秋・魔力推薦
季節はまた巡り秋になる。
フィラは初日に座っていた席に座っている。今日は、どうやら魔力測定をする日らしい。
(うーん。公開処刑じゃん)
フィラは、二組で平民のため一番最後に測定することになっている。
これまで測定している貴族たちを見てみると、平均は七十から百以下あたりだ。
魔力は、五十未満が一般人と言われている。つまり、この王国では人権を持つことが出来ない。五十以上百未満は下級魔術師並みらしい。中級、上級魔術師はもっと魔力があるらしいが、今のフィラ達には関係ないからと特に深くは言われなかった。
「次、マリアンネ」
「はーい」
マリアンネは眠そうにあくびをしながら階段を下りる。どこか堂々としている。
「ここに、手を」
教師が見ているのは普通の計量器。ただ、手を乗せるとその人のもつ魔力の数値が見える。
「はい、五十六。つぎ、レオ」
「はぁーい」
マリアンネとすれ違い下りて行ったのは、レオと言う名の少年。女の子たちからの黄色い悲鳴が上がる。
(あ、気障な子)
レオというのはだいぶ良い所の少年らしい。女の子達が良く話している。侯爵という立場らしい。侯爵がどれほどすごいのかいまいち分からないフィラにとってはあまり関係ない話だ。
「はい、九十四」
「しゃー!」
女の子に『妖精さん』と言っているレオは猫を被っているのだろうとフィラは思っている。春に落とし物をした子の隣にいたレオは、妖精さんと言うような人では無かった。どちらかと言えば、テイルに似ているような感じだ。
「次、フィラ」
「は、はい!」
フィラは、階段から落ちないようにゆっくりと下りていく。
「平民が来たのは魔力推薦でしょぉ?ほんとにあるのかしら?」
「あるとしても六十以下でしょ?」
「てか、これであいつに負けたら情けねぇぇ」
男女問わずフィラを見て皆がざわざわしている。
フィラが貴族しかいない学園に入学できたのは、魔力があったからだ。平民が魔力があると言われるは数値は同じく五十以上。フィラはそれを超えていたため魔力推薦をもらったのだ。
もう一つの推薦枠として、学力推薦がある。これはフィラが通っていないものだ。代わりに北部の少年がこの学力推薦をもらい入学している。この学年に平民は二人のみだ。
ちなみに、その少年の魔力量は三十二。高等部進学までに魔力が五十以上なければ貴族平民問わず退学させられる。
「はい、手を」
「は、はい」
フィラはドキドキしながら手を計量器の上にかぶせる。
針が右に動いていく。
「嘘だろ…」
「百超えて…!?」
針は止まらない。一番端の百五十の単位に触れた。
「百五十…?」
フィラが呟くと、バリンと針が壊れた。それと同時にフィラの周りに炎の和が出来た。
「なになに!?これ何!?」
フィラはあわてて計測器から手を離す。教師が、炎に向かって手を向ける。
「リバース。水流」
その言葉と共に術式陣が編み出され、水が教室中に撒かれる。フィラは、炎が消えると共に腰を抜かし床にへたりこんだ。
(なにこれ…。魔力ってこういうことなの?)
フィラは自身の手を見てみる。なんの普通も無い普通の手だ。
「…!せ、先生…こ、これ何枚ですか。弁償ですか」
どう考えても安い訳がない品物だ。頑張っても、頑張ってもフィラが稼げるのは精々銀貨二枚と銅貨五十枚。それを超えられると困る。
「あー大丈夫だ。戻れ」
「あ、はい…」
フィラはトホホと肩を落として、席に戻る。
「はい、これで終わりだ。先ほどのように魔力の制御ができない間は魔術を使うな。いいな」
その言葉によって、今日の授業は終了した。
(うぅ魔力って、魔術って…怖い)
はぁと盛大なため息をついて帰宅しようとすると、教師に止められた。
「ちょっと来れるかい」
「?アルバイト時間までなら…」
フィラは、教師についていくとある部屋に通された。高そうな物がある部屋だ。
「ここに手をかざしてくれ」
「ここに…」
フィラは怖がりながらも手をかざそうとする。人の視線を感じて後ろを見る。人が何人も集まっている。
「…はい」
フィラが手をかざすと針は動いていく。二百を超えた。そして、二百三十を超えた地点で針は止まった。
「二百三十…さすが、魔力推薦者」
教師は紙に書き終えた後、すぐに教室を出て行った。
フィラは、すぐに鞄を取りに教室に戻った。扉の前で魔力測定を見ていた貴族たちの間をすり抜けて、教室の扉を開けた。扉を開けるとフィラの机の上に腰を掛けている少女がいた。
「あ、あの…そこ、わたしの席…」
「あー、知ってる」
女の子はストンと机の上から降りた。




