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真っ当に生きるしかない!  作者: 星宮 しずく
七年目・高等部二年生
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春・魔術戦

 魔術戦が始まる季節がやってきた。魔術戦は文字通り魔術で戦う一種の競技だ。魔術師も練習としてたまに行っているらしい。そして、学園の魔術戦は祭りだ。国の偉い人が集まり将来有望な人をスカウトする場でもある。ここは、就職戦争の場でもある。

「さ、サクリちゃん…この人の量多くない…?」

「いやーマジで多いわ」

 魔術戦は二人一組で行う。好きな相手と組めるのでフィラはサクリをお誘いした。事前に魔術はからっきしダメだと伝えているから安心だ。

「王立魔術学園の魔術戦の試合は最後の一組になるまで続きます。ルール違反者や失格者は上空の騎士団が白旗を上げます。上げられた時点でその組は終了です」

 アナウンスが淡々と告げられる。ここまで声を反響させられるのは何故かは分からない。

 魔術戦のルールは至って簡単だ。

 ただ、魔術を行使し相手の魔力を全て枯渇させる、もしくは審判が白旗を上げたら終わりだ。ルール上だけで見れば簡単な競技だが、魔術はとても繊細で難しい。

 詠唱一つ間違えれば自身に危害が来る事もある。周りを見ずに好き放題魔術を放てばいつか、狙い撃ちを食らう。

「…さ、サクリちゃん怖いんだけど…」

「任せておき!滅多打ちにしてやる!」

 サクリは元気そうだ。フィラはオドオドして競技場に視線を送る。

 魔術戦は王国で最も大きな競技場で行うことになっている。そのため、とにかく人が多い。一番高いところにいるのは三人の王子に国王。妃と姫がいないのはただ、予定があるからなのか女だからだろう。そして、王族を守るようにして後ろに控えているのは魔術師の最高峰天八座。八人のはすだが、六人しか来ていない。予定があるのだろうか。そして、観客席には生徒の親、有望な生徒を見ている人がいる。

「こっわ……」

「安心して!こいつら滅多打ちにするわ…」

 サクリは生徒に恨みでもあるのかバキバキ関節が鳴らしている。それも怖いのだ。

「では、王立魔術学園の魔術戦開始です!」

 アナウンスと共に魔術が大量に行使される。フィラは逃げ出したくなったがサクリが動かないので後ろに隠れている。

 サクリは堂々と指を中心で魔術を行使している人達に向ける。

「ロック。暴風!!」

 サクリの言葉で術式陣が編み出される。そして、中心で喧嘩をしている数十名に暴風を当てた。どうにか堪えていた人もいたが半分は飛ばされた。サクリは一人で七組分の生徒を失格させた。

「サクリちゃんすごい…」

「でしょ!!よしっ…逃げるか!」

「え!?」

 サクリはフィラの手を引き走り出す。後ろから一斉に魔術攻撃が来た。

「なんで!?」

「あははは!」

 サクリは大笑いしながらぶつけられそうな岩を避けていく。フィラは岩投げるの!?と騒いでいる。サクリの方が足が速い。フィラはひたすらそれに引っ張られていくだけの形になる。

「おっ、ロック。東風」

 サクリは突然止まり魔術を行使する。フィラは止まれずふひゃとサクリの背中にぶつかった。痛い思いをしながらサクリの前を見るとよく見知った顔がいた。

「…わぁ」

「までお前ふざけんなよ!!!風属性女!!!」

「うるせぇ。いいんだよ。風はどんな魔術とも相性がいいからねぇぇ?残念だったね?」

 どうやらレオとサクリは喧嘩をしているようだ。その横で多分結界を張っているのはマリノ。あちらはため息をついている。

「さてさて!残るは十組!!果たして最後まで残るのはどこだ!?」

 アナウンスは相変わらず元気そうだ。とても羨ましい限りである。フィラも出来ればあそこに行きたいと何度か思っている。

「よっし!フィラ!アタシこいつらとやり合うから」

「…えぇ」

「いいわ。これでお前への恨みを晴らしてやる」

 サクリは相変わらずバチバチしている。やはり、何か恨みでもありそうだ。一方レオもメラメラ燃えている。あちらも怖い。

「よーし。おい、マリノ。お前護衛しろ」

「何故」

「俺を守れるのお前だけだろ」

「…すごい嫌です。その言い方」

 マリノはとても渋い顔をしている。サクリも少し引いているようだ。いつも女の子で遊んでいる癖が今出てきたようだ。レオの語彙力はとても高い。

「さ、サクリちゃんわたしは何したらいい…?」

「後ろに隠れてる!」

「…はぁい」

 フィラは大人しくサクリの後ろに隠れる。するとすぐにレオの魔術が飛んでくる。こちらは岩を飛ばしてきた。きゃっとなるフィラと悪すぎる笑みを浮かべているサクリ。サクリはささっと華麗に距離を取った。フィラが隠れられる場所が無くなったためフィラは慌てて隅っこに逃げ出した。

「おーおー、フィラちゃん逃げ回ってて可愛いな。なんかいい」

 レオはサクリに魔術を使いながらフィラの方に話しかけてくる。正直、フィラはそれどころではないので知らないふりをしているが、サクリがブチ切れたようだ。魔術の威力が上がった。

「えー、何?嫉妬?フィラちゃんに?」

「なわけねぇだろ。こちとら真面目にやってんのに女口説いて楽しいか?だからお前は一生お見合いしてんだよ」

「うるさいな…お前も…」

 サクリがブチギレているとレオはカラカラ笑っている。それが油だったのかサクリの威力は上がる。

「…おっと…やべぇこれ」

「…撤退した方が良いかと」

「男が逃げとどうすんだよ。勝負に勝ち戦いにも勝つのが俺なんだからな!」

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