↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真っ当に生きるしかない!  作者: 星宮 しずく
七年目・高等部二年生
49/57

冬・ターニングポイント

フィラには実に困った悩みがある。それはいたって単純。進路だ。

「さて、君はどんな職につきたいのかね」

「…えっと…その…あの、ですね…」

「魔術師とかはどうかね。今年から本格的に魔術を学べる。それに、君は魔力が高い。魔術師にとって好条件が揃っている。なにより、給金がそこそこ良い」

「……えっと…その、特に何も考えてません…」

「はぁ。また聞こう。今日はこれで終わりだ」

 教師に帰れと言われフィラは渋々立ち上がり扉を開けて、閉める。

 フィラの進路は全く決まってない。まだ、進級したばかりだと思っていたが意外と既に進路は決めないといけない時期らしい。貴族の令嬢はどうするのかと思いサクリに聞くと、嫁に行くって答えると言っていた。実際サクリはそう答えたらしい。本当にサクリが良いお嫁さんになれるのかは謎だ。

(結婚……何考えてるんだろダメダメ。進路進路…)

 フィラは一人でうんうん唸りながら教室に戻る。

「お、フィラちゃんおつかれー。進路指導?」

「レオくん…うん、まぁ…そうだね」

「こりゃ進路決まってない感じ?いいじゃん、あれの嫁で」

「わかんないじゃんっ。もしかしてなんか…こう…ね」

「大丈夫。あいつはバカ重いから」

 レオはグッと親指を立ててくる。親指を立てるのはサクリと同じだ。癖なのだろうか。フィラがレオについて行き教室を開ける。そこにはいつも通りサクリとマリノがいた。サクリはマリノにペン回しを教えていた。すっごいどうでも良さそうなのに付き合っている。なんだか可哀想だ。

「お、フィラおつかれー。なんて答えた?嫁?」

「……何も言わなかった」

「えぇ?せっかくいい逸材が手に入ったのに?」

「その話いつまで擦るの!」

「うーん。死ぬまで?」

 サクリは最近はずっっとフィラの恋愛話を擦ってくる。フィラは恥ずかしくてやめて欲しいのだがマリノは何も言わないのでサクリが調子に乗っている。

「…そもそも、サクリちゃんほんとにお嫁さんになれるの?」

「なれるの?じゃない。なるんだよ!」

「心配…」

 フィラから心配の視線を向けられたサクリはなぬっとフィラを擽りだす。ひゃぁぁ、とフィラは頑張って抵抗しようとしている。

「た、助けて!二人…ひゃ、助けて!」

「どーする」

「このままで良いかと」

「良くない!!」

 レオとマリノに見捨てられたフィラはうぅと小さくなってサクリから逃れる。そして、見捨てた二人をキッと睨んでおく。サクリは面白くなさそうにしている。よっぽどフィラで遊ぶのが楽しいのだろう。

「…レオくんは進路どうするの?」

 貴族の女性は基本嫁になるが進路と言っても良いが、男性はそうはいかない。仕事をしなければならない。長男は基本家業を継ぐらしい。次男以降は自由な職につけるとの事。

「俺は前にも言った通り騎士団!春の魔術戦でいい所見せないとな!」

 高等部の二年生になると魔術の勉強が始まる。そして、すぐに魔術戦という一種の祭りが始まるのだ。簡単に言えば魔術を使って敵を脱落させるものだ。これには全員参加が決まっている。

「レオにこの国守れんのぉ?お化けにビビってるくせに?」

「うるせぇぇ!そういうお前は嫁だろ?ほんとに行けんのかぁ?」

 サクリとレオはいつも通り喧嘩を始める。最近は過激的になってきているのだ。椅子をこの間は投げてガラスを割っていた。もちろん先生に怒られていた。

「うぅ、怪我しないでね… 」

 フィラとマリノは端の方で眺める。真ん中に入っていったら怪我をすることは確定だからだ。出血で済むかは分からない。

「…ね、進路どうするの…?」

 フィラは今のうちにマリノの進路を聞いておく。多分、この喧嘩が終わったら疲れた二人がケーキ食べに行こうと言ってくるはずだ。喧嘩の後はお腹が空くらしい。

「…それなりに考えてはいますよ」

「!どうするの…?」

「まだ教えません」

 フィラはえぇ?と不貞腐れる。フィラのもう一つの悩みはこの男だ。一応恋仲、というものなのだが何一つ態度が変化してない。フィラは珍しくサクリに恋愛小説を借りたが大体死別していて意味が無い。だったらと思いレオに借りるもこちらも死別していた。フィラは恋愛面に対して二人に頼るのをやめようと思った瞬間だった。だったらマリノに借りるかと思ったが、そもそも持って無さそうだから辞めた。

(……なんでだろ?)

 まあまだ学生だからかな?とフィラは思っているが流石にこれが続くと恋愛とは何かをもう一度考える羽目になるのでフィラはあえて知らないふりをしている。

「……そろそろ先生が来そうですね」

「だねぇ……出てる?」

「そうですね」

 フィラとマリノは鞄を持ちサラッと教室を出た。途中歩いていると教師がすごい顔をして向かっていったので絶対にあの二人は怒られるだろう。

 

「…何分待つかなぁ」

「長いでしょうね」

「ですよね…」

 フィラは校門によっかかり外を眺める。中等部の時はくぼみのような所に学園が立てられていたが高等部からは反対に少し高めの場所に建てられている。初等部は全く別のところにあるらしい。

 フィラは少し忙しなく髪の毛を触る。なるべく綺麗な姿でいたいのだ。それを知ってか知らないのかマリノは平然と髪に触れてくる。

「ひゃ!?」

「そんなに驚かなくても…」

 そのまま髪を撫でられフィラは、逃げ出したくなる衝動に駆られていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。