女王の閑話
「今日はどこ行くの?」
「今日は…ここの屋上って展望室なんだよね?」
「そういえば、そんなのあるって説明された様な…」
「そんじゃ、今日は屋上だ!!」
いつの間にか日課の散歩に秋も行くようになっていた。
「さぁ二人共!楽しい数学の…いない…」
それは時津の「授業」から逃れる為なのだが。
「どうしてトッキーは数学をさせたがるかねぇ。」
「さぁ?」
瞬間移動にて屋上へのエレベーターがある場所へと飛んでいた二人。
秋も一日は時津の授業に出たのだが、難しくて結局は水菜と共に逃走しているのだ。
「あ、エレベーター。」
「いつも思うと言えば。」
「ん?」
屋上へのボタンを押し水菜の言葉に耳を傾ける。
「長い事散歩してるけど出会ったのはあっちゃんが初めてだよ。」
「そうなんだ。」
「うん。皆真面目だなぁ。」
「まぁ、大概は能力の練習位だから逃げようとする必要も無いんじゃない?あたしは逆に時津さんのカリキュラム大丈夫かなって思うけど。」
その言葉に今度は水菜が耳を傾ける。
「だって数学以外は基本的に自由なんだもの。」
「そうなの?」
「前はもっと細かいカリキュラムだったよ。」
「へぇー。でもうちは他にはしてない事あるじゃん。」
「ん?」
「能力制御。」
「あぁ、そうだね。」
と、エレベーターの中が明るくなる。
「へぇ、ガラス張りなんだ。」
「おぉー!あっちゃん!富士山だよ!」
「ホント、この高さなら見えるんだ。」
「今は…100階かぁ。そういえば他のフロアって何があるんだろうね?」
「そういえばそうだね。あたしも第三研究棟の他のフロア見たこと無いや。」
「確か2階と50階と100階が連絡通路だっけ?」
「そう書いてるね。」
「今度からは連絡通路使おうかな。」
と、外の景色を眺める。
「結構高いねー。ここまで飛んだこと無いからこの景色はお初だねぇ。」
「飛ぶの?」
「うん。瞬間移動で空中に出たりとか、風か念動力で飛んだりとか。」
「あたしは…あのフロアの天井に手を付ける位は跳んだことあるけど…」
「んじゃ普通の2階位ってことじゃないかな?」
「そだね、ここ高さあるもんね。」
「うん。ところでさ。」
「うん?」
水菜が秋の持つバスケットを見る。
「今日のお弁当は何かな?」
「今日は特製サンドイッチだって。」
「サンドイッチ!!」
「お茶の用意もバッチリだよ。っていうか透視しないの?」
「基本的にフード被ってる間は無理。フードの外の自分の視界までにしか設定してないから。」
「外せば?」
「人が来たとき一々被るのめんどい。」
「そう?あたしは綺麗だと思うけどな。」
「…」
その言葉に水菜は押し黙った。
「水菜?」
「な、何…」
「もしかして照れてる?」
「照れてない。」
「照れてるよね?」
「て、照れてない!!」
プイッとそっぽ向いた水菜に秋は嬉しそうに笑った。
フードを被っていて分かりにくいが確かに水菜の頬は照れて赤くなっていた。
◇◇◇
チーンという音を鳴らしドアが開く。
二人の目に飛び込んだのは…
「展望室っていうか…」
「ただの殺風景なガラス張りの部屋だねぇ。」
そう、なんの装飾品もない一面ガラス張りの部屋だった。
「夜は晴れてたら星空が綺麗だろうけど。」
「でも夜はエレベーター使えないんでしょ?」
「送電ストップするねー。」
「ちょっと残念だね。」
「まあ風と雨の影響がないだけマシ?」
「夏は暑そうだけどね。」
とりあえず外の景色を眺める事に。
「あっちの第三研究棟だよね?」
「ガラス張りじゃなさそ。」
「確かその向こうのビルが…」
「第六研究棟だね。あそこには医療班の本部があるんだよ。」
「医療班?」
「各一クラスに最低でも一人、治癒の出来るドクターがいるんだ。そして第六研究棟の本部で病気とかの研究してる。病棟もあそこにあったよ。」
「見てきたの?」
「うん。最初の散歩場所。」
と、第三研究棟の屋上に人が二人出てきた。
「誰だろ?」
「知らないの?」
「基本的に同じクラスの人としか接しなかったし。」
「あれ?初めて会った時誰かと話してたよね?」
「や、あれは向こうが勝手に話し掛けて来ただけで知り合いとかじゃないし。」
「そうだったんだ。」
見た感じではどちらも男の子の様だ。
「そういえばなんで水菜の制服そんななの?」
「ん?トッキーが色んなの見せてくれたよ?」
「そうなの?」
「うん。試着室みたいなのがあったよ。中の服も一杯あるし。白だけだけど。」
「うん、見せてもらお。」
そしてお弁当を食べてまたのんびり。
小春日和の陽射しに二人は昼寝までしていた。
「二人共!今何時だと思っているんですか!」
「ご、ごめんなさい…」
「しょうがないじゃん、寝ちゃったんだから。」
「しょうがなくはありません!良いですか!?あなたたちは…」
「(あんたは母親か…)」
この後、説教は一時間にも及んだという。




