シンデレラと魔法使いに祝福を
プロポーズが終わり、緑色の婚約書が書かれてヴァーンズ家とハワード家の間で婚約がされたものの、王を通しての婚約は少し時間がかかり、赤色の婚約書を提出し、結納を終えるまでに2ヶ月掛かりました。
それから2人の結婚式のため、日時やセットの取り決め、来賓への連絡と王家も携わっての大掛かりで準備がされることに。
そして、エラとヴィオルは衣装を決めたり、結婚式の確認や予行をしたりとこちらはこちらで忙しくしておりました。
「エラお姉様のウエディングドレスはどれが良いのかしら。やはり王道のAライン型? ここは華やかにベル型かしら? 意外とスレンダーも似合いかも」
「リリアーヌ、私は短いドレスや上と下が別れているものが良いな。着やすそうだし、私に合う気がするの」
「どちらもエラお姉様に合いそうですが、流石に王族の結婚式だからちょっと不味いかも……」
「分かったわ。じゃあシンプルなドレスの方が私に似合いそうね」
「そうですね、ならやはりA型が1番ですかね。そうなるとデザインは形がシンプルな分、刺繍は華やかなにして……」
ファッションに関して疎いエラは、ここでもリリアーヌに協力してもらうよう頼みましたが、リリアーヌはエラよりもテンションが高く、真剣にエラのウエディングドレスのデザインを考えていました。
エラは単純に興味を惹かれたものを言うだけですが、王族の結婚式となるとやはりエレガントが重視になってしまうのか、カジュアルが好みであるエラの意見はあまり反映されないまま進んで行きます。
それでも素敵なデザインを見ると、エラはそれの虜になってしまい、それを着たいと思うようになっていました。
「あとはベールやブーケも決めて……。あとサムシングフォーも意識しないとね」
エラはサムシングフォーという言葉を聞いて、プロポーズの時の服装がまるでサムシングフォーみたいだったなと今ふと思いました。
あの時の服装を当てはめた時に、サムシングオルドとして母が昔使用していたヘアピン、サムシングボローとしてリリアーヌのドレス、サムシングブルーでサファイアのイヤリング、そしてサムシングニューで婚約指環。
ヘアピンはたまたま見つけたもので、ヴィオルに会う数十分に前に付けたものなので、リリアーヌが意識していないのにも関わらず、こんな風に重なるなんてまるでもうヴィオルの花嫁になることが決まっていたかのように感じてしまいます。
また改めて違うサムシングフォーを結婚式と本来行うところでもう1度出来ると思うと、エラは嬉しくなるのでした。
こうしてどんどん月日は流れて行きますが、この間にエラは勿論のこと、ヴィオルもそれぞれ結婚式を行う前から疲れが溜まっていきます。
しかし、準備が進んでいくうちに2人とも緊張感が高まっるものの、同時に高揚感も高まっていくのでした。
そして、正式な婚約をしてからようやく半年後に2人の結婚式が行われることになりました。
行う場所は、1番格式のある神殿。
そろそろ2人の結婚式が始まります。
「エラ、そろそろ準備出来た?」
「もうバッチリよ」
ヴィオルはエラのウエディングドレス姿を見るとその美しさに息を呑んでしまいます。
実は予行演習は数回行われたものの、ウエディングドレスは1週間前にようやく出来ため、どんなデザインのウエディングドレスを着るかは知っていたものの、実際に着たエラを今初めて見たので耐性が無かったのです。
ウエディングドレスはトレーン無しの足元までの長さまでのA型ラインであり、刺繍はマーガレットの花が全般的に入っておりました。
また、ベールは短めでシンプル、胸元には形は少し古いものの大きなダイヤモンドのネックレスが輝いており、ブーケには刺繍の入れてあったマーガレットやカスミソウの他にブルスターが取り入れてありました。
全般的には華やかさはないものの、可憐さが全面的に押し出されているため、小柄で可愛いタイプであるエラにピッタリ。
その姿にヴィオルは見惚れてしまいます。
一方でヴィオルは、白いタキシードを着ており、ブートニアにはお揃いのマーガレットを挿しておりました。
いつもは美人のヴィオルを見ているため、今までで1番格好良いヴィオルにエラも見惚れてしまいます。
そんな中、時間は迫ったため、それぞれの場所に向かい移動し、始まるまで待つことになりました。
2人の緊張が高まる中、時間になり音楽が奏で始めました。
まずヴィオルが1人で式場に入り、礼を済まして式壇に上がり待機します。
ヴィオルの様子を見て、前公爵がエラに確認を取ると、エラは一呼吸置き、首を縦に振りました。
前公爵は腕を差し出し、エラは自身の腕を組むと前公爵は、ヴィオルの兄の子どもである6歳のフラワーガールに声をかけて進むように促し、彼女はその指示を受けて少しずつ前に進みながら花を撒いていきます。
エラは彼女の懸命に花を撒いていく姿に可愛いと見とれながらも、彼女の続いて前公爵がゆっくりと前に進み始めたため、エラも気を取り直してその速度に合わせてゆっくりと前に進みました。
少し前に進むと来賓が見え、3人は式場に入って行きます。
エラは予想以上に多い来賓の数と大きな歓声に圧倒され、胸が引きちぎれそうなほど胸の鼓動が早まり、思わずブーケを強く握ってしまいました。
しかし、それでも自分はこれから王族の一員になるのだからと、ヴィオルの妻になるのだからと思うと、自然と背筋が伸びて堂々と前に進んで行きます。
その堂々とした姿に、来賓は歓声が漏れ、更に雰囲気が高まっていきました。
階段に近づくと、前公爵が腕を組むのをやめてそっとエラから離れて後ろに下がります。
エラはまた一呼吸整えながら、ゆっくりと階段を上り、ヴィオルの隣に並びました。
すると音楽が鳴り止み、神官の朗読が始まります。
この時、エラは勿論のこと、ヴィオルもここまで来賓が来るとは思わず、緊張していたため、神官の言葉はあまり耳に入って来ないまま数分時間が経過してしまい、2人は神官が誓いの言葉が始まると更に緊張を高めました。
「ヴィオル・アーサー・ジェームズ・ハワード、あなたはエラ・アン・ヴァーンズを妻とし、病める時も健やかなる時も、愛を持ってお互いに支え合うことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「エラ・アン・ヴァーンズ、あなたはヴィオル・アーサー・ジェームズ・ハワードを夫とし、病める時も健やかなる時も、愛を持ってお互いに支え合うことを誓いますか?」
「はい、誓います」
2人は意外に声や体が震えることは一切なく、共に力強い返事で誓い合います。
「では、指輪交換を」
その言葉と共に2人は向かい合いました。
エラはグローブを左から外して介添人に渡し、右も同様に行いグローブを外します。
すると、ヴィオルの兄の子どもである4歳リングボーイが、2つの金の指輪が載ったリングピローを持ってやってきした。
彼が来たことを確認すると、エラが左手を差し出し、ヴィオルが指輪を取って、エラの薬指に指輪をゆっくりとはめました。
同様にヴィオルが左手を差し出し、エラがもう1つの指輪を取って、ヴィオルの指輪を薬指にゆっくりとはめます。
エラは婚約指環とは異なる結婚指輪の感触を体感し、ヴィオルは初めて指にアクセサリーを付ける結婚指輪の感触を体感しました。
「それでは、この結婚証明書にサインを」
2人はそれぞれ自身の名前を記入すると、神官がトレーに入れて介添人に持って行かせます。
この結婚証明書とは婚姻届けのことであり、たった今2人は、法律上夫婦となりました。
「本日、2人を夫婦として認めます」
ヴィオルがエラのベールをゆっくりとめくり、2人は唇にウェディングキスをすると、2人が式場に入って来た以上の歓声と拍手に包まれてお祝いされます。
この時、2人はその大歓声に驚きながらも、自分達はこんなに多くの人にここまでお祝いされているのだと実感したのでした。
その後は神殿を出て豪華な式場に移動し、次は披露宴です。
2人は多くの来賓と接待するのは大変でしたが、多くの祝福を贈られ、心の底から幸せだと感じました。
こうして、2人の結婚式と披露宴は無事に終えることが出来たのでした。




