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真っ当に生きるしかない!  作者: 星宮 しずく
三年目・中等部三年生
21/57

春・振り回されるのはもうごめん!

 フィラが仕事が終わり帰る頃だ。

 鐘がひっきりなしになっている。山にある鐘を二人で鳴らせばその恋は叶うらしい。迷信だとフィラは思っているがロマンはあると思っている。

「サクリちゃんに何返そう…お貴族様だからなぁ。何がいいかな」

 フィラは少しお店を眺めるがどれも高価そうだ。あまりにも高いとフィラには手が出せない。むむっと悩んでいるとショーウィンドウに反射し見知った顔が写った。

「…レオくんだ」

 フィラは後ろを向きレオの様子を見る。一人で回っているようだ。だが、その左頬には明らかに打たれた跡がある。

(何したんだろ)

 フィラはそう感じながらもレオの方に行く。すると向こうも気がついたようだ。顔を明るくしてフィラの方に来る。

「フィラちゃーん!?俺さぁ女の子に振られたんだけどぉぉぉ!」

「振られた…えっと、ドンマイ」

「浮気しそうだからだってぇ。酷くない!?」

「………まぁまぁまぁ」

「今の間何!?何!?」

 レオはフィラの足元で崩れている。よっぽどその女の子を大事にしていたのだろう。ショックそうだ。

「れ、レオ君その…すごく申し訳ないんだけど、女の子が喜びそうな物って何かな…?」

「え、あー、それならハンカチ。まじでいい。大体それで喜ぶ。あと、髪飾り。そっとつけてあげるとなお良し」

「…女の子慣れしてるなぁ」

 フィラは心の声が漏れ出ているがレオはあまり気にしてないようだ。スクッと立ち上がり腰を沿っている。

「てか、フィラちゃんここでなにしてんの。彼氏?」

「違うからっ。彼氏とか、できないし…」

「あ、マジ?来年あたりできてるよきっと」

「なんで…」

「んー、みーんなフィラちゃん狙ってるから?」

「…………むっ」

 フィラの反応を見てレオは不味いと思ったのか目を逸らす。

「ま、まぁ安心してフィラちゃん。本当に恋心抱いてるやつもいるから」

「むっ、それより髪飾りっていくら位?」

「あー、安いのなら銅貨十枚とか」

「それなら…買える」

 フィラは欲しかった情報を手に入れ持っていた鞄を持ち直す。そして、売ってそうなお店に検討をつけ走り出す。

「ありがとーレオくんっ!次もいい子見つかるよきっと!」

 フィラは手を振りながらお店を探す。レオも少し振り返してくれたようだ。

(…ん、さっきレオ君わたしに恋心を…みたいなこと言ってたな。いるのかな。ちょっと探してみよ)

 フィラは行きたいお店を見つけて中に入った。

 

♧♧♧

 

「ねーちゃん。聞きたいことがある」

「え、なに?」

 フィラは机の上にノートやペンを散らかしていた。それを片付けているとテイルがやってきてどこか真剣な面持ちでフィラに話しかけてきた。

「ねーちゃん…彼氏いんの」

「かれし?かれ、し……?」

「だってその袋!!めっちゃいい所のペンじゃんっ!!!」

「これ?これは─」

「そんなの絶対彼氏だろ!?今日だって仕事って言って彼氏とデートしてたんだろ!?」

「してないから…お仕事行ってたよ…」

 フィラはペンをテイルに見せた。とても高価そうだが、普段使いもしやすいペンだ。金銭面に気を使っているフィラを考えてくれたのだろう。

「これは、お友達から」

「男?男だろ」

「女の子っ!素敵な子」

 フィラはムスッとしながら学園の鞄にペンを入れる。テイルはとても疑っているようだが深入りはしてこなかった。

(うーん。なんか、みんな恋とか愛とか…言ってくる…そういうお年頃かな)

 フィラの手は止まりうーん、と考え出した。

 確実に貴族の元に嫁ぐと言われてから愛だの恋だのに振り回されている気がする。フィラの大事な事は家族に仕事、退学しないの三つなのだ。そこに恋愛を持ち込む気はない。

 だが、あまりにもそういうのが増えた。

(うーん。適当に彼氏みたいなの作ってあしらった方がいいのかなぁ。でもなぁ、お貴族様と結婚…世界が違うと思うんだけどなぁ)

 フィラは鞄を閉めるとポスンとベッドに身を投げる。

 テイルは心底謎のような顔をしていたがフィラには関係ない。テイルはベッドでぽけーっとしているフィラにずいっと近づく。

「ねーちゃん隠し事してるだろ」

「へ!?」

「分かりやすい。前も推薦貰ったこと隠して悩んでた」

「うぐっ…それはそうだけど…」

「何隠してんの。お金?もしかして退学?」

「違うから!退学はしないように頑張ってるし…」

「じゃあ何?」

「それは…」

 フィラはベッドから起き上がり壁の方へ逃げていく。だが、テイルもそれを追いかけるので自ら逃げ場を潰した状態になる。

「なに?」

「……お、女の子は秘密が多いんだよっ」

「ねーちゃんの場合秘密じゃなくて隠し事だろ」

「あぅっ」

 フィラは図星をつかれ萎れる。

 テイルに隠し事は無理だ。何かを隠していてもすぐに見抜いてくる。顔に出てる事も多いからだろう。

「…お父さん達来たら話す」

「ふーん。そっ」

 テイルは興味を無くしたようにベッドから降りてボールを手に取り外に出て行った。

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