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この異世界が『格闘ゲーム』すぎるので荒らしをガン処理する―《まほうしょうじょ》は『魔法使い』―  作者: 待雪 妥当
第3章 最弱ヒロインを勝たせます

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第20話 わたしが勝ちます<3>

 《まほうしょうじょ》は《まほう》を使える。


 そしてその中でも個として優れた者は《才覚(ネーム)》を得る。


 スティルもまた《まほう》を使い続けることで、覚醒した。


 弱者をいたぶり、強者として見下し続け、《まほう》は一段階上へと昇った。


(らしいけど……魔導技(まどうぎ)の上やろ)


 必殺技の一段階上。


 超必殺技(ゲージ消費技)だろう。


 格闘ゲームがより一層、人気が出たのはそのシステムの実装によってだ。


 技を使用するのに必要なゲージを溜めて、それを消費することで使用することが許されるド派手な必殺技だ。


 おれと戦ったときは一つしか設置しなかったクモの巣も、ソアレ相手には地面に二つ、眼前に三つ。これを越えてスティルに触ることは不可能だろう。まず間違いなくどれかのクモの巣に触れて動きを止められる。

 

「どうする? おまえのそんな短い剣と拳でどうにかできんのか??」


 設置式の技ってほんと嫌いだ。おれも見てて正直、眉をしかめている。動きを制限される時点で厳しい。視覚的にも精神的にも揺さぶられる。


 その対策を知らなければ、どう動いていいのかわからない。


 挙句、安全なところからスティルは攻撃出来る。


 攻撃の発生が遅くとも、範囲と判定はソアレとは段違いだ。ソアレの攻撃が届かないところから延々と、(いや)らしくスティルの糸による鞭の攻撃が放たれる。


「ほらぁ! ほらぁっ!! どうする? どうすんの?? ねぇ!? 悔しい?? どうにもできないもんね、やっぱりいつもと同じだよねぇっ!!」


 完全にスティルのターンであり、今度はソアレが防戦一方だった。


 それでもソアレの心は折れていない。ガードはしているが、被弾はしていない。しっかりガードを固めている。初めておれがソアレを見たときは、何も考えず闇雲に突っ込んでそのまま《荒使(あらし)》に負けていた。


 だが、いまは違う。


 体力がゼロにならない限り、負けではない。


 だからソアレは諦めない。


 勝ちたいというその一心で、ソアレはただ前を見ている。


「トリノちゃんはわたしに言ってくれた」


 だから、ずっと待っている。


 ソアレはただ一瞬に賭けている。


(ソアレ、おまえならできる)


 これまでずっと負け続けて、勝つことを知らなくて――でも殺意のような怒りを胸に、自分を卑下(ひげ)する存在に一矢報(いっしむく)いたくて、諦めることはせず戦うことを選んだ。


 そんな心を持った者が、こんなところで負けるわけがない。


 自身の力と、その性能に、ソアレに対して何の対策も取らず調べず、《才覚 (ネーム)》とやらに目覚めたことを誇らしげに《まほう》をバラまく。


「はは、自分からかかってやがる!」


 ソアレは攻撃を止めたスティルを確認したと同時に前へ進み、地面に設置されているクモの糸に触れた。


 《魔縫(まほう)》は発動し、ソアレの足に絡みつき動きを封じる。そしてその場で動けなくなったソアレは片手剣を杖のようにしたままその場に停滞する。


「どうしてやろうか?」


 そして散々安全圏から攻撃していたスティルがフラフラと右へ左へと揺れながらソアレに向かって来る。


 ソアレは抵抗することなく、そのままガクリとしゃがみ込んでいる。


「威勢がいいのは最初だけだったな。そりゃそうか。《才覚(ネーム)》すら覚醒しねぇ落ちこぼれには無理な話だよなぁ!」


(ソアレ)


 おれは何も言わない。


 これはソアレの戦いだ。


 ソアレにアドバイスはした。それを上手く使えるかどうかはソアレ自身にかかっている。


 やるべきことはたった一つだ。


「なぶり殺してやる。あのトリノとかいうチビはなんでかワタシの投げを抜けたけど……おまえはどうせできないだろ?」


 そしてソアレの前に立って、おれにしたように掴みかかろうと――

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