冬・大胆なことしようよ!そう!爆発とか!
フィラはいつも通りマリノに勉強を教えて貰っていた。高等部三年生に進学しそろそろ進路を決めなくてはいけない。だが、フィラの進路は未だに決まらず彷徨っている。マリノは既に就職したと同然だ。勉強を教えてもらえる時間も思いっきり減った。だが、たまに教えてくれるのだ。こういう所に惹かれたと認めなければいけなくなったのは新たな問題だ。
「…こう?」
「そうです」
フィラは与えられた問題を解く。勉強をしておけばもしかしたらそれなりに良い仕事につけるかもと思ってフィラは勉強を続けている。
「フィラ!!ちょっといいことしない!?」
「そうだ!!フィラちゃんいいことしようぜ!!」
突如、レオとサクリがバンッと扉を開けて入ってくる。それにフィラは驚きペンを落とす。それをマリノが拾ってくれた。
「あ、ありがとう…えっと、サクリちゃん達どうしたの…?」
「フィラ、いいことしよ?」
「…?何するの?」
サクリはフィラの手を引いてどこかに連れ出そうとする。レオもお願いとしている。フィラは困りチラチラとマリノの方を見て助けを求める。
「彼女をどちらに連れていくつもりですか」
「気になるならお前もついてこいよ」
「…行きます」
助けてもらおうとした相手はレオに乗せられついてくることに。フィラは何か少しドキドキしながらサクリについて行く。向かっていた先は校舎裏の倉庫だ。
「えっと…なにこれ」
「ここさ、新しく防火性にしたんだって」
「へぇ。お金かかってるね」
「でさ…これ本当に防火性か知りたくない?」
フィラは嫌な予感がしてサクリから離れようとするが、レオに後ろを塞がれていた。サクリは悪い顔をしている。これはロクでもない事を考えている時の顔だ。
「ね、魔術使ってよ」
「だ、ダメだよ…もし燃えちゃったら怒られるし…弁償しないとだし」
「大丈夫。フィラちゃんこっちには凄腕の魔術師がいるんだから…ね?」
「こちらを見ないで貰えますか」
レオの向けた視線の先はマリノだ。確かに凄腕の魔術師ではある。
「ね、フィラお願い!これ、頼まれたの!ね?」
「あぅ…お、怒られない…?」
「ないない。絶対にないから!」
サクリに背中を押されてフィラは倉庫の前に立ってしまう。フィラは混乱し、逃げようとするがサクリに捕まる。
「こ、怖いよこれ…」
「大丈夫!アタシもやるから…ね?」
「…うぅ」
フィラは半泣きになり指を倉庫の頭上に向けた。流石に目の前にやる勇気は持ち合わせてなかったのだ。
「げ、月華…火輪」
すると倉庫の頭上に炎の和ができた。倉庫が燃えていないのでホッとしていたらバンッと派手な音が鳴った。
「何!?」
「きたきた!!」
レオとサクリはいえーいとハイタッチしている。この場で何も理解していないのはフィラとマリノだけだ。その瞬間、バンッと派手な花火が起こった。
「…こ、これまずくない!?」
「…逃げますか」
「お、これで共犯。主犯はレオで」
「お前も考えただろ!?実行犯はフィラちゃんね」
四人は教師の怒号が聞こえると逃げ出した。
♧♧♧
「や、やっぱり怒られたじゃん!!」
「レオが転んだのが悪い」
「は?サクリ、お前だって転びかけてただろ」
「明日が憂鬱です…」
四人は仲良くそろって学園長室から出てきた。倉庫爆破未遂として終わったからよかったが、本気で爆発させていたら退学だっただろう。
フィラに至っては怖すぎて半泣きだ。
「さ、サクリちゃんとレオくんのせいだ!」
「えぇ?実行したのはフィラだし?」
サクリに色々言い負かされフィラは不貞腐れる。もっと語彙力をつけようと思った瞬間だ。
「てか、マリノが一番怒られてたな」
「とばっちりもいいところですよ」
もちろん、フィラをそそのかして計画を立てたレオとサクリが一番怒られていた。だが、実行したフィラ以上に何故止めなかったのか!と学園はマリノにとても怒っていた。一番可哀想なポジションにいた。
「まぁまぁ落ち着け、俺の奢りでどっか行こうぜ」
「…これから仕事ですが」
「え、フィラちゃんには時間作ってるのに?俺には?」
「フィラは特別なので」
「あからさまな特別…俺は?俺にも構え!!」
「…適当に」
「優しくしろ!」
レオはバシバシとマリノの肩を叩いている。痛そうだ。フィラはうぅと半泣き状態でサクリの隣を歩いている。フィラもこれからアルバイトだ。
「あと一年、もう怒られたくないよ…」
「アタシといると怒られるかもよぉ?」
「サクリちゃんといるのは楽しいから…いいの」
「お、やっぱり今度遊びに行こ!」
「もう…仕方ないな…」
フィラも満更では無さそうだ。
この日の出来事は、ちょっと先の未来まで継がれた。そして、校則には学園で花火をしては行けないという決まりまでできてしまった。




