?」
男達に凄んでみる
「っひ!させていません!」
よし!ならいい!
「俺のせいだ……すまない」
アインが俯く
「いや、今回はアインのせいというより○△□のせいであってだな」
「誰のせいとかもうどうでもいいだろ、誰も怪我がなかったんだから
もういいじゃん!ほら、帰ろう」
アインと手を繋いで小屋から出ようとした時だ
「お嬢様!アル様!アイン様!ご無事ですか!?」
セバスチャンが現れたのは!
セバスチャン遅い!
「この惨状は……」
片隅で震えている男達とバラバラに壊れた椅子やテーブルだったものたち
そして、今まさに出て行こうとしている私達
「お嬢様……帰ったらお話が御座います」
いや、私にはないよ
屋敷に帰ると3人とも母に抱きしめられた
あの後、ノーラとリンデが屋敷に走って報告したらしい
ノーラとリンデも目が赤くなっている
ノーラは殴られた頬も少し赤くなっている
「ノーラ!仇は取ったからな!」
「お嬢様、ご無事で!」
セバスチャンだけじゃなく父と母にも叱られたけれど
今回は魔力を思いっきり使ったからか気分はスッキリしていた




