表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この異世界が『格闘ゲーム』すぎるので荒らしをガン処理する―《まほうしょうじょ》は『魔法使い』―  作者: 待雪 妥当
第3章 最弱ヒロインを勝たせます

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/58

第23話 おれが、勝つだけの話<2>

「まて、まってくれ……」


 だが、そんなおれとパイセンのせっかくの対戦の間に割り込んでくる不届き者がいる。


「もう、いちど……もういちどだけ、ソアレと対戦させろ! 認めねぇ……ワタシは――」


 もう負けたんだから邪魔だしどっか行けって思ったが、フルカノンのパイセンの視線はまるで汚物を見るかのごどく冷え切っている。


「ソアレは正々堂々とお前に真正面から立ち向かい、そして勝った。お前はなにをしていた? どうせ勝てるとあぐらをかき何もせず、油断し、慢心し、その結果がこれだ」


 そしてパイセンはスティルの胸倉と掴んで、


銀色(Aランク)まで上がったのも、実力だけでなく……他の《まほうしょうじょ》と組んで、不正に勝ち数を稼いだからだそうだな」


 パイセンも聞いていたのだからそりゃ知っているだろうよ。スティルは何も言い返さなかった。


「いや、別に何をしてもいいさ。私は別に構わない――」


 だがパイセンはそれに関しては怒りを露わにすることはなく、


「だがその首輪(カラー)に見合った実力ではあるべきだ」


 そしてパイセンはおれを見て、


「構えろ。矯正してやろう……なに、すぐ終わる。トリノ、暫し待て」


 せっかくやる気MAXだったのに、自身の負けを認められないおれも最も嫌いな立ち回りをするスティルには正直もう関わりたくはない。ここはパイセンに任せよう。


「私に一発でもその糸を当てれば今回の件は不問にしよう。しかし当てる前に私がお前に触れれば……おまえも一からやり直せ。ソアレのように……灰色(Dランク)から――」


「ほ、ほんとう……ですね?」


「周りも聞いているだろう? 嘘など言わん――どうする??」


 その言葉にスティルは今ま散々と絶望していたくせに、スイッチが入ったように糸を展開するのだが、


「だれがあんな落ちこぼれ(ソアレ)と同じ首輪(いろ)なんかぁ!!」


 しかし糸を振り回すよりも先に、パイセンは何かしていた。


 フルカノンのパイセンの手が光ったころには、何が起こったのかもわからずスティルは地面の上に横たわっていた。


()ね――せっかくの対戦に水を差すな」


 瞬間で決着はつき、横たわるスティルは放置されたままパイセンがおれに向き合う。


「すまんな、これは私のせいだな。勝つためなら何をしてもいい――だが、それは勝つために反則行為をしても、というわけではない。今後はもっとそのあたりの監視も怠ってはいけないと痛感した」


 対戦は勝つか負けるかの二つしかない。そして勝つためにおれたちは日々考え、動いている。純粋な勝ちに対する望みを叶えるために――真っ直ぐに相手を見据えて戦う。勝ち負けがある以上、対戦は相手がいて初めて成立する。


「おれの世界にもいた。段位(ランク)を上げるために、わざと勝ち数を稼ぐためだけに中身のない対戦を繰り返すやつも。数字を稼ぐためだけに……そんなことをして、何になるんだってな……」


 しかもついにはもうゲームセンターではなくネットを通して対戦できる環境も整ったことで第三者の見えないところでそれが出来てしまうおぞましいこともあった。


 おれたちはただ勝つか負けるかを楽しみたいのに――称号だの段位だの、そっちの飾りもののために悪手に染めるやつもいたが、この世界にもいるのはやっぱり残念だ。


「さっさと連れていけ」


 そして倒れているスティルを取り巻きの《まほうしょうじょ》たちが慌てふためいて連れて帰った。


「……本当に、反吐の出る横槍を入れられてしまった」


「まぁ……切り替えようぜ。おれたちは違うだろう?」


「ああ、まったくだ」


 そしておれは拳を構える。


 対戦が成立していなかったから、パイセンがスティルを瞬殺した方法はわからなかった。だが、そんなものは実践でわかればいい。


 おれはただこの目の前にいる最も強い金色(Sランク)と戦いたいだけなんだから。


 だが、負けるつもりもない――ここからが、やっとおれの出番(ターン)だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ