3歳になりました
3歳になりました!
父からはお人形をもらい、母からはドレスを
セバスチャンからはこの世界の成り立ちの絵本をアンからはリボンをもらった
メイドさんや執事さんからは花の種をもらい
シェフからは大きなバースデーケーキをもらった
そして、なんと豚、改めアルはみんながいるところでは何もくれなかったが
『猿でもわかる 初級魔法の全て 完全攻略版』をこっそり見つけてきてくれたのだ!
なんでも本棚の奥の上の方に置かれていたらしい
ずっと探していたので本当に嬉しい!
「ありがとうアル!」
「そんなもので喜ぶなんて安上がりだな」
相変わらずの憎まれ口だが、それより『猿でもわかる 初級魔法の全て 完全攻略版』だ
今度こそ魔法を使ってみせる!
アルとはあれから泥団子の弟子として作り方をアドバイスしたり
木の登り方を教えたりとしているうちに仲良くなったと思う
一緒に走り回っているせいか饅頭体型だった体も子豚体型にまで痩せてきた
アルは私の2つ歳上の6歳だったらしい
同い年だと思っていたので驚いた
アルは父に剣を習っている
木の剣で素振りをしたりしているのを見て
「私もやりたい!」と言ったのだが
父から猛反対にあい未だ参加できていない
絶対いつか参加してやる!
部屋に戻ると早速本を開いた
相変わらず初級編と初級実行編と被っているところも多いが
今度はイメージを具現化する方法が描かれていた
まず深呼吸、呼吸を整えてへその下が温かさを感じること
感じられたら今度は指先に温かさが伝わるようなイメージで集中する
そして呪文を唱える
呪文である、中二病まっしぐらだが唱えるの楽しい!
「我は乞う 我は祈る 我が声に応えよ ファイアー!」
ボウッ!
「お嬢様!」
「モガモガ!」
頭上から大量の水が降ってくると同時にセバスチャンとアンが扉を開けた
何故、水が!?というか苦しい!?
「部屋の中で火の魔法を使うなんて!お嬢様は何を考えておられるのですか!
ああ!前髪が!!!」
「お嬢様が突飛な行動をとるのは何時もの事とはいえ
一歩間違えば屋敷が火事になっておりました
自分のしでかしたことがお分かりですか」
アンに泣かれ、セバスチャンの今まで聞いたことのない冷やかな声に驚いた
「私はただ魔法を使いたかっただけで……」
「それでお嬢様も含め誰かを傷つけても構わないと?」
「そんなんじゃない、ただ魔法を」
「魔法は人を傷つけるものであることは本にも描いてあったでしょう」
「…………ひっく」
セバスチャンの本気で起こっている雰囲気に声に嘘泣きでない涙が出てくる
「泣けばいいと思っておいでなのですか?」
「ちがっ!」
「セバスティアン様言い過ぎでは!」
「アンシェリーお前は黙っていなさい。お嬢様から目を離したお前も同罪ですよ」
「……はい、お叱りなら甘んじて受けます。
ですが、お嬢様はまだ3歳になったばっかりです!それなのに」
「まだ3歳ではなくもう3歳です。
お嬢様、何故私めがこれほど怒っているかお分かりですか?」
「っひく、えぐ、私が迷惑をかけたから…?」
「違います。私もアンもお嬢様に迷惑をかけられることなどで怒ったり致しません
私が怒っているのはお嬢様がお嬢様自身を大切にしなかったからです」
セバスチャンは屈むと私と視線を合わせ
「お嬢様は私達にとって、かけがえのない存在です
お嬢様が傷つくことは私自身が傷つくよりも耐えられないものなのです
それはここにいるアンシェリーも奥様も旦那様もこの家に仕える者は皆同じことです
どうかご自愛ください。そして私共をたよってください」
「ごべんなざい、ゼバズジャン。ごべんなざい、アン」
セバスチャンは何も言わず、ただ私を抱きしめ
孫にするように背中をぽんぽんとたたいてくれた
「うわぁぁああん、ごべんなざいぃ」
こうして3歳の誕生日は幕を閉じたのである
そしてこの日以来セバスチャンから魔法を習うことになった
「それにしてもお嬢様、お嬢様にまだ早いと隠しておいたはずの本を何処で?」
「アルが誕生日プレゼントにくれた」
「アル様がですか?」
(子どもの手の届くところに置いてなかったはずだが……?)




