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真っ当に生きるしかない!  作者: 星宮 しずく
七年目・高等部二年生
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夏・公認不良

「まじでカス。教師は末代まで呪う」

「ま、まぁまぁサクリちゃん…落ち着いて…」

「落ち着く?そんな言葉ありませんからぁぁぁ」

 サクリは現在とてもキレている。最近沸点が低いと思っているがこれは夏のせいと言うことにする。そんなサクリとフィラの後ろには呑気に話しているレオとマリノがいる。

「はぁ、だっる。今日とかめんど」

「夜間演習ですから」

 現在は夏の長期休暇。それも夜。何故こんな時間に四人が森の中をウロウロしているのかと言うと、教師に勧められたからだ。元々いつも通り勉強を教えてもらってたら教師が入ってきた。そして、夜間演習を進めてきたのだ。騎士団から招聘状が来ているレオだけに勧められていたのだが、本人が誘ってきたのだ。

「てか、レオお前怖いのか?」

「うるせぇ…怖くねぇよ」

「嘘つけぇ」 

 サクリはちょんちょんレオを突く。本人は嫌そうにしているが本気では嫌がっていない様だ。

「フィラー怪談話して」

「なんで!?」

「貴族の階段話は作り物すぎて面白くない」

 フィラも怖い物は好きではない。特に、魔物系の話は怖いのだ。

 この王国は魔物と竜が存在している。竜は災害の象徴だ。

「う、うーん…ないかも」

「えぇ?じゃあ、マリノ。なんかある?商家にまつわる系で」

「ありませんよ」

「つまんない!!」

 サクリは不貞腐れポーンと靴を投げ出してしまった。

「…レオ。取りに行って」

「嫌だ」

 二人が言い合っている間にフィラは靴を取りに行く。だが、無い。

「サクリちゃん!靴ないよ」

「そんなことなくない?だってそっちに飛んだよ」

「でもない!」

 フィラはとりあえず三人のいる方向へ戻る。三人とも疑問符が浮かんでいるようだ。フィラ自身もよくわかっていない。摩訶不思議だ。

「…手分けして探しますか」

「え?こいつのために?めんど…」

 マリノとレオは少し離れて草むらをかき分けている。フィラは木の上にあるかと思い頭上を見てみる。何か目が光っていた。

「猫さん!!」

 フィラが突然大きな声を上げたのでレオとマリノは手を止めた。そして、フィラの叫んだ方を見る。

「「猫…?」」

 珍しく二人の声が重なった。フィラは猫だと思いおいでーと降りてくるように促す。サクリはフィラの肩に手を置き完全に壁として寄りかかっている。フィラはそんな事気にせずに猫が降りてくることを願っていた。

「おいでー。怖くないよー!」

「ほんとに猫…あれ?」

「…そういう種族…ですかね?」

 ぴょこぴょこしているフィラと少し怪しみ近づくレオとマリノ。シュパット降りてきたのは猫なのだが、猫ではなかった。

「……?雪国の猫さん?」

「魔術師のじゃん」

 隣にいたサクリがフィラの抱えている水で作られた猫を持ち上げる。これは使い魔を持たない魔術師が使う連絡手段の方法として使われている魔術だ。この猫はそういう猫だ。

「魔術師さんのか…お出かけですかっ?」

 フィラが話しかけても猫はうんともにゃーとも言わない。フィラは不思議に思いマジマジと見ている。

 ふと後ろを見るとレオとマリノが何か話している。バチンとレオがマリノに叩かれている。きっと余計なことを言ったのだろう。

「あっ……」

 猫はすいっとフィラの腕から抜けてどこか行ってしまった。フィラはあぁと悲しそうにしている。犬派か猫派か問われたらフィラは猫と答えるタイプだ。猫の方が可愛いと思っているとの事。サクリは隣で身を震わせていた。サクリは動物が苦手らしい。

「…で、サクリの靴どうする」

「あ、それなら木の上にあるよ」

 フィラがほらと指を指す。確かに気に見事にかけられていた。

「…フィラちゃん?なんで言わない?」

「猫さんがいたから…つい」

「……おい、マリノ。恋人の代わりに行けよ」

「……わかりました」

 ため息をついたマリノは靴が引っかかっている木下に向かう。いくら男子高校生の身長でも届かない高さだ。

「高いですね…」

 簡単には届かない高さだ。肩車しても難しいだろう。フィラは身長は平均以下なので全く戦力にならない。ポケッと見ていると、マリノがレオに何か話している。えぇと嫌そうな顔をしていたがレオは仕方なくやるようだ。やりたくねーと言っている。

 サクリが野次を飛ばしているとレオの手を踏み台にして、マリノがいつの間にか木の上にいた。

「すごい…」

「やっば…」

 サクリとフィラは二人で感心している。だが、マリノの方は大丈夫そうではない。

「これ、落としますよ」

 マリノから落とすと言われ、フィラは木の下に行く。それを確認してからマリノは靴を落とした。フィラは靴を受け取るとキラキラした顔でサクリの方に行く。

「サクリちゃん!靴、良かったね」

「マジ感謝」

 サクリは、のんのんと靴を履きだす。

「マリノーお前降りれるかー?」

「…どうにか」

 マリノはふうと息を吐いてから一気に飛び降りてきた。わーとサクリとフィラは感心していたが、マリノは珍しくホッとしている様だ。レオは事情を知っていそうだが、フィラとサクリは何も知らない。

 あとで知ったことだが、マリノはどうやら高所がかなり苦手らしい。

 申し訳ないことしたなぁとフィラがのほほんと思っていたのは言うまでもない。

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