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この異世界が『格闘ゲーム』すぎるので荒らしをガン処理する―《まほうしょうじょ》は『魔法使い』―  作者: 待雪 妥当
第5章 魔法使い

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第48話 汝、■■■を×せよ<2>

 「あー、その、自己紹介したほうがいいよね??」


 最悪の再会に割り込むように《荒使(あらし)》と化したスティルと倒れたソアレの間に立っている。そんな更なる乱入者におれは目を疑った。


(マジで、そっくりじゃねぇか)


 声に出してしまいそうになるのを堪え、その目の前に立っている合わせ鏡のように何もかもがおれと瓜二(うりふた)つの偽者の《まほうしょうじょ》を見ていた。


 髪は白く、衣装は黒い。黒い髪と白い衣装のおれとは真逆だ――なんだなんだ?? 色違いで見た目は同じとか……さすがにちょっと手抜き(コンパチ)すぎんか??


 しかしそれは格ゲーではよくあることだ。


 ただ手抜きと言ったのは失礼すぎるので失言を許して欲しい。見た目は似ていても、色が違うだけで中身が全く同じということはないはずだ。これまでの格ゲーでも中身の性能が違ったり、見た目は同じでも操作そのものが全くの別物の場合もあるからな。


「ボクの名前はミソギ。えーっと《まほうしょうじょ》っぽく見えるけど、こう見えて実は《荒使》だよ」


 そして大袈裟に両手を開いて、おれにそっくりの《まほうしょうじょ》ではなく《荒使》がそう名乗った。


 未だに正体不明の怪物は人の形をした顔は怪物でも、《まほうしょうじょ》たちとそう変わらないサイズの《兵士型》――そして異形の怪物へと変異している《変異型》とこれしか種類は知らなかった。


 だが目の前に立っているミソギと名乗る存在は見た目は本当におれら《まほうしょうじょ》と何ら変わりないというのにこいつは自分のことを《荒使》だと言う。どうなってるんだ。


「意思疎通できる……《荒使》か――」


 そして槍を構えるフルカノンのパイセンが、ミソギと名乗る見た目は《まほうしょうじょ》だがおれたちの敵である《荒使》ならば容赦はしないと睨んでいた。


「なら、私が相手をしよう」


「ああ、お姉さんがボクと? うん、いいよ」


「……いいのかパイセン、おれが――」


「おまえならどんな動きが見れば対応できる……そうだろう?」


 そりゃそうだけど……でもそれは格ゲーの話であってそれ以外のことはわからない。しかしこれまでも観戦から得た情報は全ておれの知っている格ゲーの知識でどうにかできた。パイセンは先陣を切ってくれることで後のことを考えてくれている。


「じゃあお姉さん、負けたらどうする?」


「負けることなど考えてはいない」


 だがパイセンもおれと同様に負けるために戦うようなヒトではない。むしろそのままあんなおれと同じ顔をしたヤツなんてボコボコにしてくれた方がいい。おれも見てて気持ちが悪い。


「そっか。じゃあボクが負けたら何でも答えるよ。その代わり、お姉さんが負けたら……ボクの玩具(おもちゃ)になってもらおうかな」


 その提案、釣り合ってんのか?――しかしあの謎の自信。だがおれはパイセンを見てみればパイセンは笑っていた。


「二言はないな?」


「無いよ――でも()()したなら、もう逃げられないよ?」


 それはお互いに戦うことを了承したという意味。


 対戦はそうして行われる。別に言葉にする必要はない。だから《荒使》との対戦も別に正面から互いに戦意を向けるだけで成立する。それなのにやけに強調してミソギは言う。


「だ、だめ……」


 しかしソアレに寄り添うように座り込んでいたルミアが、対戦するのを反対していた。ルミアの顔色はとても悪かった。ミソギを前にして血の気がなくなって青白くなった顔をしている。


 そんな様子のおかしいルミアを前にミソギは考え込むように首を傾げて、


「あー、えーっと……そういや一体だけ帰って来ない《まほうしょうじょ》がいるなぁ……って思ってたけど、キミっぽいね」


 だが、その言葉でさすがのおれも理解できた。《まほうしょうじょ》を失踪という形で行方不明にしている原因はこのミソギという《荒使》で間違いない。


「キミ……つらいからって荒使(こっち)に逃げたのに、もうそっちに逃げてるじゃん。なんか逃げてばっかりだね??」


「う……うう……」


 ルミアを《荒使》の身体に取り込ませて、挙句、本体すらも操って――なのに嘲笑(あざわら)うように口に手を当ててもう片方の手で指差していた。


「きみがもういやだって言うから……《まほう》だけ上手く使ってあげようとしたのにさぁ――おっと、ネタバレになるしボクに勝ったら続きを教えるよ」


「ルミア……心配するな。私は《金色(Sランク)》だ。トリノには負けたが、あれから私も鍛錬は怠っていない。勝つさ」


()()()()()っていうんだけどねぇそれ」


 パイセンのセリフに対してミソギは小馬鹿にしているが、おれはその言葉に反応していた。


 ――死亡フラグって言葉こっちにもあるのか?


 そしてミソギの服装は確かにおれと同じだが、唯一違う点は袖がブカブカで手が見えないほどに長い。そんな袖口から垂れるように黒い触手のような細い異物が見える。


 ミソギに対して思うところがあるが、いまは目の前の対戦に集中しよう。パイセンは槍を構え、ミソギはそんな袖口から垂れ下がる触手を伸ばしたり縮めたりを繰り返している。


 そしてパイセンとミソギの対戦が始まった。

明日は二話投稿を予定しております。


もしこの後の続きも読んで頂けるのでしたら


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ブクマもしてもらえると頑張れます。


いつも反応くださるみなさまのおかげで毎日投稿は継続できております。本当にありがとうございます。それでは次回もよろしくお願いします。

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