追跡
それは部屋で『猿でもわかる中級魔法の全て』を読んでいた時のことだ
アンからはセバスチャンに怒られるのでは?という声も上がったが
本を読むだけなら問題ない!魔法を使わなければな!
その中にこの間、セバスチャンが言っていた 無属性魔法の認識魔法というものが載っていた
人の認識を操作する魔法ということだが、
つまるところ、ここにいるのにあたかもいないように認識される
また逆にここにいないのに、ここにいるかのように認識される
その応用としてアインにかけられている認識齟齬の魔法などが書かれていた
これを使えば父に悟られずに、父の後をつけることが出来るのでは!?
そうすれば父の浮気の証拠を押さえることができる!!
あのケガ以来、父は早く帰ってくることが多くなったが
それでも遅い日もある
これは魔法を使うチャンス…いや、母を困らせている父を見過ごしては置けない
「お嬢様?何を見て……って認識魔法?」
速攻でセバスチャンに報告された
「……それで認識魔法をお使いになりたいと」
「だって、王宮ではあのへなちょこ王子に邪魔されて
浮気の証拠を掴むことができなかったからな!」
「……そもそも旦那様が浮気をしているかどうかも怪しいのではないでしょうか?」
アンはそういうがメイドのノーラが言っていたのをアルだって聞いている
「いや、オレはロミオに限って浮気はないと思うぞ」
「母を悲しませるのは許せん!なあアル?」
「いや、オレは……」
「だから、つきとめねば!そして鉄鎚を!!」
「だから、人の話を聞けよ!」
「……分かりました。
では、旦那様が城からお出になる時間に
認識魔法を掛けた馬車を城に着くように手配しましょう。それでよろしいですね?」
「流石、セバスチャンだ!」
「いいのですか?もし、旦那様が本当に浮気をしていたらお嬢様が傷つかれます」
「これ、言葉がすぎるぞ
アンシェリー、お前はあの旦那様がマリアンヌ様以外に惹かれると思うのか?」
「では……?」
「いつものお嬢様の勘違いだろう。自分の目で確かめさせたほうがいい
そうでないと暴走しかねん」
「はい、もうあのようなことは御免です」
「私もだ」
このあいだの一件以来、落ち込んで部屋から出てこないアインも誘って連れてくる
母もアインの様子から何かあったのではと心配しているのだが
誰の心配もアインには届かない
「ほら!行くよ!
「俺はいい……」
「いいから!」
セバスチャンが用意した馬車には私とアル、アインとアンが乗り
セバスチャンが手綱を握っている
馬車には重苦しい雰囲気が流れる
主に1人でこの雰囲気を流しているアインを簀巻きにして
馬車の先端につけてやろうかとも考えたが今日は隠密行動なのが我慢する
「さあ、お嬢様方、着きましたよ」
「セバスチャン、標的は?」
「は?」
「○△□……ノリノリだな」
「……母上……」
「…………え?はい、旦那様でしたらまだでございます」
「標的が動き次第報告だ!ちなみに私ことはボスと呼ぶんだ!」
「………………お前、ロミオの浮気とかホントはどうでもいいだろ?」
アル、何を言う!
そんな!これは母の為であってでだな
……楽しいなんて、ゼンゼン……オモッテナイヨ
「……オホン、ボス
旦那様が出てこられましたよ。どういたしますか?」
「もちろん、ついて行く一択だ!」
父の馬は屋敷の方には戻らなかった
「ほら!黒だ!見たことかアル!」
「いや、でも浮気だと決まった訳じゃ…」
「……母上……」
「お嬢様、いくら認識魔法がかけられているとはいえ
騒ぐと見つかりますよ」
「アン、私のことはボスと呼べ!」
「はいはい、わかりましたボス」
「うむ!わはっは!」
「…………」
アンとアルからの目線が少し冷たいような気もするが気にしない!
「ボス、標的が止まりました」
「うむ、セバスチャンご苦労!」
見ると娼館の前である
あ、ダメ、これマジでダメなやつだ……




