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人機のアストライア  作者: 橘 雪
EP3『オペレーションライトニングストライク』

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34/129

34: EP3-10 ブロークンソード─決死線

実力には限りがある

それでも、諦めないことだ

コロニー協定連合体 "CAU"

ライトニングストライク作戦 ─ ブロークンソード作戦

1日目

西暦3020年3月18日、協定宇宙時(STC)19:31

火星(マーズ)近傍宙域、CAU-ESF艦隊交戦宙域

最前線、ライデン隊



Side: 三人称視点



ESFバトルワーカー隊は苛烈な攻撃と相対していた

CAUバトルワーカー隊は持てる戦力を一気に投入し決着をつけるつもりだ

もし自分たちが突破されれば圧倒的な数を誇るCAUバトルワーカー隊に艦隊は蹂躙されるだろう、という覚悟の元、決死の防衛線を張っていた


そのうちの1人が、ライデン隊のユウ・リヨンであった



『こっ...のぉ!』


リヨン少尉のバトルワーカー、ネアス・アドニスは良くも悪くも標準的だ

どこかの大隊長のような極端なスラスターではない標準的な機体に、標準的な27mmライフル、そしてこれも標準的な強化鋼製の3mソード、更に左肩にマウントされた標準的なサイズのショルダーシールドというあまりにも標準的すぎる装備だ

標準的がゲシュタルト崩壊しそうだ


『少尉! あまり前へ出るな! 的にされるぞ!』

『了解少佐!』


ライデン隊は最前線にてその防衛線の維持に当たっていた

既に防衛線と定めた境界は複数突破され、猶予はそう残されていなかった


切りかかってきた敵を対するリヨンもソードで弾き、返す形で逆に切り裂く

相手の数が多数である以上、ライフルの残弾も無駄にはできないからか、自然とソードを使うことが多くなる


『グルーバー、チェスター、聞け。』

『何でしょうか、少尉殿。』

『無理だと感じたらすぐに退け。 俺と少佐、大尉でしっかり前は張る。 もし退くなら後ろから援護してくれればそれでいい。』

『わ、分かりましたリヨン少尉。』

『了解です少尉殿。』


グルーバー准尉、チェスター准尉はまだ訓練校を出たばかりの新兵であり、リヨンもそうだが、ハーネル少佐、ブルックリン大尉もさすがに無理をさせる気はなかった


『...しかしあのクロノスってのはどこに行ったんだ、クラウス?』

『いや... 今は気にしている場合ではないな。』

『何を隠してる、クラウス?』


長く付き合いのあるブルックリンだからか、僅かなその違和感に気づいたのだろう


『...すまないな、エルマー。』

『あぁもう分かった分かった。 そんな申し訳ないような顔をするなクラウス...』


ハーネルが何かを隠しているのはまず間違いはないということだ

リヨン、グルーバー、チェスターも上官達のこの会話に割り込むことは当然だができなかった


『7時方向! 敵機接近!』

『またおいでなすったか、いっちょシメてやろう!』


ハーネルの号令にブルックリンが威勢よく応える


『よし、2人とも... 気を引き締め直しておけ。 行くぞ!』

『了解!』

『りょ、了解!』




1機、また1機と倒れてゆく

悲しいかな、実の所全体的な練度で見れば、CAUのが一枚上手だったのだ


確かにESFには目を見張るようなエリートパイロットもいただろうが、それ以外の差が出た

何より、宇宙はCAUの領域だったのだ




『1機撃墜!』


敵機のコックピットに真っ直ぐに突き刺したソードを引き抜き、即座に距離を取るリヨン

EWE反応炉は誘爆することはないのだが、そんな事は知るはずもないESFでは撃破した敵機からは即座に離れるように教導されていた

だが、機械という1部位を破壊しただけでは無力化に至らないバトルワーカー同士の戦いにおいて、明確な弱点であるコックピットだけを的確に貫くというのはそう簡単に為せる技ではないが、リヨンはそれすらをも為していた


彼らは、ライデン隊は十分に戦った

だからか、それに気づいていなかった




『なに...? ...了解した、司令部。』

『クラウス?』

『聞け!』


ハーネルが全員へ一斉に通信する


『艦隊司令部が撤退命令を出した。 バトルワーカー隊は現時点を持って戦闘を中断。 軌道エレベータまで後退し地上へ降りろとの命令だ。』

『地上へ? 艦隊はどうするんですか、少佐?』


リヨンがもっともな質問を投げかける


『艦隊は... 軌道エレベータアルファの上空へ退却し、再編を試みる。 損害率が許容範囲を越えたようだ。』


艦隊司令部の命令は言い換えてしまえば、軌道エレベータブラボーの宇宙側を放棄するということだ


『...了解です。』


リヨンにとって、自分たちはまだ戦えるが、味方にその余裕がなくなりつつあるのもまた理解ができないわけではなかった


『よし、敵に警戒しつつ後退を開始する。遅れるな!』






───FFRよりHQへ、現地より戦況報告


交戦開始より約3時間半経過

CAU艦隊損耗率 ─ 20%

ESF艦隊損耗率 ─ 27%


ESF艦隊が後退を開始した

同時にバトルワーカーが軌道エレベータへ向かっている

軌道エレベータ上空はCAUが制圧するものと推測する


監視を継続する


───FFR、通信終了

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