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この異世界が『格闘ゲーム』すぎるので荒らしをガン処理する―《まほうしょうじょ》は『魔法使い』―  作者: 待雪 妥当
第3章 最弱ヒロインを勝たせます

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第22話 おれが、勝つだけの話<1>

「トリノちゃん、トリノちゃん、トリノちゃん、トリノちゃん、トリノちゃん、トリノちゃん、トリノちゃん、トリノちゃん、トリノちゃん、トリノちゃん!!!!」


 ソアレはついに初めての勝利を得ることで、《まほうしょうじょ》としての未来も繋ぎ止めた。


 しかし理想を現実に変えたのはソアレ自身の力だ。なのに、ソアレはおれの顔を見るなり勢いよく走って来ては、そのまま飛び掛かってきたのである。


 とんでもない勢いで抱き着かれて、対戦でなければ非力な幼女の身体でソアレを受け止めてもそのまま地面に押し倒されてしまう。


 何度も何度もおれの名前を呼びながら、ぎゅ~っと力強く抱擁(ほうよう)されるのでなすがままにおれはソアレの拘束を受け入れるしかない。


 それにしてもいいにおいだぁ~……ほんとやわらかいおおきなごにょごにょがふたつ……相も変わらずここが本当の天国なのだと錯覚させられる。わい、ここに永住することを誓う。え? 二回目? なんぼあってもええですからね、こんなん。


 だが、天国へご招待される寸前でもある。なにせおもっきりおれの顔面はソアレの胸に押し付けられてついには埋まっているので息ができないわけで。


 あかん。これやばいやつ。


「んんーーーー??? んんんんっーーーーーーーー!!!?」


 まずい多幸すぎて息ができていないことに気づけなかった。このままでは窒息するぅ!!?


「起きろ」


 しかし目の前で死体が一つ出来上がる前に、フルカノンのパイセンが声をかけてくれたのでそのままソアレは立ち上がってくれたことで解放された。


 いや、対戦以外で攻撃禁止なんだよなこの世界? 間接的に殺せるだろ。


「ご、ごめんねソアレちゃん」


「いや、いい……でも、その、よかったな……」


 顔面は青ざめたまま、それでもおれはソアレの勝利を祝った。


 するとまたソアレはブルブルと震えて、両手を上げておれに掴みかかろうとしたがなんとか理性を働かせて耐えてくれた。


「まぁ、そのなんだ……約束は約束だ。ソアレが勝てたのはトリノ……お前も一役買っているのだろう」


「いや、おれはいろいろ教えただけだ。勝ったのはソアレ自身の力だ」


 それだけは譲れない。ソアレが負けたらおれもこの世界から消えることに文句はない。だがソアレは勝った。自分で選んで、自分で掴み取った。ただそれだけのことだ。


「さて、今度はおれの番だ」


 だが、なんであれやっと動ける。


「いや別にもう私はお前のことを疑わんぞ。ソアレを育ててくれたことは感謝しているし、お前が私たちに力を貸すなら……ほら」


 そう言ってパイセンの手には首輪(カラー)が持たれている。


「私たちと同じようにこれを装着すればお前も《まほうしょうじょ》と名乗っていい」


「いや、でもさ、やっぱりさぁ……」


 それじゃあダメだろって。


「周りを見てみろよ。いきなり現われた未だに正体不明の謎の幼女だ。それを明日から仲間だからいっしょに戦おうって……それは納得できねぇだろ?」


 ソアレは確かに成果を見せた。


 勝利し、黒色(Eランク)から脱出し灰色(Dランク)に戻った。だがおれはその首輪(カラー)すら付けてない謎の存在のままだ。


 ソアレに力を貸したからとて、おれ自身の力の証明はできていない。


 なら、


「やっぱ戦ってもらうしかないよねぇ……なぁ、パイセン?」


「かっこうのいいことを言っているつもりなのだろうが」


 パイセンはおれを見下ろしたままこう言う。


「どうせ私と戦いたいだけだろう?」


「正解っすねぇ」


 目の前でソアレとスティルの対戦を見ていて、しかもソアレが勝つ姿を見ていたら我慢なんかできない。今すぐにでも対戦したい。ってかここにいるやつ気に入らないなら全員かかって来てくれて構わない。


「いや、まぁ、私もな……」


 だが、それはどうやら向こうも同じようで。


「トリノ、お前の力を見てみたい」


 そして赤い髪が(なび)いて、そのままおれに背を向けリングの中央へと進んで行く。


 もう言葉はいらない。


 おれも、さっさと始めたい。やっとおれの出番だ。待ちくたびれた。


対戦()ろうや……パイセン」


「ああ、そうしよう」


 勝っても負けても何もない。


 だが、もうその先のことなどどうでもいい。


 強いヤツがいるなら、とりあえず対戦したいってだけだ。


 向こうも見た目はこんなちんちくりんだってのに侮ることはせず、対戦が成立するとなれば殺意増し増しでこっちを見ている。


 ああ、たまらねぇ……やっぱ、これだ。


「いくぜ、パイセン」


「かかって来るがいい……」


 ただどちらが強いか、それを証明するためだけの戦いが開始する――のだが、リングの上に埋まったまま動かなかった、スティルが……目を醒ました。

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