35: EP3-11 ブロークンソード─成すべき使命
ヒトでないモノが、最後に見出す果てが人の形であるのは何故だろうか?
コロニー協定連合体 "CAU"
ライトニングストライク作戦 ─ ブロークンソード作戦
1日目
西暦3020年3月18日、協定宇宙時19:46
火星近傍宙域、CAU-ESF艦隊交戦宙域近傍
エル・シオンハート、クロノス
『時間稼ぎか?』
『そりゃあね?』
Side: シオンハート
『...いくら先を行っても...』
確かに事実だ。
いくらやっても先を取れない。
「クロノス、そちらこそどういうことだ?」
『さぁねぇ〜』
私は間違いなく攻撃を当てている。
サブマシンガンも、ソードもだ。
サブマシンガンは当たっても効いているような気がしないし、ソードも当てたが...
斬れなかった、いや...斬った傍から修復しているようだった。
『んー...』
もちろん焦ることは無い。
時間稼ぎ、あるいは戦場へ目を向けさせないことが目的なのは私もクロノスも同じだ。
...互いに相手を倒すことも。
「ちぃっ...」
危ないな...
掠ったか?
『埒が明かないなぁ。』
打開策はあるのか...?
Side: 三人称視点
クロノス機─フェリシア─が手にしたハルバードを振りかぶり突撃する
途中で忽然とその姿が消え、直後シオンハート機─マリエル─の背後に出現する
『させるかぁ!』
マリエルが振り向くことなくその場から消え去り、直後にフェリシアの背後へと現れながらその背に押し付けたサブマシンガンを連射する
『おっととと...』
しかしその装甲には穴が開く所か傷つくことすらない
そのままフェリシアがハルバードを背後へと振り回し、マリエルに直撃する
だが、これもマリエルが刃を掴み抑え込む
『っ!? だが貰った!』
シオンハートが何かに驚くも、ハルバードを掴んだまますぐにその場から消える
『ん!?』
何かを察したクロノスがフェリシアの手からハルバードを放すと、それもマリエルと一緒に消えてしまう
『...これは...やられたね。』
フェリシア──クロノスの対面にマリエル──シオンハートが現れる
その手にハルバードはないが、代わりに自身のソードが握られていた
『クロノス、聞かせてくれ。』
『何かな、シオンハート?』
シオンハートが構えを維持しながらも通信を開き問い始める
互いのコックピットの通信モニターには互いの顔が映っている
『お前もトラベラーの1種だろう? ...そもそも、トラベラーという言葉の意味を理解できるんだろう? 誰から聞いたんだ?』
『んー... ルミエールって知ってる?』
『ルミエール? ...そうか。 やはりデイモスに与しているか。』
『そう。 今はね。』
『今は?』
『目的があってね。 利用できそうだったからさせて貰ったんだけど... ちょっと後悔してる。』
『仲間ではないと?』
『そうとも言うね。 いやでもほんと、シオンハートがこんなに強いなんて聞いてなかったよ。』
『...』
フェリシアが肩を竦めるような動きをする
『そうだ、シオンハート。 もし良かったら...そう、スノーとかいうのに話しといてくれない?』
『何をだ?』
『シトラスとやらと...後、ジャッジメントだっけ? まぁ、そっちとやる気はないってさ。』
『ならさっさとここから出ていったほうがいい。 素直に出ていけば手を出さないようにぐらいなら言ってやってもいい。』
『...そうもいかないんだよね... やる事がまだあってさ。』
『なら無理だな。 スノーは聞かないさ。』
『そっか。 ...ん?』
クロノスが隣のモニターに顔を移す
『あれ... 撤退命令か。 さすがに聞いておこうかな。』
『待てクロノス、話は終わってない。』
『それじゃね、シオンハート。 また会えるよ。』
『待て! ...逃がしたか。』
フェリシアの姿はもうどこにも無かった
『...ちっ...』
シオンハートはマリエルの向きを変え、艦隊方面へ移動する
歯切れの悪さを覚えつつ...
Side: クロノス
「な...なにあれ...」
有り得ない。
でも。
「間違いない...アレって...」
どうして...?
「どうしてあんなのがここに...?」
...ウィルクスは知ってるの?
それとも...
『カマエルにも言わなくちゃ。』
想像できなかった。
...手を出すべきじゃなかった。
本気を出されたら私ぐらいじゃ...
Side: シオンハート
「スノー、どういう見解だ?」
「んー...何だろねアレ。 時間操作系なのは間違いないんだけど、解析できないね。」
「そうなのか? 確かに、私もアレは対策しづらいな。」
「うんまぁ、私も時間かければ別だよ。 もっとデータが欲しい。」
「そうか。 まぁ、私も上手くやっておく。」
「頼むよ、シオンハート。 ところでさ。」
「ん?」
「さっきさ...熱くなるのは構わないんだけど... さすがに『出さない』で欲しいかな?」
「...もしかして...」
「あーうん。 背中から出てたよ。 さすがの私だってアレは影響あるんだからさ。」
「...謝っておく。」
「お願いね、シオンハート。」




