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真っ当に生きるしかない!  作者: 星宮 しずく
二年目・中等部二年生
17/62

秋・視線が多い…

 サクリは最後に走りトップでゴールテープを切った。一番生き生きしていた瞬間だった。サクリはフィラにプレッシャーを与えるためかドヤっとピースサインをフィラに向けていた。

「次か……行きたくない……行きたくないよぉ」

 うぅとフィラはマリノの隣で嘆いている。レオはマリノによってサクリに引き渡され二走目を走っていた。余裕そうにウィンクをしながら走り女の子を倒していたのだ。フィラは逃げたくて仕方がなくゆっくり逃げようとしたところマリノに捕まり大人しく座っていたのだ。

 いつの間にかマリノの頬についていたインクは落としされていた。同じく色がついていたレオはそのままの状態で走っていた。

「…怪我はしないようにしてくださいね」

「行きたくない…うぅ、変わってくれない…?」

「出たくないので無理です」

「そんなぁ…」

 うぅとフィラは顔を伏せる。先程からジリジリと焼かれるような嫉妬の視線が向けられていのだ。何にもないです、ただ捕獲されているだけです、と言い回りたい衝動に駆られたが大人しくしたままだ。

「あらぁぁ?平民さん。貴方次でしょ?くれぐれもアタクシの足を引っ張らないでちょうだいね」

「…頑張ります」

 フィラは重そうに立ち上がり、マリアンネの後ろをついて行く。マリアンネは今日は髪を真横に結んでいる。クルクルとなっている髪の毛が自由そうだ。

(死にそう…うぅ)

 

♧♧♧

 

 フィラは現在息を切らして足を地面につけていた。

 結局、フィラは真面目に走りきったのだ。最終走を走ったのだが、前の三人が速く走ったため独走で走りきれたのだ。プレッシャーをかけられたので逃げるように走りきったのだ。

「おっつかれー」

 サクリはフィラの肩をバンッと叩き本当に励ましなのか怪しい言葉を告げる。

 フィラはキツそうな表情をしてサクリの方を見る。サクリは顔をニカッとさせてニコニコしている。

「フィラ頑張ってたじゃーん。ちゃーんと走って」

「倒れそうだった…」

 偉い偉いとでも言うようにフィラの肩に手をバシバシ当てる。これが嫌味ではないのが凄いことだ。

 そんな事をしているとレオがやってきた。両手に…周りに花の状態だ。女の子が沢山群がっている。水に植えた肉食動物のようだ。

「よ、サクリにフィラちゃん。おつかれー」

「お、ダサ男」

「は?」

 サクリの一言にレオはイラついたのか女の子達を振り払ってサクリの胸ぐらを掴む。完全に良くないことが始まる。

「なんだ?文句あんのか?」

「否定しないんだ。へぇぇ?」

 見えない火花がバチバチ散っている。フィラはあわあわして二人を止めようとするも、レオの両手にいた女の子達がジロっとサクリの方を見ていた。

(…え)

 フィラは思わず女の子達を見る。みんなおめかしをしているのだが、どこがおかしい。

「あんなにベタベタするとか信じられないわ」

「ほんとにそうよ」

「あれと同類と思われたくありませんね」

「幼なじみだからってベタベタしすぎなのですよ」

 どれもサクリに向けられた悪意だ。

 貴族も平民も同じだ。羨ましい事があればそれを悪意に変換し噂を流す。

 だが、それを本人に言うのは違うのでは無いか。

「…あ、あのっ」

 フィラは勇気を出して女の子達の方を向いた。女の子達はフィラを認識するとさらにツンっとした気配になった。

「何かしら平民小娘」

「…そういうの良くないと思う」

「はぁ?」

「そういう、嫉妬とか全面に出すのよくないと思うっ」

「なに、アンタは貴族に文句があるのかしら?」

「貴族に文句は無いよ。でも、人を貶したりするのは良くないと思う。思っても声に出さないなのがマナーでしょ」

 フィラはムスッとした態度で女子生徒の方を向いている。サクリは気づいたのかレオを突き飛ばしフィラの方に来る。

「フィラ!いいから、いいから。ぜーんぶあいつ悪いから安心して」

「でも…」

「責任はいい所のお坊ちゃまに擦り付ければいいんだから!」

 サクリはフィラの手を引きかけて行く。レオは後ろから追いかけてきているようだが、サクリの方が速く全く追いつけていない。

 サクリが角を曲がろうとすると、遠心力でフィラが曲がりきれず転けた。

「フィラ!?」

「…あ!?お花さんが潰れた…ごめんねぇぇ…」

 フィラは自身の足の痛みよりも花の心配をしている。うぅと半泣きで折れてしまった花を回収している。どうするつもりなのだろう。

「追いついた!!おい、サクリどういう…フィラちゃん?どうした」

「お花潰れちゃった…」

 フィラはレオに花を見せる。潰したと言うよりもフィラが轢いてしまった花だ。

「へぇ、あ、この花壇の管理って誰だっけ」

「確か、ハル先」

「おぉ、微妙」

 ハル先とはハルナイトという名の先生だ。フィラの担任教師である。顔が全く変わらず、意図も読めないので少し恐れられている。

「てか、フィラちゃんこれ回収して怒られない?」

「いいのっ。貰う」

「諦めろ馬鹿男。フィラは頑固だ」

 馬鹿男と呼ばれた事にイラついたのかレオはサクリを睨む。だが、サクリはレオを全く気にしてない。

「フィラ。今度あーなっても気にしないで」

「どうして!?言い返さないと意地悪されるよ!」

「んー。あーゆー子あたしも嫌いだから?」

「…よくわかんない」

 フィラは花を回収しながら答える。

 この後、サクリがまたレオを煽り喧嘩が始まった。その隣でフィラは花をひたすら回収していた。

 そして校舎裏が騒がしいと感じ、見に来たマリノが頭に手を当てため息をついていた。

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