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オッサン勇者の恋心

 村ではずっと農業に精を出し、旅に出てからも女性と接触する事が少なかった所為か、紆余曲折あって同行者となった女転移者(クロエ)が可愛く見える。物珍しさも相俟って、そう錯覚しているのだと思っていた。だが現実はどうだ、日が経つ毎に更に彼女に寄せる感情は増えていくばかり。何という悪循環。だが自然と生まれる感情を抑えられず、想いの連鎖を止める事も出来ない。積もりに積もった想いは、いずれ理性の蓋を押し退けて溢れ出してしまうだろう。アランが恐れて止まないその時は、既に眼前に迫っている。


「ちやほやされるのに慣れてやがる」


 そう呟いたアランに、クロエはきょとんと首を傾げた。


「チヤホヤ?」

「周りから可愛がられるって事」

「この村のアイドルはシスター・ミカエラでしょう」

「…………」


 微妙に噛み合ってない会話に、アランはバリバリと後頭部を掻く。とりあえず『アイドル』とやらは人気商売という事は解るのだが。


「クロエ」

「何ですか」

「ちょっとこっち来な」

「はい?」


 クロエは突然アランに腕を引かれた。


「わっ!」


 当然クロエはバランスを崩し、男を下敷きにして床に転がった。自業自得で押し潰されたアランはぐぇと一声呻く。しかしそのまま「よしよし」と言いながら、まるで子供をあやすような手つきでクロエの背中をぽんぽんと叩く。


「お前はえらいよな、よく働くし」

「はぁ?」

「みんなアンタが可愛いのさ」

「アランさんどうしたんですか? さっきから何か変ですよ」


 訝し気なクロエは、特にこれといった抵抗も嫌悪も見せず、草臥れた中堅勇者の腕の中に大人しく収まっている。


「……年を取ると心が狭くなって嫌だねぇ」

「何の話ですか?」

「何でもねぇよ」


 アランはクロエの背中を抱きしめたまま、まるで独り言のような溜め息を吐いた。

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