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紫光の魔導書  作者: しぇりー
――第一章―― 初召喚と初戦闘と訓練と白龍
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第十三話

「残りは種族だったかな?」

「うん、後はそれだけっぽい」


 昨日同様、ヴァンの部屋で勉強タイムだ。

 クリムはベッドに潜り込み、お昼寝を満喫している。自由で愛らしいパートナーだ。


「さて、種族はどう説明したものかな……」


 まずは、とクレアは大きく分類した。

 『人間族』、『獣人族』、『エルフ族』、『小人族』、『龍族』。それと魔物。簡単に分けるとこのような分類になるが、細かく分けると非常に大変らしい。


 人間族は基本、分類されないが。


 獣人族は犬人族や猫人族、猿人族など、数えるとキリがない。種別によって耳や顔立ちなどで判断しやすいし、特徴としては総じて身体能力が高い傾向にある。若い者は冒険者になることが多いようだ。


 エルフ族はハイエルフやダークエルフ。森の中に存在し、排他的な一面を持ち合わせている。集落から出たものをダークエルフと言ったりもするらしい。魔力が高い傾向にあるようで、エルフ独自の『精霊魔法』が印象に強いだろう。


 小人族は主にドワーフ族を指す。寡黙な者たちが多いが、非常に手先が器用な種族で武器防具はもちろん小物まで、なんでも生産出来る。さらに装備品へ精霊の加護を付与出来ることもあるそうだ。因みに酒類が大好物。


 続いて龍族だが、知能の高い者を『龍族』と呼ぶ。『竜』とは別種で代表的なワイバーンなどは『竜』になる。爪やブレスの攻撃力はもちろん、鱗による防御力も並大抵の力では傷が付かず、素材は装備品の最高峰。大変高価で売買されている。龍族の中には竜人族という種族もあるが、個体数は少ない。山や峠に集落があるそうだ。


 最後に魔物だが、性格は凶暴な者が多い。ただし全ての魔物がというわけではなく、友好的な魔物も存在する。もちろん使い魔は魔物だ。

 魔物から魔人へ進化する条件こそ不明ではあるが、推測として経験ではないだろうか、と言われている。様々な状況下で勝利を収めた経験から、効率的な性能へと進化する。推測でしかないが。


「簡単に説明すればこんなもんか……」

「前の世界とそこまで変わらないみたいだ」


 世界に存在する種族は多種多様だ。


「やっぱり決めた。俺、近いうちに旅する!」


 ヴァンが決意した。聞いたクレアはそうか、と言って俯いてしまうが、すぐに顔をあげる。


「さ、次はヴァンからいろいろと教えて貰うぞ?」

「おう、任せろ! ……と、その前にクレアの能力を出来るだけ聞きたいんだけど良いかな?」

「もちろん。改めて自己紹介みたいで恥ずかしいな……。クレア・セラフ・ローデウス、二十歳だ。使用できる属性は火、水、雷、闇、無の五つ」


 とんだ爆弾発言だった。


「よし待とうか。五つ? しかも特殊属性二つ」

「ああ、五つだし特殊属性二つだ」

「マジか」


 五つの属性のうち、二つが特殊属性。昨日の話では歴史上いないということだったが、ヴァンと同様、軽い気持ちで明かしては大変な騒ぎになる内容だ。


「その内禁忌級を使えるのは?」

「無は最上級まで。それ以外は全部だ」

「なんてことでしょうか」


 本格的にヴァンは困ってしまう。クレアの実力にはもちろん驚くが、教えなければならないことが見つからない。


「因みに今までで倒した一番強い魔物は?」

「クロスホーンドラゴンだ。死にそうになったが……。この剣の刀身は奴の角を加工して作っている」


 左腰に差している黄金の剣を抜く。

 嫌らしさを感じさせない黄金の剣は、煌いていて神々しい。

 

 クロスホーンドラゴンは漆黒の龍であり、体長は八メートル程。好奇心旺盛な性格だと言われている。強いと判断されれば戦闘を持ちかけてくる暴れん坊で有名だ。

 名前の通りであるが、最大の特徴か何と言っても巨大な三本の角。お伽噺に出てくる悪魔のような赤黒い角は、三本全てがクロスして生えていることに加え、角の一本が刀身のような形状となっている。

 龍の膂力を以て突撃されれば、鎧があろうと、いとも容易く身体を貫通するだろう。

 しかも角は最硬度を誇っており、槌で殴ろうが太刀で斬ろうが折れることはないと言われる代物だ。


 そんな龍の角を用いているクレアの剣は相当な業物であるし、折れることはおそらく、生涯を通してないだろう。


「クロスホーンとエンシェントってどっちが強いの?」

「間違いなくエンシェントだろうな」

「よし、わかった。エンシェントをクレア一人で倒せるくらいに育ててみせる」


 決意の篭った眼差しでクレアを見つけた。

 それに対しクレアは目を爛々と輝かせて頷いた。


「問題はクリムなんだよなあ」


 クリムは召喚以来、一度も帰還していない。ヴァンとしてはクリムの自由にさせてあげたいが、エンシェントドラゴンとの戦闘中に巻き込まれないとは言い切れない。

 今回はヴァンとクレアの両名でクエストに挑まなければ意味がないので、クリムの保護者がいなくなってしまうのだ。


「む、クリムも育ててやれば良いじゃないか。存外、強くなるかもしれないぞ?」

「そうだなあ、とりあえず試してみるとするか」


 エンシェントドラゴン討伐依頼開始まで一ヶ月。その間でクレアとクリムを強くする、ヴァンにしか出来ない難易度最大のクエストだ。


「そうと決まれば……ってもう夕方か。明日から皆でクエスト受けようか」

「ああ、師匠、楽しみにしているぞ?」

「師匠って柄じゃないしクレアの方が二つ年上だよ……」

「ヴァンに教わるならばヴァンが師匠、年齢は関係ない」

「……エンシェント終わるまでは師匠で良いよ」


 結局はヴァンが折れるしかなかった。まだ数日間しか一緒にいないが、クレアは一度決めたことを絶対に曲げないことは理解出来てきた。


 はあ、と大きく溜め息を吐いた頃、見計らったかのようなタイミングでクリムがクレアの膝へ移動してきた。昼寝は終了した様子だ。


「む、お腹が空いたのか?」


 そういってクリムに手を当て、魔力を注いでいる。

 クリムもクレアも仲が良いので、ヴァンは一安心だ。





誤字訂正致しました。

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