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真っ当に生きるしかない!  作者: 星宮 しずく
二年目・中等部二年生
14/60

夏・長期休暇

 世間は夏季の長期休暇中。

 どこか王国内を旅行する人もいる中、フィラは自宅のベッドに横になっていた。

「……あっつ」

「ねーちゃん何してんの」

 テイルが部屋に入ってくる。何かを咥えているようだ。そのまま、自身のベッドに腰かけてフィラの方を見る。

「暑さに対抗中」

「アイス食った方よくない?」

「節約」

「ケチケチしてるよな。ねーちゃん」

 モグモグとテイルはアイスを食べる。最近露店で手頃な値段で売っているのだ。銅貨一枚から三枚で買えてしまう。下手したら野菜やパンより安い。

「うぅ、あっつい…」

「ねーちゃんバイトは?」

「三時から…」

「ねーちゃんの働いている店って遅っそい時間に開けるよなぁ。なんで」

「ターゲット層が学生と社会人だから…」

 フィラは暑すぎて髪をひとまとめにする。その辺にあったリボンで適当に括り付けた。

 貴族達は長期休暇に社交界とお見合い等々をするらしい。サクリがお見合いに関しては文句しか言っていない。

 だが、今の貴族の結婚は優しい方らしい。少し前までは強制的に家が決めた相手と学生婚していたらしい。フィラは大変だねぇと言いながらコッペパンを食べていた記憶しかない。

 一方平民の結婚は完全に恋愛結婚だ。フィラの両親も恋をして結婚したらしい。今の様子では想像できないがご近所さんによるとかなりの仲良し夫婦らしい。人は見かけによらない。

「…ちょっと出てくる」

「どこに?」

「うーん…教会?」

「え!?ねーちゃん神様とか信じてるの…?」

 テイルが何か言っているがフィラは無視して外に出る。日差しが強かった。

 

♧♧♧

 

 フィラは何もささずに外を出歩く。夏は日が出ていなくても貴族の令嬢達は傘をさしていた。なんでさしているのかサクリに聞くと、日よけと言われたのだ。

 男の子二人と女の子一人が楽しそうに公園に向かって走っていく。泥だらけだから、農作業のお手伝いをしていたのだろう。

 歩いていく人を見ていると教会についた。

「立派だなぁ」

 フィラはポケーと見てから教会の裏に回る。

 テイルには信仰しているの!?と言われるが全く違う。神を信仰している人を馬鹿にする訳でも無い。

 ただ、目的は教会の裏なのだ。

「さーて、今日はいるかな」

 フィラはキョロキョロとし神父がいないことを確認してから裏に行く。

 裏には木々がある。そこには猫が沢山いるのだ。

「あ、ねこさん。久しぶりだねぇ」

 フィラの足元に猫が擦り寄ってくる。フィラはしゃがみ眺める。

「……?白い子はどこにいるの?」

 いつもはいる白い猫がいないことに気がついたようだ。フィラはキョロキョロとし目の前にいるしましま模様の猫に声をかける。猫は話せないのでニャーニャーとしか言っていない。

 フィラが立ち上がり少し周りを見渡すとガサガサっという音がした。

 フィラがびゃっと跳ね上がり警戒すると探していた白い猫が出てきた。それも、小さい猫四匹を連れていた。

「わ!わー、お母さんになったの!おめでとう!」

 フィラは近づきすぎないように祝福をする。親になったのはいつなのか分からないが、産んだばかりだったら子どもに害がいかないように警戒するだろう。あまり、無駄な体力は使わせたくないのだ。

「お父さんはどこなんだろ。いるのかな」

 猫という習性を理解していないフィラは周りをさらに探してみる。今のところ猫の気配はない。むしろ、人の気配こそない。

「えへへ、とりあえずおめでとう」

 フィラはほわっとした笑顔を猫に向けて見ている。本当は触りたいが触ったら噛まれそうなので触らない。

 その時、ボーンっと王国の鐘がなった。お昼を告げる鐘だ。そろそろ戻ってテイルにお昼を作らなければいけない。

「帰らないと…。またね。ねこさん」

 フィラは猫に手を振りパタパタと教会の表の方にもどる。教会の柵を出ると同時に神父と信者達がちょうど出てきた。ホッとしながらフィラは露店に寄っていく。

 フィラの家の近くにある露店は農民向けの露店が多い。それぞれが作った野菜や果物を売り、稼いでいる。フィラの母もピリカやカボチャを売っていたりする。

「お!フィラちゃんじゃん!」

「こんにちは」

「どうだい?今の旬のピーマンとか」

「ふへ、お父さんが昨日買ってきてくれたので大丈夫ですっ」

「そうかい…何が欲しいのかい?」

「キャベツが欲しいです」

「ほら、銅貨三枚」

「どーぞ」

「まいど!」

 フィラは露店にいる知り合いにお金を渡してキャベツを手に入れた。家にはまだ野菜とパンがある。キャベツさえあればなんでも作れると思っているのでフィラの家はキャベツがよくある。今は切らしているため買いに来たのだ。

「なに作ろかなぁ。美味しいもの」

 ふんふんとフィラはルンルンしながら家に帰る。

 

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