花祭り
あの後、アルに謝りにいった
「なんかよく分からないけど○△□が落ち着いたんならいい」
と許してもらえたが
血相を変えて私を探していたセバスチャンとアンからはしっかり怒られた
父にも謝りに行こうとしたら
「○△□にだいきらいと言われた……○△□にだいきらいと……○△□にだいきらいと……」
なんか思ったよりダメージを受けてるみたいだったので
謝った後に
「お父様のこと、本当は大好きだからね!」
と言っておいた
「○△□!勿論パパも大好きだよ!!」
チョロイ父である
そんなこんなで色々あったけれど今日も私は隠し通路で遊んでいた
本当は庭で遊んでいたかったけれど、今日は生憎の雨である
1度雨の日に庭で
「泥遊びし放題だ!ヒャッホーウ!」
とテンション高く遊んでいたらセバスチャンに首根っこ掴まれてお風呂に入れられた
そして、上がると
「お嬢様、お嬢様ですから風邪は引かれないとは思いますが
今日のような土砂降りの日は庭で遊ぶことはなりません」
「土砂降りの日には土砂降りの楽しみがだな」
「ダメでございます」
この世界には傘やカッパがない
この間、1回死にかけて天の御使(仮)に会ってから知識だけは増えたから
なんとなく作りかたはわかる、わかるのだが……
うん、今日はその気分じゃないのでしない!
「こんな土砂降りじゃ明後日の花祭り、大丈夫なのかしらね」
「明後日だもの大丈夫よ」
あれは噂好きのノーラとリンデではないか
「ねえ、ノーラは明後日の花祭り誰と行くの?」
「誰ってそりゃ、その……内緒よ」
「なあにそれ?私とノーラの仲じゃないの!」
明後日はお祭りか
祭りといえば
カキ氷にフランクフルト、綿あめにイカ焼き
焼きそばにたこ焼きに他に何があったっけ?
まあ、これは前世のものだからないだろうが祭りだ祭り!
……これは行かねばなるまい!
「○△□ちゃん、ご機嫌ね
何かいいことがあったの?」
「はい!あさ」
マズイ、ここで明後日の祭りのことを言ってしまうと
絶対に反対されてしまう
「あっあさ、綺麗に紫陽花がさいているのを見つけたのです」
あながち嘘ではない
紫陽花は綺麗に咲いていた
土砂降りの雨の中だが……それにカタツムリがちょこんといたので
見たことないだろうと思いアインに見せに行ったら
「そっそんなものこっちにもってくるな!!」
何故か悲鳴をあげられた
そして、セバスチャンに土砂降りの中庭に出ていたのがバレて怒られた
全くカタツムリ可愛いじゃないか!
アンにあげようか?というと首を振って拒否された
何故だ!?
明後日に向けて準備をしなくては
まず、街への道
これはノーラ達の後をこっそりつければいいので問題はない
ノーラとリンデが明後日休みを取っていることは
ジュリアスにそれとなーく探ってみたので間違いない
さて、そうなると問題となるのは服だが、これも泥遊び用の服があるから問題ない
私は泥遊びが大好きだ
特に泥団子作りに関しては得意中の得意だ
そんな私は当初彼シャツならぬ彼女シャツで泥遊びに励んでいたのだが
セバスチャンからジュリアスの小さい頃の服を提供された
そりゃ、彼女シャツは面白かったがズボンの方が動きやすい!と言う訳で
泥遊びをする日はジュリアスのお古を着て遊んでいる
と、なると残る問題は天気か
明後日は何が何でも晴れてもらわねば!
よし!てるてる坊主を作ろう!顔を加護縫いして魔力を注げば効果があるはず!
そうときまれば!
「アン、布を用意してくれ」
「布でございますか?」
「早く!」
「はっはい!」
これで準備は万端だ!
……万端だったはずなのに
「へぇー、祭りかぁオレ様も行くぞ」
なんでここにいるアル!
「俺も行くぞ!下々がどんな風に生活しているのか見て見たい」
嘘つけアイン!
「祭り?なんのことでございましょう?おほほほ」
「あ!ノーラとリンデが行ってしまうぞ!」
「なに!?」
あ……
しょうがない、連れて行くか……はぁ……
花祭りは祭りといっても小さな祭りだった
なんか恋人同士で輪になって踊るらしい
私ぐらいの年齢から婆ちゃん爺ちゃんまで手を繋いで踊っている
「オイ、○△□お前がどうしてもって言うなら踊ってやってもいいぞ」
アルめ!やけに上から目線だなオイ
「ふん、俺の方がいいならそう言えばいい」
と、踏ん反り返ったアイン
……どっちもいらない
それに今回のお目当は!!アレは!
ふわーんと甘い匂いが漂ってくる
コレだ!
ベビーカステラもどき!!
「おじさん、1袋頂戴、はいお金」
こんなこともあろうかと厨房のお手伝いをしたりしてお駄賃を少しずつ貯めたのだ
「お嬢ちゃん可愛いね、おまけしとくよ」
「わぁい!おじさんありがとう!」
笑顔は大事
可愛いは正義
スマイル、スマイル
「んー、美味しい!」
「まぁまぁだな」
「これが下々の味か」
お前ら私のお駄賃で買ったものを勝手に……!!
いつもならそう言うところだが、今日はお祭りだ!そんな小さなことは言わない
祭り中の屋台を制覇してやる!……といいたいところだが、お財布と相談だ
残念ながら、カキ氷もフランクフルトも綿あめも、焼きそばもたこ焼きもなかった
その代わりに甘いものはたくさんあって、それなりに楽しんだ
運動がてらアルとアインともダンスを手を繋いで踊った
アルもアインも誘っておいて人の足を踏むとはどういう魂胆だ!?
途中からダンスというより足の踏み合いになったのはいうまでもない
そろそろ帰るかと思った頃ノーラを見かけた
ほう、若い男と一緒か
2人は裏路地に入っていった
「アイツ、あんまりいい感じしないな」
アルがぽつりとそう言った
「そうか?そこそこ2枚目じゃないか?」
「……お前、あんなのがいいのか?」
「バカ言え、私の理想は海よりも深く山よりも高いんだ
セバスチャンと父を倒せるようでないと話にならんな!」
「セバスチャンと……ロミオを……それ人じゃないだろ?」
静かだと思ったらアインは立ったまま眠りかけていた
「アインももう限界だ。帰るぞ!」
「ちょっと!やめてってば!」
あれはノーラの声、なんかケンカしてる?
「オイ○△□、余計なことに首を突っ込むなって……聞いてないし」
「離してよ!何なのよ!?」
「お前、フォンタナー家のメイドなんだろう?
なあ、そこの娘連れてこいよ」
「何、バカなこと言ってるの!?お嬢様を連れてこれるはずないでしょう!」
「いいから、連れてこいっての!」
「嫌に決まってるでしょ!」
何やら言い合いをしている、しかも私を連れてこいだと?
「いいから連れてこい!」
パン!
男がノーラを叩く
オイオイ、これはマズイだろう
アルとアイコンタクトを交わしアルが助けを求めに行く
私は
「うちのノーラになにをする!」
ノーラの前に躍り出る
「なんだなんだチビ助
ここは子どもの来るところじゃないぜ
とっとと失せな」
男が凄んでくるが、こんなのセバスチャンと比べたらなんでもない!
「失せるのはお前だ!
うちのノーラの顏を叩きおって!許さん!」
「お嬢様!?」
「お嬢様?……てことはコイツか?」
「おいおい、なんだなんだ!」
「ノーラ!大丈夫!?」
リンデがノーラに駆け寄る
アルが呼んできた助けが来た
これで助かったと思ったら……
「コイツがお嬢様らしいぜ」
「へぇ、このちんちくりんがね」
……あれ?こいつら仲間?
「ちょっとあんた達何なのよ!?」
リンデが叫ぶ
「俺たちはこのお嬢様とおぼっちゃまに用があるんだよ
お前らに連れ出させようと思ってたが、……手間が省けたぜ」
「!?なんだ!?やめろ!離せ!」
アインが捕まる……アイツ寝てたからな……
「おっと、このおぼっちゃまどうなってもいいのかい?」
「下衆が!」
こうしてアルと私は囚われの身となったのであった




