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人機のアストライア  作者: 橘 雪
EP3『オペレーションライトニングストライク』

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36/127

36: EP3-12 ブロークンアロー─始動

私達に休んでいる暇はない。

奴らに勝利するまでは。

コロニー協定連合体 "CAU"

ライトニングストライク作戦

1日目

西暦3020年3月18日、協定宇宙時(STC)21:00

火星(マーズ)上空、軌道エレベータブラボー上部ステーション宙域

CAU艦隊


ブロークンソードは終結し、ブロークンアローが『始動』する



──Side: 三人称視点、CAU正規軍艦隊総旗艦『トップキャップ』



CAU艦隊総旗艦である『トップキャップ』の艦橋では次なる一手を決めるべく、通信を介した会議が行われていた


『よし、報告してくれ。』

『宙域に敵艦隊及び敵バトルワーカーの反応は確認されない。』

『セイバー艦隊も同様だ。』

『上部ステーション内部はもぬけの殻だ。 想定通りだが、軌道エレベータは地上側からシステムがロックアウトされていてアクセスできない。』


ESF艦隊の後退より約1時間半

CAU艦隊は軌道エレベータブラボーの上部宙域、そしてそのステーションを制圧していた


『報告ありがとう。 艦隊はこのままステーション付近に留まり敵艦隊の再攻撃に警戒する。 ステーション内部も軌道エレベータが再起動されないか警戒要員を残すとしよう。 何か意見はあるか?』

『こちらは特にはない。 隊列を組み直して防衛に当たろう。 トップキャップ、追って指示を頼む。』

『陸戦隊も了解だ。 メンバーを選抜し残りは降下要員として艦隊へ戻す。』

『セイバー連隊も了解だ。 こちらもブロークンアローの準備を進めている。問題がなければ21:30より開始する。』


ブロークンアロー作戦

セイバー連隊の選抜チームによる決死の降下作戦だ

火星大気圏内まで降下艇(ドロップシップ)によりバトルワーカー隊を輸送し、そこから一斉に降下を開始する

そのうち一機がこの作戦のために用意されたEMP弾を運搬し、迎撃不能高度からそれを発射する

それにより地上側の軌道エレベータ基地を機能停止させ、その後全部隊を一斉に降下させ最終決戦である『ブロークンフォートレス作戦』へと進行する手筈だ


『ブロークンアロー了解した。 それまでに降下準備を整えさせよう。 陸戦隊、いいな?』

『了解だ。 早速だが準備に取り掛かる。 失礼する。』


陸戦隊の指揮官が通信を閉じる


『こちらもバトルワーカー隊を降下艇に搭乗開始させる。 トップキャップ、艦隊の件はまた。』


続けて艦隊副司令であるアルファの艦隊長も通信を切断した


『...さて、ウィルクス艦隊長。』


トップキャップが周囲に聞こえないように声を潜めて言う


『なんだ?』

『本国より連絡があった。 ファイターの輸送艦隊がエリスを出発した。 低プロファイルを維持するために到着には時間がかかるそうだ。』

『...そうか。 敵を欺くためにはまず味方を欺く...か。』

『本部からの指示だからな...』

『了解だ。 こちらも隠しておく。 ...あぁ、エンスウェンには言っておくぞ?』

『分かった。 よろしく頼む、ウィルクス艦隊長。』






──Side: 三人称視点、火星軌道上、セイバー連隊大型降下艇(ドロップシップ)



「急げ! もうすぐブロークンアローが開始される!」


選抜チームのリーダー、それは言うまでもない

エル・シオンハート特務准将だ


「降下チーム各機、A-EMPコート最終チェック!」


Anti-Electromagnetic Pulseコートと呼ばれるのはこの作戦のために用意された1度きりの装備だ

機体全体に薄くコーティング剤を塗布することで、1度きりだがEMP─電磁パルス─に耐えることができるようになっている


ドロップシップのハンガーでは整備兵、そしてパイロット達が慌ただしく駆け回っている


「シオンハート特務准将、HALL(ハル)弾準備完了です。」

「よし、私のマリエルに装備してくれ。 1番確実だ。」

「了解! おーい! こっちだ! こっち持ってこい! マリエルまでだ!」


整備チームのリーダーがシオンハートにこの作戦における最重要装備の準備完了を伝える

HALL弾──この作戦のために急遽調達された、所謂電磁パルス兵器である

高高度降下低高度発射弾、その略称であるHALLと命名されたこの兵器は、バトルワーカーが運搬可能なサイズに調整された小型電磁パルスミサイルだ

小型と言っても、全長5mとバトルワーカー用としては大型の部類だ

シオンハート特務准将のマリエルが全高8mちょっとでしかないのを考えれば、機体サイズの半分以上とも言える

ひとたび起爆されれば、範囲内の対策をしているような電子機器ですら破壊するほどの強力な電磁パルスを発するものだ


整備チームのリーダーがそれを載せた台車を率いマリエルのほうへと向かっていく


「さて... 次は...」


シオンハートが周囲を見渡す


「シオンハート!」

「ルプスレフィアか。 どうした?」


第2大隊長、ルイナ・ルプスレフィアがシオンハートに駆け寄る


「こっちは準備完了、いつでも降ろせるよ。」

「分かった。 第3大隊はどうだ?」

「第3も完了だ。 ネイヴィガーも全員居る。」


そこへ第3大隊長であるリグ・マルコシアスも歩み寄る


「了解だマルコシアス。 ならどっちも大丈夫だな。 ブロークンアローが成功すればすぐに合図する。」

「頼んだぞ、シオンハート嬢。」

「弾薬満載で駆けつけるからね。」


セイバー第2、第3大隊の一部は共にドロップシップで火星大気圏へ降り、ブロークンアロー成功と同時に先鋒として降下する手筈だ

それらが敵の抵抗を捌いている間に、正規軍、セイバー連隊の全部隊が降下し一気に基地を制圧する

正しく、ブロークンアローとブロークンフォートレスは休む間もない連続遂行だ


『ドロップタワーよりシオンハートへ。 降下まで10分だ。』

「了解、ドロップタワー。 後5分で着く。」


ドロップタワー、それがこの降下艇の部隊降下を指揮するオフィサーのコールサインだ


『シオンハート特務准将、本艦はこれより火星大気圏へ突入します。 指定ポイントは敵対空防衛圏外ですが、不測の事態に備えてください。』

「了解だ。 信じてるぞ。」


シオンハートはドロップシップの艦長とも通信をやり取りする


「それじゃ、私は戻るね!」

「俺も戻って最終確認に入る。 幸運を、シオンハート嬢。」

「あぁ。」


ルプスレフィア、マルコシアスがそれぞれのハンガーへと戻っていく


「さて...それじゃ私も乗るとしよう。」


───


『シオンハート、作戦プランをどうぞ。』

『あぁありがとう、ディケ。 ローランドには?』

『気づかれていませんよ。 システム的には私が上位ですから。』

『...いつ言うんだ?』

『まだ何とも。』


自機であるマリエルのコックピットで、シオンハートは何故かローランド機、ライブラのAIであるはずのディケと話していた

通信モニターには確かにディケのアバター体が映っている


『...まぁいいさ。 ふむ、対地高度...1200メートルで発射か。』

『HALLは200メートル進むと起爆します。 起爆推奨高度が1000メートル程度ですのでこう設定してあります。』

『現在高度は...7000メートル。 敵の対空防衛網がどれほどかだな。』

『想定ができませんね。 まぁ、軌道エレベータ基部ですから... 相当なものでしょう。』

『だな。 ...ディケ、ローランドを頼むぞ。 アイツは...将来的には切り札足りうる。 今はまだ...危ういがな。』

『...やけに信頼していますね。』

『純粋な私に追いついてきたのはアイツが初めてだ。 ...いつの日か本部で見せてやるべきだろうな。 スノーだって構わないんだろう?』


シオンハートがそう言いながらモニターにもう1つのウィンドウを開く


『...まぁね。 じゃなきゃあんな計画にサインはしないよ。 それがいかにジャッジメントに有用であろうともね。』


そのウィンドウには白いツインテール、青い目の少女が映っている


『ま、言うと思ってたさ。 さて、お喋りは程々としておこう。』

『では、私は向こうに集中します。 ご武運を、シオンハート。』


ディケの映るウィンドウが閉じる


『頼んだよ、シオンハート。 ...でも何か...嫌な予感がするね。』

『嫌な予感?』

『うん。 ...何かに妨害されてる。 視えないんだ。』

『なんだって?』

『デイモスの連中が何か仕掛けてるね。 警戒しておいたほうがいい、シオンハート。』

『スノーが言うのなら、受け取っておこう。』

『あぁ、頼むよ。』


白いツインテールの少女のウィンドウも続けて閉じ、モニターが暗転する


『ドロップタワーよりマリエル。 2130、作戦時刻だ。』

『了解。 チーム、ドロップデッキへ入れ!』


マリエルがハンガーを離れ、ドロップデッキへ向かう

通常であれば降下用のドロップポッドを使うところだが、今回は自由落下で降下が行われる


『特務准将! HALLの最終安全装置を解除しました、取り扱いには注意を!』

『了解だ。 パラシュートも完璧だな?』

『もちろんです! 全て完璧、いつでも降りられます!』

『最高だ。 各機、準備はいいな!』


シオンハートの号令にそれぞれ部隊が応える


『もちろんです!』

『いつでも行けるぜ、大隊長!』

『デカい花火をお見舞いしてやろう!』


シオンハートがそれにコックピット内で1人頷き、そして


『ドロップタワーより各機、ハッチを解放する!』


大きな音を立ててドロップデッキのハッチが開いていく

外には遠くに軌道エレベータが見えている


マリエルがハッチに近づく


『...行くぞ、ゴー! ゴーゴー!』


シオンハートの号令と同時に、マリエルが駆け、続けてチームが一気に外へと飛び立った



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