表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/174

健やかな体づくり

 一週間くらい、様子を見ようと思ってたんだけど。

 ちらちら視界に入る人がいる。チェーンメイルは脱いで、簡素な革の胸当てをしてる。白いウサ耳がぴこぴこ。

 たしかに頼んだのは私だけど、そんなに訓練したいのかしら、この人?

「おはようございます、先生。先生のご都合がよろしければ、そろそろ授業をお願いしたく思いますが。訓練に適した時間帯って、いつでしょう?」

「それはもちろん朝です。きれいな風を体中に行き渡らせ、目覚めもスムーズ、一日を有意義に過ごす活力が湧いてきます」

 いま、この瞬間から、やる気まんまんだよ。

 もともと私は早起きだ。子供の体とはいえ、毎晩八時に就寝だよ? 朝の五時にはすでに身支度をすませて、朝食前の散歩が日課だ。

 訓練着は、先生のお古をもらえることになって、いそぎ着替えてくる。やった、ズボンだ!

「お待たせしてすみません。先生、よろしくお願いします」

 七歳の素人のお姫様。激しい稽古にはなりようもないので、中庭の片隅で棒の持ち方から習う。そう、棒だ。足元から胸にとどく長さ。

「王女様は」

 私は、慌てて話を遮った。

「先生。遅ればせながら、自己紹介をいたします。キケイラ・セム・ヤラレタと申します。どうぞ、キララとお呼びください」

「こちらこそ、失礼いたしました。ケセラサ王国ギュベニュー辺境伯の騎士、クク・スライダと申します。若輩者ながら、キララ様の護身の指導にあたらせていただきます」

「クク先生とお呼びしても?」

「はい。光栄です」

「では、クク先生。指導中はどうぞ、私のことは呼び捨てにしてくださいまし。長く厳しい訓練の末に会得された技術をお教えいただくのですから。生徒に対して敬語とは、おかしいのではないかと思います」

 彼女は即決の人だ。まあ、そうでなきゃ騎士なんてやってられないだろう。

「では、キララ。私の稽古はきびしいぞ。覚悟してかかれ」

「はい、先生。よろしくお願いします!」

 口ではきびしいことを言いながら、クク先生は、私がヤラレタ人の子供だってことをちゃんと考慮してくれてる。まず、健やかな体づくりってところかな。

 庭の片隅で、言われるままに棒を振り回してただけなのに。翌日、めっさ筋肉痛。はぁー、がんばろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ