種明かし①
ちょっと突っかかられたくらい、なんてことない。私はそう思ってたけど。
居合わせた人たちが、思いのほか憤慨していて、特に一緒にお茶をしてたお姉さんたちは、なんとか私を慰めようと打ち明け話をしてくれた。
「キララ様の魔法で、叔母が元気になりましたの」
「私は弟が救われました」
二人とも口をそろえて言う。戦争については、正直なにも思わないわけではないけど、それは私のせいじゃないって。
「ちょっと膝が痛いくらい。事故で指を一本失ったくらい、大したことがないと思われます?」
慰めや励ましの言葉に、かえって傷つけられることがある。
「いいえ。ご本人は、ずっと付き合っていかなければならないのですから。さぞやおつらかったでしょう」
静かにゆるやかに肯き合う。
「叔母は季節の変わり目には、死にたいとまで言っていました」
「弟は、ずっと片手を隠して過ごしていました」
私は彼らのことを何も知らない。魔法の届く範囲に彼らがいただけ。
ありがとうございますと言われた。こちらこそありがとう、やさしくしてくれて。
和やかに時をすごして、気持ちが軽くなる。なんだかんだ、ストレス感じてたんだなぁ。
やれやれ。自室に帰ろうと、門番に学生証を提示してたら、呼び出しを受けた。は、学長室? 心当たりと言ったらアレしかない。あの話は終わりではなかったんですか。
恐々扉をノックすると、中から開けてくれたのは、なんとワルサさん!
「お帰りになったのではなかったのですか?」
領地へ。それも一週間前に。はっ! もしや。
「私の起こした騒ぎのせいで呼び出されて」
「キララ、落ち着こうか。それではさすがに時間的にも間に合わないよ」
「そ、そうですわよね」
仕事の邪魔した、迷惑かけたと思ったら、パニクっちゃったわ。
「まずは掛けよう」
「はい」
ふわふわのソファーに腰かけて、ワルサさんと向かい合う。
肝心の学長はいらっしゃらなくて、これは人払いというのでは?
「ここでの話は、外に漏れないようになっている」
そうワルサさんは言うけど、あの衝立の向こうに確かに誰かいるんだよね。




