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真っ当に生きるしかない!  作者: 星宮 しずく
七年目・高等部二年生
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春・友達意外とすごい

「こ、これ不味くない…?」

「ですね」

 フィラは隅っこに隠れていたはずだがマリノもいつの間にか隣にいた。流石にいると危険だと思ったのだろう。見ていてもあれは危ない。

 魔術はあんなに怖いものなのだと知ることができてしまった。

「…ひぇ。レオくん石と岩投げてる…さっき地形変えてたのに…」

「魔術ですから」

 この魔術戦を見ていると魔術とは結構何でもありなのだと思わされる。これをフィラは魔法みたいと言いたいが言ったら色んな人から叩かれるので言わない。魔法は術式陣を必要とせず、念じるだけで使える奇跡のものだ。魔術は奇跡ではない、奇跡なんてバカバカしいと国のお偉い人が言っているらしい。頭が固いと思ってしまうのは内緒だ。

「ロック。疾風」

「ちっ…」

 サクリが魔術を使っている間は、レオは魔術を使わない。どうやらレオの属性とやらはサクリと相性が良いらしい。味方なら存分に使っていただろうが今は敵対状態だ。魔術を使えばサクリの思うつぼだと分かっているのだろう。

「ビビってんの?本気?」

「なわけねーだろ?」

 レオは、逃げ回っていた状態から足を止めてサクリの方を見る。

「同調。水光の網」

 すると、サクリの頭上にきらきらとした網が編み出された。

 フィラは知らなかったが、レオは随分と高度な魔術を操れるらしい。攻撃術の中には大きく四つの区分がある。風、土、炎、水、これは、人間は基本人属性しか持てない。フィラは炎らしい。だが、魔術の扱い方が上手な人は全て使うことも出来るらしい。レオは後者らしい。土と水の魔術を扱える。

「お前…そんな魔術使えたのかよ…」

「いいのか?余裕そうだが」

「は?」

 レオは、指を振り下げる。すると頭上の水で作られた網がサクリにかかった。最悪…と言いながらサクリは切ろうとするが切ろうとすればするほど、網は小さくなっていく。

「よーし。めんどい女の捕獲成功」

 レオはよっしゃ!と大喜びだ。そして、にっこにこした顔でフィラの方を見た。

「フィラちゃんだけだね。よし、マリノどうにかしろ」

 フィラはその言葉に反応しシュババとマリノから離れてサクリの方に行く。救出しようとするも、中々切れない。レオとマリノはまだ言い合っているようだ。あそこは何故仲が良いのかいまいち分からない。

「あーあ、マリノは過保護だ…過保護?これって過保護なのか?」

 レオは文句を言いながらフィラの方に向かう。フィラはちょこまか逃げ回るしか方法が無い。魔術なんて使ったらまずいし、そもそもまともに使えない。

「れ、レオくん…?て、手加減を…」

「あー、終わったら殴っていいから」

「どういうこと!?」

 フィラがアワアワしていると、サクリがぴーぴー何か言っている。サクリは結局マリノに任されたようだ。

「まぁ、フィラちゃんにケガさせたら怒られるから。安心してよ。俺、女の子は傷つけたくないんだよね」

 レオはそう言い、指をフィラに向けサクリを閉じ込めた魔術を全く同じことを詠唱する。完全にフィラを閉じ込めて再起不能にするつもりだ。

(どうしよ、どうしよ…お、大人しく捕まるべき?でも、サクリちゃんの熱量的に大人しく捕まったら絶対に奢らされる!)

 フィラは周りを見渡す、いつの間にか人は居なくなっていた。つまり、いまこの場にいるのは四人だけなのだ。

(…ご、ごめんなさい、さ、さすがに怪我しないよね…されたら賠償金…払うのかな…)

 フィラはうぅと嘆きながら指をレオに向けた。振り下げられたらほぼダメだが、それよりも先に行使すればいいのだ。レオの魔術は使うのに時間がかかるらしい。

「げ、月華…火環」

 フィラが詠唱すれば周りは一気に炎の海になる。

「わお…」

 レオの声がした。フィラの魔術は一発の威力がバカ高い。これは教師三人公認だ。だが、これはフィラの微調整がなってないかららしい。

「マジかフィラちゃん。火力たっか…」

 さすがに身の危機を感じたのかレオは一度詠唱を辞め、離れる。フィラの方はフラフラだ。

 火力が高い理由は一気に魔力を使っているかららしい。だが、魔力は血液と混ざっているようなものだ。そのため、一気に使えば貧血のような状態になる。フィラの場合、魔力が元々多くそして調整が出来ていないため貧血では済まされない。フィラの場合気絶を起こす。

「…あぅ。結構まずいなぁ…」

 フィラはふらっふらだ。良く立っていられるというほどだ。もう、反撃は出来ないし、下手に走れないだろう。

「あー、とりあえず拘束しておくか」

 結局、レオの魔術によってフィラは気絶しても頭を打つことはなかった。


♧♧♧

 

「頭痛い…」

「無理しすぎでしょ。意味わかんない」

 フィラは養護室にいた。結局、ぶっ倒れたのだ。今は教師はいないが代わりにサクリがいる。こちらはレオに対して非常に不機嫌だ。会ったら睨んでいるらしい。

「サクリちゃん、ごめんね」

「いや、いいよ。アイツに全部擦り付けるから」

「えぇ…」 

 フィラは寝ていたらしいが、さっきまではレオとマリノも来ていたらしい。競技場で解散でよかったのでわざわざ来てもらったお礼をしなくてはいけない。

「…レオくん、騎士団からの招聘状来たかな…」

「アイツ、魔術団からも来てるらしいよ」

「からも…てことは来たの!?」

「らしい」

「ほんと…!?やった」

 フィラはにこにこしてサクリと夕暮れまで話した。



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