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BLOOD HEAD〜不死になった彼とツン強めロリ吸血鬼は8人の最強魔術師たちと救世の旅をする〜  作者: 紙屋シキナ
第八章

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第八章「チェイス・ジェイル・ボックス」#8


死感遮絶(しかんしゃぜつ)!」


 切り返し転化した真中(まなか)は背後の光輪に手をかけ大剣を作り出すと、ルビアの心臓を握るアンシェルの右腕目掛けて振り抜いた。


「このような至近距離で長物を振り回すか。戦い慣れはしてないようだな」


 人差し指と中指で、全速の斬撃を受け切るアンシェル。


「転化のコントロールがやっと、といったところか」


「くそっ……」


 たったの指2本に挟まれたまま、いくら力を込めても刃先は微塵も動かない。そこへ光刃が連続して射出された。


 アンシェルの右腕を切断しながら、霧散(むさん)する魔力の残滓(ざんし)。落ちる心臓を取り返した真中が距離を取る。


「私の後ろに退がれ。対等に渡り合える相手ではない」


 その科白を象徴するかのよう、シルバートの手には既に聖剣が握られていた。グリップから左右に伸びる湾曲した刃。両端には張り詰めた弦が二本。先に見せた光刃を弓矢の如く撃ち放っていた。


「ここにいる騎士団長はシルバートだけか?」


「はい。他は藤澤砂夜を引きつけています」


「なら二人でやるしかないか」


「それも時間の問題かと」


「感応を使えば戦況把握は一発か。それで、約束のものは?」


「ここに」


 胸ポケットから一箱の煙草とキャンプ用のマッチ棒を取り出し、将子に手渡した。


「アメリカンスピリットのターコイズです」


 戦闘中にも関わらず、将子は一も二もなく煙草を一本加えてマッチを擦り、火をつけた。


 じっくりと味わうように煙を肺に入れ、大きく息を吐く。


「相変わらずの愛煙家だな。どういう状況か分かっているのか。自信の表れか、それとも私が舐められているのか」


 恍惚とした表情の将子に痺れを切らしたのか、アンシェルが起き上がり、問う。


「10年ぶりなんだ。黄金櫃(アーク)には持ち込めなかったからいいだろう、煙草の一本や二本」


「不死でない人間の自ら寿命を縮めるその行為には理解しかねる」


「そうでもないさ。煙草と健康被害に因果関係がないことは医学的に証明されてる。ヘビースモーカーだろうと生きるやつぁ生きるし、三食サプリ食ってても死ぬときゃ死ぬ」


 将子は煙を(くゆ)らせながら真中の頭にぽん、と優しく手を置いた。


「今まで母親らしいことをできなくてすまない。それから、初対面のくせして謝罪から入る母親をどうか許してやって欲しい」


「…………」


 初めて逢う写真ではない実物。何と返答して良いか適当な言葉がまるで出てこない真中を置いて、将子は口の端を上げ、大丈夫と言わんばかりに数回頭を撫でた。


「さぁて……シルバート、未来視で何か見た時は合図を出してくれ。推定の場合は右手。確定の場合は左手」


「承知しました。ですがあれは曲がりなりにも私の師。始末は今度こそこの手でつけます」


「頼もしい限りだ。じゃあ始めるか」


 将子が詠唱を始め空間を握り締めると、それを起点に黄金の刀身を持つ聖剣が姿を現した。


(はつ)るは常闇(とこやみ)にして陽光を取り戻す。自由は()った。命の散々も我が剣の前に力と成ると。今、常勝(じょうしょう)を高らかに謳え。絶対聖剣複製ーーエクスカリバー・レプリカント」




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